脂肪腫(良性)と脂肪肉腫(悪性)を正確に見分けるには、見た目や触診だけでは不十分であり、医療機関での専門的な画像検査や精密検査が必要です。自己判断せず、気になるしこりがある場合は気兼ねなく当院までお尋ねください。
※患者さまの具体的な症状やしこりの場所によって、最適な診断・検査方法は異なります。
① 問診と視診・触診(初期の簡易診断)
まずは医師が直接しこりに触れ、状態を詳しく確認します。
- 問診: しこりに気づいた時期、大きくなるスピード(成長速度)、痛みの有無、全身症状(急激な体重減少や発熱など)を確認します。
- 視診・触診による傾向:
- 脂肪腫(良性): 手触りが柔らかい、指で押すと動く(可動性がある)、成長が非常にゆっくり。
- 脂肪肉腫(悪性): 手触りが硬い、周囲の組織に固定されて動かない、急速に大きくなることが多い。
※触診は重要な手がかりになりますが、これだけで確定診断をすることはできません。
② 画像診断(精密検査とそれぞれの利点)
● 超音波検査(エコー検査)
【特徴と利点】 身体への負担や痛みが一切なく、簡易的に行えるため、最初の検査として選ばれることが多いです。
脂肪腫であれば内部の構造が均一で境界がはっきり見えますが、悪性の場合は内部が不均一(固い部分と柔らかい部分の混在)であったり、境界が不明瞭に写ったりします。
● MRI検査
【特徴と利点】 軟部腫瘍の診断において、最も信頼性の高い画像診断法です。
脂肪腫特有の信号パターン(T1強調像での高信号)や均一な構造を精密に捉えることができます。一方、悪性の場合は脂肪以外の成分(線維や他の軟部組織)が混じるため信号が不均一になり、内部の隔壁構造や血流の増加像が確認できます。
● CT検査
【特徴と利点】 主に、腫瘍が周囲の骨へ浸潤(侵入)していないかを評価する場合や、万が一の悪性を疑う際に肺転移などの有無を確認する目的で行われます。(※軟部組織そのものの性質を細かく把握する能力は、MRIの方が優れています)。
③ 生検(組織診)
画像診断で悪性の可能性が否定できない場合や、確定診断が必要な場合には、腫瘍の組織の一部を採取して顕微鏡で詳しく調べる「生検(組織診)」を行うことがあります。
【脂肪腫】痛くないけど…取った方がいいの?医師が解説します