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医療法人社団涼美会理事長
関口 知秀
新宿・渋谷の皮膚科|駅徒歩30秒・平日21時/土日祝20時まで診療
「イボに液体窒素をあててもらったら、思っていたより痛かった」「1回で取れると思っていたのに、また来てくださいと言われた」「あと何回通えば終わるのか分からない」「治療後に水ぶくれができて不安」――このような経験をした方もいるのではないでしょうか。
手や指のイボで皮膚科を受診した際に、広く行われている治療のひとつが液体窒素による治療です。身近な治療である一方、「痛い」「何度も通う」という印象から、途中で通院をやめてしまう方も少なくありません。
この記事では、液体窒素療法の痛み・回数・通院ペースを中心に、治療を始める前に知っておきたいことを当院の視点からお伝えします。
この記事の要点
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液体窒素療法は「冷凍凝固療法」とも呼ばれ、マイナス196℃の液体窒素をイボに吹きつけたり、綿棒で押しあてたりして凍らせる治療です。ここでいうイボは、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスが皮膚の小さな傷から入りこんでできる「尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)」のことです。

凍らせると、細胞の中や周囲に氷の結晶ができ、細胞そのものが壊れていきます。同時に、イボに栄養を送る細い血管も傷つき、組織は血流を失って弱っていきます。解ける過程でも細胞はダメージを受けるため、「素早く凍らせて、ゆっくり解凍する」のが基本の考え方です。
良性のできものを壊すには、組織をおよそマイナス20℃まで冷やせば足りるとされています。ただし、肌の色をつくる色素細胞はマイナス5℃程度でも傷つきやすく、治療後に色が抜けることがあるのはこのためです。
液体窒素療法は外来ですぐに行え、特別な準備もほとんどいりません。そのため、イボに対して多くの皮膚科で使用されている治療法です。
液体窒素療法の痛み・治療回数・通院ペースについて詳しく解説しています。
診察でイボであることを確認したら、そのまま処置に入ります。表面が厚く硬くなっているイボは、先にカミソリなどで角質を薄く削るのが一般的です。角質は冷たさを伝えにくいため、削ってから凍らせたほうが奥まで冷気が届きやすくなります。同じ理由で空気も冷たさを伝えにくいため、液体窒素はイボに近い距離から吹きつけます。
液体窒素は、イボのまわり1〜2mmほどが白く凍るまであてるのが目安です。1回にあてる時間は5〜10秒ほどで、イボは治りにくい病変のため、いったん解けるのを待ってからもう一度凍らせることもあります。

処置そのものは短時間で終わり、そのまま帰宅できます。小さなイボに局所麻酔の注射をすると、注射の痛みのほうが大きくなることもあるため、通常は麻酔を使いません。広い範囲を治療する場合は、数時間前に麻酔の塗り薬を使う方法もあります。ただし、解けるときの痛みには効きにくいとされる点は知っておいてください。
処置中は、凍らせている部分に強い冷たさと痛みを感じます。この痛みは長く続くものではなく、多くは1分もかからずに落ち着くとされています。解けていく途中で、ズキズキとした痛みがもう一度出てくることもあるでしょう。
痛みの強さは、凍らせる時間と深く関係しています。アイルランドで200人を対象に行われた研究では、10秒間しっかり凍らせる方法と、イボのまわりが白くなった時点でやめる従来の方法が比べられました。
5回の治療後にイボが治った人の割合は、10秒群で64%、従来法で39%と、しっかり凍らせたほうが高い割合でした。
その一方で、痛みや水ぶくれが出た人は10秒群で100人中64人、従来法で100人中44人と、10秒群で多くみられました。痛みのために治療を中断した人も、10秒群で5人、従来法で1人です。しっかり凍らせるほど治りやすい反面、そのぶん痛みも増えるという関係にあります。
当院では、イボの場所や大きさ、年齢、これまでの痛みの感じ方をふまえて、凍らせる強さを調整しています。前回の治療がつらかった場合は、遠慮なくお伝えください。
液体窒素療法は、1回で終わることはあまりありません。何度か繰り返して、少しずつイボを小さくしていく治療です。一般的には、治るまでに2〜6回ほどの治療が必要とされています。
イギリスで225人を対象に行われた研究では、治るまでに要した治療回数は平均5回前後でした。ただし、途中で通院をやめた人も含めた全体でみると、12回の治療を終えた時点で治っていた人は4〜5割ほどにとどまっています。回数を重ねれば必ず治る、とは言い切れない治療です。
また、イボはウイルスに対する体の免疫が働くことで、治療をしなくても自然に消えることがあります。およそ3分の2のイボは2年以内に自然に消えるという報告もあり、痛みの少ない方法から試すことが基本とされています。
何度治療しても小さくならない場合は、液体窒素にこだわらず、塗り薬や貼り薬、ほかの処置との組み合わせを検討するのが当院の方針です。
同じイギリスの研究では、1週間ごと、2週間ごと、3週間ごとに治療する3つのグループが比べられています。治るまでにかかった期間は平均で、1週間ごとが5.5週、2週間ごとが9.5週、3週間ごとが15週でした。
注目したいのは、治るまでに必要だった治療回数はどのグループも5回前後で、ほとんど差がなかった点です。研究者たちは、治るかどうかは受けた治療の回数で決まり、間隔を詰めればそのぶん早く治ると結論づけています。
つまり、通院の間隔が空くほど、治るまでの期間も長くなるということです。海外の解説では3〜4週間ごとに繰り返すという記載もあります。当院では、水ぶくれやかさぶたの回復を待ちながら、1〜2週間ごとの通院をおすすめしています。
仕事や学校の都合で通院の間隔が空いてしまうこともあるでしょう。その場合も、やめてしまうのではなく、次の予約を入れて治療を続けることが治療期間を短くする近道です。
液体窒素をあてた部分は、数日かけて赤み、腫れ、水ぶくれへと変化していきます。凍らせた深さによっては、しみ出る液が2週間ほど続くこともあります。その後は乾いてかさぶたとなり、少しずつはがれていく流れです。
これは治療によって起こる想定内の反応であり、多くは心配いりません。治療後は次の点に気をつけて過ごしてください。
足の裏など体重がかかる場所は、傷の治りに時間がかかりやすい部位です。歩くと痛む場合は、次回の治療のタイミングも含めて相談してください。
液体窒素療法は比較的安全な治療ですが、副作用がまったくないわけではありません。もっとも多いのは、治療した部分の色が白く抜ける色素脱失です。肌の色が濃い方では、逆に茶色く色素沈着が残ることもあります。
深く凍らせた場合には、へこんだ傷あとが残ることがあります。爪のまわりのイボでは、爪をつくる部分が傷つくと爪が変形することもあるため、凍らせる強さに注意が欠かせません。
また、寒さで悪化する病気がある方は、液体窒素療法が向かないことがあります。次に当てはまる方は、治療前に必ず医師へお伝えください。
もうひとつ大切なのは、治療の前に本当にイボかどうかを見きわめることです。液体窒素療法は、診断がはっきりしないできものには行わないのが原則とされています。見た目がイボに似た別の病気もあるため、自己判断せずに一度診察を受けてください。
液体窒素療法は、イボを凍らせて少しずつ壊していく、皮膚科で広く行われている治療です。処置中の痛みは短時間でおさまることが多い一方、しっかり凍らせるほど痛みや水ぶくれが出やすくなります。
治るまでには一般に2〜6回ほどの治療が必要で、通院の間隔を詰めるほど早く治る傾向です。当院では1〜2週間ごとの通院を目安に、痛みや生活の都合に合わせて治療を進めています。
「痛くて続けられるか不安」「何回通っても変わらない」と感じている方も、ひとりで悩まずに相談してください。イボが気になるときや、治療中に気になる変化があるときは、皮膚科を受診しましょう。
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イボ(尋常性疣贅)の液体窒素療法について、関口院長がわかりやすく解説します。