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足の裏のイボ(足底疣贅)の治療法

・足の裏に硬いできものがあり、うおのめだと思って市販薬を貼っているのに治らない
・表面を削ると、小さな黒い点がポツポツと見える
・歩くたびに当たって痛く、靴選びにも困っている
・皮膚科で液体窒素の治療を続けているが、なかなか小さくならない

足の裏にできる硬いできものは、うおのめやたこと思い込まれやすいものです。ところが、実際にはウイルスが原因のイボであることも少なくありません。足の裏のイボは、手のイボに比べて治りにくく、治療が長引きやすいのが特徴です。この記事では、足の裏のイボの見分け方と、皮膚科で行う治療法、治療を続けるうえで知っておきたいことを当院の視点からお伝えします。

この記事の要点

  • 足の裏のイボとは:足底疣贅(そくていゆうぜい)と呼ばれ、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって起こります。
  • うおのめ・たことの違い:イボでは皮膚のすじが途切れたり、削ると小さな黒い点や点状の出血がみられたりすることがあります。
  • 治療が長引くことも:足の裏は角質が厚く体重がかかるため、治療が長引くことがあります。液体窒素やサリチル酸など、状態に応じて治療方法を選びます。

目次 [ 表示 ]

1.足の裏のイボ(足底疣贅)とは?

足の裏のイボの医学的な名前は、足底疣贅(そくていゆうぜい)です。ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスが、皮膚の小さな傷から入りこんで感染することで起こります。HPVには多くの型があり、足の裏のイボには1型、2型、4型、27型、57型など、複数の型がかかわることが知られています。

イボ自体はとてもありふれた皮膚の病気で、人口のおよそ10%にみられるほどです。学校に通う年代では10〜20%と多く、12〜16歳ごろに最も多くなることが知られています。子どもから大人まで、誰にでもできる可能性のある病気です。

足の裏のイボには、皮膚の表面より奥に向かって育つタイプがあります。表面は平らで硬く見え、皮膚からあまり盛り上がらないのが特徴です。歩くときに押されたりこすれたりして痛みや出血が起こり、大きくなると歩き方や靴選びに影響することもあります。

イボのほとんどは良性です。ただし、まれにイボに似た見た目のがん(疣状癌)が足の裏にできることがあり、なかなか治らない場合には念のため診察で確認しておくと安心できます。

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2.うおのめ・たことの見分け方

足の裏のイボと、うおのめやたこは、見た目がよく似ています。うおのめやたこは、靴や歩き方によって同じ場所に圧力やこすれが加わり、角質が厚くなったものです。ウイルスは関係していないため、人にうつることはありません。

一方、足の裏のイボはウイルスによる感染症です。原因がまったく違うため、治療の考え方も変わってきます。見分けるときの主な手がかりは次のとおりです。

  • 皮膚の表面の細かいすじ(指紋のような線)が、イボでは途切れる
  • イボは削ると小さな黒い点が見え、点状に出血しやすい
  • うおのめは真上から押すと骨に当たって痛みやすい
  • うおのめは削っても黒い点や点状の出血がみられない
足裏のタコ・ウオノメ・ウイルス性イボの違いを比較した図
タコ・ウオノメ・ウイルス性イボは見た目が似ていますが、原因や皮膚内部の状態が異なります。

黒い点は、イボの中を通る細い血管に血のかたまりが詰まったものです。当院では、必要に応じて表面を少し削ったり、ダーモスコピーという拡大鏡で観察したりして、イボかどうかを見きわめています。うおのめ用の市販薬を貼り続けても改善しない場合は、イボの可能性も考えて一度受診してください。

3.足の裏のイボが治りにくい理由

足の裏のイボが治りにくいのには、いくつかの理由があります。ひとつは、イボの上をおおう角質が厚いことです。角質は冷たさを伝えにくいとされ、治療の効果が奥まで届きにくいことがあります。

もうひとつは、イボが皮膚の奥に向かって育ち、しかも体重がかかる場所にあることです。さらに、足など下半身は、治療のあとの傷が治るのに時間がかかりやすいとされています。

また、病気や薬の影響で免疫の働きが弱まっている方がイボにかかりやすいことも、よく知られた点です。

日本皮膚科学会の診療ガイドラインでも、足の裏のイボは治療に難渋することが多いとされています。こうした理由から、数か月単位の治療になることも珍しくありません。どの治療を選んでも、治らなかったり再発したりすることがある点は、あらかじめ知っておいてほしいポイントです。

4.皮膚科で行う主な治療法

足の裏のイボでは角質が厚くなっていることがあり、治療前に厚い角質を削る処置を組み合わせることがあります。

日本皮膚科学会の「尋常性疣贅診療ガイドライン2019」では、液体窒素でイボを凍らせる方法と、サリチル酸を使う方法が、いずれも強く勧められる基本的な治療という位置づけです。液体窒素療法の痛みや通院の間隔については、別の記事で詳しくまとめています。

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サリチル酸は、角質をやわらかくする薬です。日本で使われているサリチル酸の貼り薬は、イボの大きさに合わせて切って貼り、2〜5日ごとに貼りかえるのが基本の使い方です。糖尿病のある方は傷から感染を起こしやすいため、使う前に医師に伝えてください。市販薬との違いについては、別の記事をご覧ください。

同じガイドラインでは、ほかにもハトムギの種から作られた飲み薬(ヨクイニン)、活性型ビタミンD3の塗り薬、レーザー、電気で焼く方法、皮膚にかぶれを起こして免疫を高める治療、イボに薬を注射する方法、切り取る手術などが取り上げられています。ただし、治療法によって勧められる度合いは異なり、手術などでは傷あとが残るおそれがある点にも注意が必要です。

実際の治療は、イボの場所や大きさ、数、これまでの治療歴、痛みの感じ方、通院の負担などを考えて選びます。なかなか良くならない場合には、治療法を変えたり、いくつかを組み合わせたりすることも検討の対象です。当院でも、こうした点をふまえて方法を提案しています。

イボ治療に用いられるヨクイニンとサリチル酸製剤(スピール膏M)の例
イボ治療に用いられる薬剤の例(ヨクイニン・サリチル酸製剤)。症状やイボの状態に応じて治療法を選択します。

5.研究からわかった治療効果の実際

足の裏のイボについては、液体窒素とサリチル酸を比べた研究がいくつも行われてきました。オランダの30の診療所で行われた研究では、4〜79歳の250人を、液体窒素、濃度40%のサリチル酸、何もせず様子をみる、の3つのグループに分けました。液体窒素は2週間ごとに行い、サリチル酸は毎日塗って表面をやすりで削る方法です。

13週後の結果をみると、手などにできる一般的なイボ(尋常性疣贅)では液体窒素が明らかに優れていました。ところが足の裏のイボでは、3つのグループの間に意味のある差はみられませんでした。なお、液体窒素のグループでは、痛み、水ぶくれ、傷あと、皮膚の刺激といった副作用が、サリチル酸より多く、程度も強かったと報告されています。

イギリスとアイルランドで行われた研究(EVerT試験)では、12歳以上の240人を対象に、足の裏のイボの治療が比べられています。液体窒素は医療者が2〜3週間ごとに最大4回まで行い、サリチル酸は濃度50%のものを1日1回、最長8週間自分で塗る方法です。12週後にイボがすべて消えていた人は液体窒素で約14%、サリチル酸で約14%でした。6か月後にはそれぞれ約34%と約31%で、いずれの時点でも両者に明らかな差はみられませんでした。

これは液体窒素が効かないという意味ではありません。この条件で行われた研究では、両者の効果にはっきりした差が示されなかったということです。また、この研究では治った人1人あたりの費用が液体窒素のほうが高いという結果でした。ただし、この費用の比較はイギリスの公的医療制度のもとで行われたもので、日本の患者さんの自己負担額を比べたものではありません。

6.年齢や罹病期間と治りやすさ

イボの治りやすさは、年齢やイボの種類、数、できてからの期間などによって変わることが、以前から報告されています。

先ほどのオランダの研究では、足の裏のイボがある12歳未満の子どもは、どのグループでもおよそ半数が13週後に治っていました。一方、12歳以上では、治った人は約5%にとどまっています。ただし、これは1つの研究の中で年齢別にみた結果であり、12歳を境に治りやすさが決まるという基準ではありません。

また、イボ全体でみると、およそ3分の2は2年以内に自然に消えるとされています。自然に消えたイボは、傷あとがほとんど残らないのも利点です。一方で、様子をみている間にイボが大きくなったり、別の場所に広がったりすることもあります。痛みがないイボでは、こうした点をふまえたうえで、強い治療を急がず、痛みの少ない方法から始めるのもひとつの考え方です。

長く続いている足の裏のイボでは、短期間で改善しないこともあります。すぐに結果が出なくても、治療が失敗したとは限りません。痛みの強さや生活への影響をふまえ、治療を続けるか、方法を変えるかを相談しながら決めていきます。

7.カッターやハサミを用いて自分で切らないで

痛みや見た目が気になると、カッターやハサミを用いて自分で削り取りたくなるかもしれません。しかし、刃物で深く削りすぎると出血したり、傷からばい菌が入ったりするおそれがあります。

イボはウイルスによる感染症で、傷ついた皮膚から周囲に広がるおそれも否定できません。なお、サリチル酸を使う治療では、ふやけた表面をやすりなどで軽く削る方法が組み合わされることがあります。自宅でどこまで手入れしてよいかは、医師の指示に従ってください。

8.うつさない・増やさないために

イボは、直接ふれることのほか、物などを介して間接的にふれることでもうつります。皮膚に小さな傷があると、ウイルスが入りこみやすくなります。家族や周りの人にうつさないため、また自分の別の場所に増やさないために、次のことを心がけてください。

  • プールや公衆浴場など、はだしで歩く場所では専用のサンダルを履く
  • イボをいじったり、かきむしったりしない
  • 足の傷やひび割れを放置しない
  • 爪をかむ癖がある方は、手のイボ予防のためにも控える

家族にも同じようなできものがある場合は、あわせて相談してください。

9.こんなときは早めに皮膚科へ

足の裏のできものは、自己判断で様子をみているうちに長引いてしまうことがあります。次のような場合は、早めに皮膚科で相談してください。

  • うおのめ用の市販薬を使っても良くならない
  • 痛みで歩きにくい、靴を履くのがつらい
  • 数が増えてきた、まわりに広がってきた
  • 出血をくり返す
  • 治療を続けても、形が変わりながら大きくなっている

長く続く足の裏のできものの中には、まれにイボとよく似たがんが隠れていることもあります。気になる変化があれば、遠慮なく相談してください。

10.まとめ

足の裏のイボは、ウイルスが原因の感染症で、うおのめやたことよく間違えられます。表面の細かいすじが途切れる、削ると黒い点が見えるといった特徴があり、見分けるには皮膚科での診察が確実です。

体重がかかる場所で角質も厚いため、手のイボに比べて治りにくく、数か月単位の治療になることも少なくありません。液体窒素やサリチル酸などを組み合わせ、年齢や痛みの程度、生活に合わせた方法を選んでいきます。

「うおのめだと思っていたけれど治らない」「治療を続けているのに変化がない」と感じている方は、自己判断で削ったりせず、皮膚科を受診しましょう。

【参考文献】


ウイルス性イボ(尋常性疣贅)の総合情報


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11.この記事の監修・執筆医

足の裏のイボ(足底疣贅)の記事を監修・執筆する医療法人社団涼美会 理事長 関口知秀医師

医療法人社団涼美会理事長

関口 知秀

ウイルス性のイボをはじめとした皮膚疾患の診断・治療を幅広く行う。症状の経過や生活背景を丁寧に確認し、原因や重症度に応じた適切な治療を重視。一人ひとりの状態に合わせた無理のない治療を提供している。新宿・渋谷の3拠点にて、土日祝日も夜間まで、忙しい患者さまも通いやすい診療体制を整えている。
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