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医療法人社団涼美会理事長
新宿・渋谷の皮膚科|駅徒歩30秒・平日21時/土日祝20時まで診療
・指にできたイボに、ドラッグストアで買ったイボ用の貼り薬を使っている
・1か月近く続けているのに、あまり変わった気がしない
・首や顔のブツブツにも市販薬を使ってよいのか迷っている
・皮膚科に行くべきか、もう少し市販薬で様子をみるべきか決められない
イボができたとき、まずは市販薬で何とかしようと考える方は少なくありません。ドラッグストアには、イボに使える貼り薬や塗り薬、飲み薬が並んでいます。ただし、市販薬には使えるイボと使えないイボがあり、自己判断で使い続けると治療が遠回りになることもあるので注意が必要です。この記事では、イボの市販薬の種類と使い方の注意点、皮膚科で受けられる治療との違いについて、当院の視点からお伝えします。
この記事の要点
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ドラッグストアで買えるイボの薬は、大きく分けると、患部に使う外用薬と飲み薬の2種類です。
外用薬の多くに含まれているのが、サリチル酸という成分です。サリチル酸には、厚く硬くなった角質をやわらかくして、はがれやすくするはたらきがあります。濃度50%のサリチル酸を含む貼り薬や、濃度10%の液体を塗るタイプなどがあり、いずれも「魚の目、たこ、いぼ」に使う薬として売られています。
飲み薬の代表は、ハトムギの種から作られるヨクイニンを成分とする薬です。市販のヨクイニンの薬は、「いぼ、皮膚のあれ」に使う薬という位置づけになっています。年齢によって飲む量が決められており、2歳未満の子どもは飲まないこととされています。
市販のサリチル酸の薬が効果を期待できるとされているのは、角質化した、表面がざらざらした硬いイボです。首のブツブツや子どもの水イボなど、「イボ」と呼ばれていても原因や種類が異なるものには使用できない場合があります。
サリチル酸の市販薬は、どんなイボにも使えるわけではありません。添付文書では、次のようなイボには使わないよう定められています。
使う場所にも決まりがあります。目のまわりや顔、唇、粘膜、首のまわりなどのやわらかい皮膚、炎症や傷、化膿がある部分には使えません。首にできたブツブツや顔のイボに、自己判断でサリチル酸の市販薬を使うのは避けてください。
子どもへの使用にも制限があるので確認が必要です。液体タイプの製品は、7歳未満の子どもには使わないこととされています。貼り薬でも、7歳未満の子どもに使う場合は、事前に医師や薬剤師などに相談しなければなりません。
サリチル酸は、厚くなった角質をやわらかくして取り除きやすくする薬です。イボのまわりの健康な皮膚についてしまうと、皮膚を傷めるおそれがあります。貼り薬は患部より少し小さめに切り、ずれないようにテープでとめて、2〜5日ごとに新しいものに貼りかえるのが基本の使い方です。液体タイプの場合は、1日4回、1滴ずつ患部に塗る方法が示されています。ただし、使い方は製品によって異なるため、実際には各製品の添付文書に従ってください。
製品によって異なりますが、次のような方は、使用前に医師・薬剤師・登録販売者への相談が必要とされています。
市販の貼り薬の添付文書には、糖尿病の方は感染への抵抗力が低下しているため、角質を取る際に皮膚を傷つけると感染しやすくなると書かれています。糖尿病の治療を受けている方は、市販のサリチル酸製剤でも、使う前に医師、薬剤師または登録販売者へ相談してください。
使う期間の目安も確認しておきましょう。サリチル酸の市販薬は、1か月ほど使っても良くならない場合は使うのをやめて相談するよう、添付文書に書かれています。飲み薬のヨクイニンも同じで、1か月ほど飲んでも良くならない場合は服用を中止して相談することとされています。「もう少し続ければ治るかも」と使い続けるより、1か月をひとつの区切りとして皮膚科で診てもらいましょう。
サリチル酸は、海外でもイボに広く用いられている治療のひとつです。処方せんなしで手に入り、自宅で使えるのが利点です。研究によって治療成績には幅がありますが、5つの臨床試験をまとめた解析では、サリチル酸を使ったグループの治癒率は、有効成分を含まない薬(プラセボ)の約1.6倍でした。日本皮膚科学会の「尋常性疣贅診療ガイドライン2019」でも、サリチル酸の外用は推奨度Aの治療とされています。
ただし、イボの治療はどの方法でもすぐに効くものではありません。何度もくり返して続ける必要があり、途中で治らなかったり再発したりすることも珍しくありません。イボの多くは自然消退することがあり、約3分の2が2年以内に自然消失するとの報告もあります。そのため、薬が効いたのか自然に治ったのかを見分けにくいという事情もあります。
オランダで250人を対象に行われた研究では、そのうち手などにできる一般的なイボの人について、13週後に治った人の割合は液体窒素で49%、濃度40%のサリチル酸で15%でした。この研究では、一般的なイボに対して液体窒素療法の治癒率がサリチル酸より有意に高いという結果です。一方、同じ研究の足の裏のイボでは、両者の間に統計学的に明らかな差はみられませんでした。
イギリスとアイルランドで行われた別の研究でも、足の裏のイボに対して、自宅で塗る濃度50%のサリチル酸と、医療者が行う液体窒素の効果に明らかな差は示されていません。足の裏のイボの治療については、別の記事で詳しく解説しています。

皮膚科ではまず、そのできものが本当にウイルス性のイボかどうかを診察で見きわめます。イボに似た見た目の病気には、老人性のイボ(脂漏性角化症)や水イボ、扁平苔癬(へんぺいたいせん)という皮膚の病気など、さまざまなものがあるためです。見た目だけで判断がつかない場合は、皮膚の一部を取って顕微鏡で調べる検査を行うこともあります。この診断こそが、市販薬との大きな違いのひとつといえます。
日本皮膚科学会のガイドラインでは、液体窒素でイボを凍らせる方法と、サリチル酸の外用が、いずれも強く勧められる基本的な治療という位置づけです。液体窒素療法は、ドラッグストアでは受けられない、医療機関ならではの治療になります。痛みや通院の回数については、別の記事をご覧ください。
皮膚科でもサリチル酸製剤を使うことがあり、医療用の50%サリチル酸の貼り薬は、イボの角質をはがす目的で使われます。この貼り薬には保険が適用され、医師がイボの状態をみながら使い方を決めます。ヨクイニンの飲み薬もガイドラインで取り上げられている治療で、皮膚科では保険の範囲で処方を受けることが可能です。そのほかにも、活性型ビタミンD3の塗り薬、レーザー、電気で焼く方法、皮膚にかぶれを起こして免疫を高める治療などがあります。
なかなか治らないイボには、治療法を変えたり、いくつかを組み合わせたりするのが一般的です。当院でも、イボの場所や大きさ、数、これまでの治療歴、痛みや通院の負担をうかがいながら、方法を提案しています。
市販薬と皮膚科の治療には、それぞれ利点と注意点があります。主な違いを整理すると、次のとおりです。
市販薬は、手や足などにできた、表面がざらざらして硬く角質化したイボで、数が少ない場合には手軽な選択肢です。一方、イボかどうかはっきりしない場合や、市販薬が使えない場所にある場合は、はじめから皮膚科を受診するほうが近道でしょう。
イボは、痛みなどの症状がなければ、あえて治療せずに様子をみることも選択肢のひとつとされています。自然に治った場合は、通常は傷あとを残しません。一方で、塗り薬を含めどの治療にも、皮膚を傷めたり傷あとを残したりする可能性があります。
ただし、様子をみている間にイボが大きくなったり、ほかの場所に広がったりすることもあります。治療するか様子をみるかは、痛みや見た目の気になり具合、広がり方をふまえて決めるとよいでしょう。
次のような場合は、市販薬を試す前に、または使っている途中でも、皮膚科で相談してください。
イボに見えても、別の皮膚の病気であることがあります。長い期間治らない、急に大きくなる、出血する、見た目が変わってきたといった場合は、皮膚科で診断を受けることが大切です。
イボの市販薬には、サリチル酸の貼り薬や塗り薬、ヨクイニンの飲み薬があります。手や足などの表面がざらざらした硬いイボには手軽な選択肢ですが、水イボや老人性のイボ、顔や首などには使えないといった決まりがある点に注意が必要です。
皮膚科では、イボかどうかの診断を行ったうえで、液体窒素療法をはじめとするさまざまな治療から、イボの状態に合った方法を選べます。市販薬を1か月ほど使っても良くならないときは、ひとつの区切りと考えてください。
「市販薬を続けていいのか迷う」「これが本当にイボなのか分からない」という場合は、自己判断で治療を続けず、皮膚科で相談することをおすすめします。
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