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りんご病(伝染性紅斑)の症状・原因|大人の関節痛や妊婦の注意点を皮膚科医が解説

「ほっぺが赤くなっている」「熱は下がったのに発疹が出てきた」「保育園でりんご病がはやっていると言われている」―このような症状がある場合、「りんご病(伝染性紅斑)」の可能性があります。りんご病は子どもに多い感染症として知られていますが、実は大人、とくに妊婦さんにおいては注意が必要な病気です。特に大人では関節痛などの症状が強く出ることがあったり、妊婦さんでは胎児への影響が問題となることがあります。また、「発疹が出たから感染力が強い」と思われがちですが、実際には感染しやすい時期が異なるために正しい知識を持つことがなにより大切です。りんご病(伝染性紅斑)は保育園などで診断書が必要なことがありますので、自己判断のみで経過をみるのではなく、気になる症状がある場合には医療機関へ相談を行いましょう。本記事では、りんご病(伝染性紅斑)とはどのような病気なのか、症状や感染経路、年代別で注意すべき点、自宅での過ごし方などについて、皮膚科医の立場から詳しく解説します。

この記事の要点

  • 病気の概要:正式名は「伝染性紅斑」で、ヒトパルボウイルスB19による感染症です。子どもに多く、両頬がりんごのように赤くなる特徴があります。
  • 年代別の特徴:子どもは比較的元気ですが、大人が初感染すると激しい関節痛や手足のむくみが生じやすく、採血で膠原病と見紛う「抗核抗体」の上昇が見られることがあります。
  • 感染時期と妊婦への影響:最も感染力が強いのは発疹が出る前の「風邪に似た時期」であり、頬が赤くなった頃には感染力はほぼありません。ただし妊婦の感染は胎児水腫等のリスクがあるため、産婦人科への相談が必須です。

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目次 [ 表示 ]

1. りんご病(伝染性紅斑)とは?読み方と定義

りんご病は正式には「伝染性紅斑」(=でんせんせいこうはん)と呼ばれます。この病気は「ヒトパルボウイルスB19」という、ウイルスによる感染症です。

名前の由来としては、主に子どもに多く見られ、両頬がりんごのように赤くなる特徴的な発疹からきています。特に乳幼児から小学生くらいの年齢で多くみられ、保育園や学校で流行することがあります。ウイルス感染症で、多くの場合には時間経過とともに徐々に改善する予後良好な疾患ですが、大人や妊婦さんでは注意するべきことがあります。

2. りんご病の主な症状

子どもの場合

子どものりんご病の場合、微熱や鼻水、だるさなど、軽い風邪の症状がみられることがあります。その後、数日ほどしてから特徴的な皮疹を含めて皮膚症状が出現します。

最も有名な症状が、両頬が赤くなる平手打ち様紅斑です。これは、平手で頬を打たれたような紅斑が両頬にあらわれ、大体1から4日程度で消失する症状です。さらに、顔の皮疹に約1から2日遅れて腕の二の腕側、ついで足の太もも、ふくらはぎ(の伸側)に直径1cm程度の紅斑が現れます。これらの紅斑が次第に癒合し、中心部から徐々に消退し、ふちどりを残してレース様の紅斑となるのも特徴的な所見です。体幹部にも紅斑は生じますが、レース状とはならず、大体1週間程度で色素沈着を残さずに消えていきます。

子どもの場合には比較的全身の状態が良く、元気で、頬などに発疹が出て初めてりんご病に気づくというケースも少なくありません。

大人の場合

りんご病は終生免疫という、一度かかると基本的にはかからない病気ですが、それまでに一度もかかったことがなければ大人にも起こり得ます。特に、大人では平手打ち様紅斑が目立たず、腕や足の赤みと関節痛、採血検査では抗核抗体という膠原病の際に陽性となる項目の上昇がみられるのが特徴的です。りんご病に気づかずに採血で抗核抗体のみが陽性になると膠原病を疑いかねないため、問診が大切になります。また、大人の場合には手や足の浮腫んだような赤みや紫斑(内出血のような赤黒い赤み)になることもあります。

「りんご病・大人」というキーワードで検索されることが多いように、子どもよりも大人の方が関節痛などの症状が強く出て辛いケースもあり、特に女性では関節症状が強く出やすいといわれています。

発疹の特徴

りんご病の発疹には特徴があります。前述した通り、以下のような点が挙げられます。

  • 頬が真っ赤になる
  • 体や手足にふちどられたような発疹(レース状)が出る
  • かゆみを伴うこともある

また、治ったように見えても数週間は日に当たったり、運動・入浴などにより皮膚症状が再度出てくることがあります。「りんご病・写真」などと検索されることも多いですが、実際に発疹が出る範囲や出方には個人差が大きいです。

似た症状との違い

りんご病を考えた時に除外する必要のある別の疾患としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 風疹
  • 麻疹
  • 突発性発疹
  • 蕁麻疹、薬疹など

風疹は別名「三日ばしか」とよばれ、りんご病と同様に皮膚症状がでます。ただし、皮疹と発熱は同時で赤みが全身に広がります。リンパ節(特に耳前後部リンパ節)に腫れがみられるのが特徴です。

麻疹は麻疹ウイルスによる感染症で、数年間隔で流行します。発熱と風邪のような症状で発症し、熱が下がってから口腔内にコプリック斑とよばれるものが出現します。その後もう一度発熱し、その後に全身に皮疹が出現します。ワクチン接種を行っている場合にはこれらの症状がすべて揃わずに症状が出るので間違われることがあります。

突発性発疹もウイルス感染症の一つで、ヒトヘルペスウイルス6型および7型による感染症です。突然の高熱のあとに体全体に淡い赤い皮疹が出現します。赤ちゃんの初めての高熱の際にかかることが多いといわれています。

このようにりんご病自体がウイルス感染なので、他のウイルス感染症でもよく似た症状が出ることがあります。

3. 原因と感染経路(なぜうつるのか?)

りんご病の原因は、「ヒトパルボウイルスB19」というウイルス感染になります。感染経路としては、主に飛沫感染・接触感染です。これは咳やくしゃみなどを介してうつるため、保育園や学校、家庭内で広がりやすい特徴があります。

りんご病の潜伏期間はおよそ10~20日程度といわれており、潜伏期間が長いのが特徴です。感染して症状がでたタイミングには既に感染力はほとんどないことが多く、皮膚症状の出てくる前の「風邪のような症状」の時期が最も感染力が強いと言われています。つまり、頬が赤くなって「りんご病になった」と気づいた時には、周囲への感染力はほとんど低下していることが多いのです。

保育園や家庭内で広がりやすい理由

小さな子どもたちはお互いの距離感が近く、咳やくしゃみをしたり、密接な接触、おもちゃの共有が多いため、保育園で一度はやると流行しやすくなります。また、家庭内でも兄弟間や親子間では感染が広がりやすいです。

4. 大人・妊婦さんは要注意?

大人では、関節痛・微熱・倦怠感が強く出ることがあります。特に「手がこわばる」「膝が痛い」などで受診されることもあり、インフルエンザに似た症状ともいえるかと思います。

妊婦さんへの影響

「りんご病・妊婦」というキーワードに不安を感じられる方もいらっしゃいます。妊娠中に感染してしまうと、注意が必要です。何が問題になるかというと、まれではありますが胎児貧血(赤ちゃんの血の濃さが足りなくなる)や胎児水腫(皮膚やおなかなどに水がたまり、全身がむくむ)などにつながる可能性があります。

そのため、妊娠中に周囲で流行している場合やりんご病にかかっている子どもなどに接触した可能性がある妊婦さんは、産婦人科へ相談されることが重要です。妊娠中に高熱が続いたり、関節痛の強い発熱、発疹以外の症状がつよいなどの場合には、りんご病を考える必要があることを知っておいてください。

5. 治療法と自宅での過ごし方

りんご病はウイルス感染症ですので、りんご病自体に対する特効薬はありません。他の様々な風邪などのウイルス感染症と、基本的には同様の対応です。しっかりと水分補給を行い、安静を保ってください。発熱や関節痛など、症状に応じた対症療法を行うことが中心になります。発熱や痛みがあるときには解熱鎮痛薬を使うこともあります。

まずは十分な休養と水分補給、無理な運動をさけてください。また、発疹は刺激で再び赤くなることがあるため、りんご病にかかったあとには長時間の入浴や激しい運動、日焼けなどは避けるようにしましょう。

病院を受診した方が良いケース

  • 妊婦さん
  • 大人で関節症状が強い
  • 基礎疾患がある

などの場合には早めの受診をおすすめします。また、保育園や幼稚園などに通われている場合にも医師の診断書や通園許可証などが必要なことがありますので、それぞれの園の規則に従ってください。

6. 保育園・学校はいつから行ける?

先にも述べましたが、りんご病は発疹が出るころには既に感染力が低下していることが多く、法律上の登校・登園停止期間はありません。全身状態が良ければ登校・登園は可能とされることが多いです。

しかしながら、地域や施設によっては医師の診断書や通園許可証が必要なこともありますので、必ずそれぞれの園や学校の規則を確認されてください。

7. よくある質問(FAQ)

Q1:大人にもうつる?

はい、大人にも感染します。特に関節痛が強く出ることがあるといわれています。

Q2:潜伏期間は?

比較的長く、通常10日から20日間程度と言われています。

Q3:発疹が出たら感染しない?

多くの場合、発疹が出現したタイミングには周囲への感染力は低下しています。ただし、保育園などでは通園許可証などが必要になることもありますので、園のルールに従ってください。

Q4:妊婦はどうしたらいい?

ご自身が今までにかかったことがあれば通常かかりませんので、過度に心配する必要はありません。もしご自身に感染した記憶がなく、周囲で流行していたり、りんご病の人と接触した場合には産婦人科へ相談されてください。

Q5:保育園は休むべき?

全身状態に問題がなければ登園可能とされることが一般的です。

Q6:当院でできる対応

当院では、発疹の診察、他疾患との鑑別、必要に応じた血液検査、妊婦さんへの受診案内などをおこなっています。「りんご病かどうかわからない」などの段階であってもお気軽にご相談ください。

8. まとめ

りんご病は子どもに多い感染症ですが、大人や妊婦さんでは注意が必要なことがあります。特徴的な発疹が有名ですが、感染力が強い時期は発疹前であることも重要なポイントです。多くは自然に改善していきますが、妊婦であったり、症状が強い場合には早めの医療機関受診をおすすめします。気になる症状があれば、自己判断せず、医療機関へ相談しましょう。

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【データ出典・参考文献】

あたらしい皮膚科学 第3版 清水宏

9. この記事の監修・執筆医

りんご病の監修・執筆:医療法人社団涼美会 理事長 関口知秀医師

医療法人社団涼美会 理事長

関口 知秀

アトピー性皮膚炎やニキビ、小児皮膚科における各種感染症(りんご病、とびひ等)の一般皮膚科から、日帰り手術まで幅広く診療。「再発させない根本治療」と、患者様のライフスタイルに寄り添ったスキンケア指導を重視。新宿・渋谷の3拠点にて、土日祝日も夜間まで、お忙しい患者様のニーズに合わせた質の高い医療を提供している。

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