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医療法人社団涼美会 理事長
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皮膚がんが気になる方へ
「ほくろが大きくなってきた」「シミだと思っていたものが変化している」「傷やかさぶたがなかなか治らない」などの症状は、皮膚がんの可能性もあります。皮膚がんは早期発見・早期治療が重要な病気です。この記事では、皮膚がんの初期症状や見た目の特徴、ほくろとの見分け方、検査・治療法についてわかりやすく解説します。
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鏡を見ていて、いつのまにか増えた黒い点に目が止まる。
足の裏に、以前はなかったはずのシミを見つける。
数か月前からある小さなかさぶたが、治ったと思うとまた血がにじむ。
そんなとき、多くの方はこう考えます。「痛くもかゆくもないし、たぶん大丈夫だろう」と。
皮膚がんは、体の奥にできるがんと違い、唯一「自分の目で見えるがん」です。ところが見えているからこそ、
「ただのほくろ」「年のせいのシミ」と片づけられ、何年も放置されてしまうことが少なくありません。進行した状態で初めて皮膚科を受診される方は、今も後を絶たないのが現実です。
この記事では、皮膚がんの初期症状、ほくろやシミとの見分け方、そして「これは今すぐ受診したほうがいい」という具体的なサインを整理していきます。
皮膚がんとは、皮膚をつくっている細胞が悪性化して増え続ける病気の総称です。
ひとくちに皮膚がんといっても中身は一つではありません。どの細胞ががん化したかによって、見た目も進行の速さも、その後の経過もまったく変わってきます。
もっとも多いのが基底細胞がん。皮膚の一番下の層(基底層)にある細胞から発生し、人間にできるがんの中で最多とされています。
次に多いのが有棘細胞がんで、その上の層の細胞から生じます。そして数は少ないものの、もっとも注意が必要なのがメラノーマ(悪性黒色腫)です。
色素をつくるメラノサイトががん化したものになります。
ここで押さえておきたいのは、「皮膚がん=ただちに命に関わる」わけではないという点です。
基底細胞がんは進行がゆるやかで、ほかの臓器へ転移することは極めてまれとされ、その頻度は0.0028〜0.55%と報告されています。
ただし放っておけば皮膚の下の組織を壊しながら広がり、顔にできた場合は鼻や目のまわりを大きく削り取る手術が必要になることもあるのです。
命よりも先に、顔かたちを失うリスクがある。そう考えていただいて構いません。
皮膚がんの初期症状でもっとも厄介なのは、痛みもかゆみもないことです。多くの皮膚の病気は、かゆい・痛い・しみるといった自覚症状が受診のきっかけをくれます。
ところが皮膚がんは、静かに、無症状のまま大きくなっていきます。
初期のサインとして知っておきたいのは、次のようなものです。
共通するキーワードは「治らない」と「変わる」の二つ。ひと月、ふた月と経っても引かない、あるいは少しずつ姿を変えている。
この二つが重なったとき、それはもう自己判断でどうにかなる段階ではありません。
典型的な基底細胞がんは、真珠のような光沢をもつ小さな盛り上がりとして現れます。表面には細い血管が透けて見えることもあります。
大きくなると中央がへこんで潰瘍になり、ふちが土手のように盛り上がってきます。日本人を含む色黒の肌では黒っぽい色を帯びやすく、ほくろと取り違えられやすいタイプです。
有棘細胞がんは、かさぶたや角質がこびりついたような、ザラつきのある固いしこりとして育ちます。しばしばじゅくじゅくと湿り、においを伴うこともあります。
メラノーマの場合、境界のぼやけた不整形の黒い斑や結節が特徴になります。色が均一ではなく、黒・茶・灰色・赤みなどが混ざり合うのです。
厄介なのは、これらの見た目が良性のできものとよく似ていること。だからこそ、次に挙げる「型」を知っておく意味があります。
皮膚がんを「見た目が何に似ているか」で分けると、ご自身の症状と照らし合わせやすくなります。
もっとも警戒すべきはメラノーマです。日本人4,594例を解析した研究では、メラノーマの臨床型のうち40.4%が足の裏や手のひら、爪といった手足に生じる末端黒子型でした。欧米人に多い型とは分布が大きく違っています。日本人が「ほくろか、がんか」で迷ったとき、真っ先に確認すべき場所が足の裏である理由が、ここにあります。
また、黒い色素を含んだ基底細胞がんも、ほくろとして見過ごされることがあります。数年かけてゆっくり大きくなり、中央が崩れてきたら要注意。
高齢の方の顔にできる薄茶色のシミが、少しずつ広がり、色ムラを帯びてくることがあります。悪性黒子と呼ばれる、メラノーマのごく初期の状態です。
数年から十数年かけてじわじわ拡大するため、「年齢によるシミ」として長く放置されやすいのが特徴になります。
顔のシミが左右非対称に広がってきた、あるいは一部だけ濃く黒ずんできた。そんなときは、美容の問題ではなく医学的な確認が必要です。
「湿疹だと思って市販の塗り薬を続けたが、半年たっても治らない」。この訴えの裏に隠れていることがあるのが、ボーエン病(表皮内にとどまる有棘細胞がん)や表在型の基底細胞がんです。
表在型の基底細胞がんは、赤くカサカサした平たい斑として現れ、湿疹や乾癬とよく似た姿をとります。
見分けの手がかりは、治療への反応です。ステロイド外用で改善しない、境界のはっきりした赤い斑が、いつも同じ場所にとどまり続ける。そんなときは、診断そのものを疑い直したほうがいいでしょう。
ザラザラした固いイボ状の隆起が、数か月で明らかに大きくなる。表面がただれて出血する。こうした経過をたどるものは、有棘細胞がんの可能性があります。
ウイルス性のイボや脂漏性角化症(いわゆる老人性イボ)との区別は見た目だけでは難しく、「急に大きくなる」「出血する」「痛みを伴う」といった変化が判断の材料になります。
ほくろとメラノーマを見分ける最初のふるいが、ABCDEルールです。米国皮膚科学会のレビューでも、一般の方が異常に気づくための基本的な指標として位置づけられています。
ただし、このルールは万能ではありません。結節型メラノーマのように、左右対称で色も均一な、ABCDのどれにも当てはまらないタイプが存在するからです。
だからこそ「Eの変化」がもっとも重くなります。過去の写真と見比べて明らかに違うなら、他の項目が正常でも受診してください。
ABCDEに加えて、実際の診察でとくに警戒される所見があります。
最後の項目は「醜いアヒルの子サイン」と呼ばれ、専門医も診察で使う視点です。「これ、他のほくろと何か違うな」という違和感は、無視しないほうがいいでしょう。
放置の代償は、数字にはっきり出ます。日本人メラノーマ患者の解析では、病期別の5年疾患特異的生存率はステージIAで98.0%、IBで93.9%でした。
一方、リンパ節や他臓器へ広がったステージIIICでは41.7%、ステージIVでは17.7%まで落ち込みます。
皮膚の表面にとどまっているうちに切除できれば、命に関わる可能性は低いのです。
ところが「様子を見よう」と数年を過ごし、深さを増して転移した段階では、まったく別の病気を相手にすることになります。この差を生むのは医療技術ではなく、受診するまでの時間なのです。
できた場所によって、疑うべきものは変わってきます。
顔に多いのは基底細胞がんです。とくに鼻、頬、まぶた、こめかみといった、日光を浴び続けてきた場所に集中します。黒っぽい小さな盛り上がりが数年かけて育ち、中央がへこんで血がにじむ。「ほくろだと思っていた」とおっしゃる患者さんが、非常に多い部位でもあります。
足の裏は、日本人にとって最大の要注意ゾーン。前述のとおり、日本人のメラノーマでは末端黒子型が最多を占めます。土踏まずではなく、かかとや母趾(親指)の付け根など、体重のかかる場所に生じやすいのが厄介なところです。靴を脱ぐ機会が少ないと、ご家族に指摘されて初めて気づくことも珍しくありません。
手足の爪では、黒い縦の線が問題になります。線が一本だけ、幅が広がっていく、色が濃淡まだらである、爪の根元の皮膚まで色が広がっている。こうした条件が重なるほど、危険度は上がっていきます。
耳や頭皮、首の後ろは、ご本人からは見えないうえに日焼けしやすく、発見が遅れがちです。髪を切るときに美容師さんから指摘されるケースもあります。
最大の原因は、紫外線です。紫外線は皮膚細胞のDNAを直接傷つけ、同時に皮膚の免疫監視のはたらきを弱めます。
厄介なのは、その傷が積み重なってがんとして姿を現すまでに、15年から20年という長い潜伏期間があること。今日の日焼けが問題になるのは、20年後のご自身なのです。
紫外線以外にも、次のような要因が知られています。
そして意外に見落とされるのが、「一度皮膚がんになったこと」自体が最大級のリスクだという事実です。
基底細胞がんの既往がある方の30〜50%が、5年以内に別の基底細胞がんを発症すると報告されています。一度治療を受けた方ほど、定期的な皮膚のチェックが欠かせません。
皮膚科の診察は、思っているより手軽で、痛みもほとんどありません。
まず行われるのがダーモスコピー検査です。特殊な光を当てる拡大鏡で、皮膚の表面下の色素や血管の模様を透かして見ます。
触れるだけで数分、痛みはゼロ。ここで「良性のほくろに典型的な模様」が確認できれば、切らずに経過観察という判断もできます。
逆に基底細胞がんに特徴的な樹枝状の血管や、メラノーマを疑わせる不規則な色素の乱れが見えれば、次の段階に進みます。
確定診断に必要なのが皮膚生検です。局所麻酔をして病変の一部、あるいは全部を切り取り、顕微鏡でがん細胞の有無と、どこまで深く達しているかを調べます。
皮膚がんは、この病理検査を経て初めて診断が確定するのです。
「切ったらがんが暴れるのでは」と心配して、受診をためらう方がいらっしゃいます。しかし、診断のための生検を避けて時間だけが過ぎることのほうが、はるかに大きなリスクを招きます。
深さがわからなければ、適切な治療の範囲も決められません。
さらに進行が疑われる場合には、超音波検査、CT、MRIなどでリンパ節や他臓器への転移を確認していきます。
当院は保険診療を主軸とした皮膚科クリニックです
当院の皮膚科診療実績:2025年度 年間延べ来院者数 19,763名
(集計期間:2025年1月〜12月 当院レセコンデータに基づく)
ほくろや、できものの変化が気になる方、治りにくい傷やかさぶたが続く方は、お早めにご相談ください。皮膚がんは早期発見・早期治療が重要です。当院ではダーモスコピーなどを用いて丁寧に診察し、必要に応じて適切な検査・治療をご案内いたします。
治療の中心は、今も手術による切除です。がんの種類と大きさ、深さ、できた場所に応じて、切り取る範囲が決められます。
顔のように「一ミリでも余分に切りたくない」場所では、モース顕微鏡手術という方法があります。薄く切除しては、その場で断端に細胞が残っていないかを顕微鏡で確認し、残っていればその方向だけをさらに削る。切除断端をほぼ全周にわたって確認できるため、再発率は際立って低くなります。基底細胞がんの初回治療における再発率は、モース手術で1.0%、通常の切除で10.1%、放射線治療で8.7%と報告されました。
手術が難しい場合には、放射線治療、液体窒素による凍結療法、抗がん剤やイミキモドの外用、光線力学療法といった選択肢が検討されます。進行したメラノーマに対しては、近年、免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬が治療の柱になってきました。
限局した基底細胞がんであれば、5年治癒率は95%を超えるとされています。早く見つけるほど、切る範囲は小さく、残る傷あとも小さくてすむのです。
完全にゼロにはできませんが、リスクを下げられることは実証されています。
オーストラリアのナンブールで行われたランダム化比較試験では、住民1,621人を「日焼け止めを毎日塗る群」と「自己判断で使う群」に分けて追跡しました。その結果、毎日塗った群では有棘細胞がんの発生が有意に少なく、試験終了から10年後の追跡でも、新たなメラノーマの発生は毎日塗る群で11例、自己判断群で22例と、およそ半分にとどまっていました。
日常でできることは、それほど難しくありません。
とりわけ最後の一つが効きます。自分では見えない場所こそ、発見が遅れる場所だからです。
以下に一つでも当てはまるなら、様子を見る段階は終わっています。
受診はまず皮膚科へ。ダーモスコピーは数分で終わり、多くの場合その場で「心配ありません」という答えが返ってきます。仮にがんだったとしても、この段階で見つかれば、治療は小さな手術で終わる可能性が高いのです。
逆に、迷いながら過ごした半年、一年が、治療の規模と結果を大きく変えてしまいます。「まだ大丈夫」と思っているうちに動く。それが皮膚がんに対する、もっとも確実な備えになります。
気になるほくろや皮膚のできものがある方は、れいわクリニックまでお気軽にご相談ください。
初期の皮膚がんは、かゆみや痛みなどの自覚症状がないことも少なくありません。一方で、進行すると出血や痛み、かゆみを伴うことがあります。症状の有無だけでは判断できないため、治らないできものや変化するほくろは皮膚科を受診しましょう。
皮膚がんは自然に治ることはほとんどありません。放置すると徐々に大きくなり、周囲の組織へ広がったり、種類によってはリンパ節や他の臓器へ転移したりすることがあります。早期に発見・治療できれば、治療の負担を軽減できる可能性があります。
皮膚がんは高齢者に多い病気ですが、種類によっては20代や30代など若い世代でも発症することがあります。特にメラノーマは若年層でもみられることがあるため、年齢だけで「自分は大丈夫」と判断しないことが大切です。
現在のところ、ストレスそのものが皮膚がんの直接的な原因であるという明確な根拠はありません。皮膚がんの主な原因は紫外線や加齢、遺伝的要因などとされています。
はい。皮膚がんは0期や初期の段階で発見できる場合があります。皮膚表面にとどまっているうちに治療を行えば、比較的小さな手術で済むケースも少なくありません。ほくろやシミ、できものに変化を感じたら早めに皮膚科を受診しましょう。
インターネット上の画像は参考になりますが、画像だけで皮膚がんかどうかを判断することはできません。皮膚がんには、ほくろやシミ、湿疹、イボなどによく似たものも多くあります。気になる症状がある場合は、皮膚科でダーモスコピーなどの検査を受けることが重要です。
子どもの皮膚がんは非常にまれですが、急速に大きくなるほくろや、色や形が変化するほくろ、出血を繰り返すできものなどがある場合は、一度皮膚科で相談することをおすすめします。
足の裏や爪の黒い線・黒い斑がすべて皮膚がんというわけではありません。しかし、日本人では足の裏や爪に発生するメラノーマが比較的多いため、黒い線が広がる、色が濃くなる、形が変わるといった変化がある場合は早めの受診が大切です。
皮膚がんは、目に見えるがんでありながら、見えているがゆえに見過ごされます。
基底細胞がん、有棘細胞がん、メラノーマと種類は分かれ、それぞれ「ほくろ」「シミ」「湿疹」「イボ」の顔をして現れるのです。
判断の軸はシンプル。治らないか、変わっていくか。ABCDEルールでご自身のほくろを眺め、足の裏と爪をときどき確認し、他と違う一つを見逃さない。それだけで、見つかる時期は大きく変わります。
早期のメラノーマの5年生存率は98%台に達する一方、転移した段階では2割を切ります。この落差を埋められるのは、鏡の前で立ち止まったその日に予約を取る、あなたの行動だけです。
医療法人社団涼美会 理事長
※本ページはれいわクリニックの医師が監修しています。
当院は夜間21時まで、土日祝も診療しています。
「皮膚がんかもしれない」と異変を感じたら、すぐにご相談ください。
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