目次 [ 表示 ]

医療法人社団涼美会理事長
新宿・渋谷の皮膚科|駅徒歩30秒・平日21時/土日祝20時まで診療
肝斑(かんぱん)でお悩みの方へ
頬骨のあたりに、左右対称にぼんやりと広がる茶色い色ムラ。「シミだと思ってケアしているのに、なかなか薄くならない」「市販の美白化粧品を何本も試したけれど変化がない」―そのお悩みの正体は、肝斑(かんぱん)かもしれません。
肝斑は30代から50代の女性に多くみられる色素沈着で、いわゆる一般的な「シミ」とは原因も治療の考え方も異なります。良かれと思って続けているケアが、かえって肝斑を濃くしてしまっているケースも少なくありません。
この記事では、肝斑の特徴、シミとの見分け方、原因、治療の選択肢、アメリカでの治療事情、そして毎日のセルフケアまでを、患者様向けにできるだけわかりやすくまとめました。ご自身の症状を理解する手がかりとしてお役立てください。
この記事の要点
REASON
土・日・祝も診療
年末年始も休まず対応
夜平日21時まで
仕事帰りに通いやすい
全院 駅チカ
院内処方お薬をその場で
小さなお子様や
敏感肌も安心
目次 [ 表示 ]

肝斑とは、主に頬骨(ほおぼね)の上、額、口の周り、鼻の下、あごなどに左右対称に現れる、境界がぼんやりとした褐色(かっしょく)〜灰褐色の色素斑です。
「肝」という漢字が使われていますが、肝臓の病気とは関係ありません。色や形が肝臓に似ていることから、この名前が付けられたといわれています。
肝斑には、次のような特徴があります。
肝斑は命に関わる病気ではありません。
しかし顔の目立つ部分に現れるため、見た目の印象や気持ちに影響しやすいのが特徴です。
日本人を含むアジア系の方や、比較的メラニンの多い肌質の方に発症頻度が高いことが知られています。
「シミ」は色素沈着の総称で、実際にはいくつもの種類があります。
中でも肝斑と混同されやすいのが、老人性色素斑(ろうじんせいしきはん:日光性黒子(日光によりできたほくろ))、そばかす(雀卵斑:じゃくらんはん)、炎症後色素沈着です。それぞれの違いを整理すると、次のようになります。
| 項目 | 肝斑 | 老人性色素斑(一般的なシミ) | そばかす |
|---|---|---|---|
| 形・輪郭 | 境界がぼやけた面状に広がる | 境界がはっきりした円形・楕円形 | 数ミリ以下の小さな点が散在 |
| 左右対称性 | 左右対称に出ることが多い | 不規則。片側だけのことも多い | 鼻を中心に左右へ散らばる |
| できやすい場所 | 頬骨の上・額・口の周り・あご | 頬・こめかみ・手の甲・背中 | 鼻・頬の高い位置 |
| 目立ち始める年代 | 30〜50代 | 40代以降に徐々に | 幼少期から。思春期に濃くなる |
| 主な原因 | 女性ホルモン・紫外線・摩擦 | 長年の紫外線の蓄積 | 遺伝的な体質 |
| 色調 | 淡い褐色〜灰褐色 | はっきりした濃い茶色 | 明るい茶色 |
| 濃さの変動 | 季節・体調・妊娠で変動する | 基本的に変動は少ない | 夏に濃く、冬に薄くなる |
| レーザーとの相性 | 強い照射で悪化することがある | うすく目立たなくなる | うすく目立たなくなる |
見分け方のポイントは、「左右対称かどうか」と「輪郭がはっきりしているかどうか」の2点です。
ただし実際には、肝斑と老人性色素斑が同じ場所に混在していることも珍しくありません。見た目だけで自己判断するのは、医師でも難しい領域です。
両者は治療法が異なり、しかも肝斑に対して誤ったアプローチをとると悪化することがあります。
「シミだと思い強い施術を受けたら、むしろ濃くなった」という事態を避けるためにも、まずは正確な診断を受けることが何よりも大切です。
表の中でも、治療を考えるうえで決定的に重要なのが、色素がどの深さに存在しているかという点です。
老人性色素斑(一般的なシミ)は、表皮(ひょうひ=皮膚のいちばん外側の層にできる色素沈着です。厚さは0.2mm程度)の中で完結する変化であり、メラニンは表皮のいちばん下にある基底層(きていそう)に集中しており、いわば「表面近くに色が乗っている」状態にあたります。
そのため、レーザーでその部分のメラニンを壊せば、かさぶたとして排出され、比較的きれいに取り切れることが多いのです。
一方、肝斑の皮ふを顕微鏡で調べると、まったく異なる姿がみえてきます。
つまり肝斑は、「表皮に色が乗っている」のではなく、表皮と真皮を隔てる膜が壊れ、色素が肌の土台側にまでこぼれ落ちている状態です。
さらに真皮側の血管や炎症も巻き込み、慢性的な病態と考えられています。
この構造の違いが、そのまま治療の難しさに直結します。
「シミと同じつもりでケアしても薄くならない」「一度薄くなってもすぐ戻る」という肝斑特有の悩みは、この深さの違いに理由があります。
見た目の上での見分け方のポイントは、「左右対称かどうか」と「輪郭がはっきりしているかどうか」の2点です。
ただし実際には、肝斑と老人性色素斑が同じ場所に混在していることも珍しくなく、自己判断は専門家でも難しい領域です。
治療法が異なるうえ、肝斑に誤ったアプローチをとると悪化することもあるため、まずは正確な診断を受けることが何よりの近道になります。
妊娠中や経口避妊薬(ピル)の服用中、更年期などホルモンが変動する時期に発症・悪化しやすいことから、エストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンの関与が考えられています。
妊娠中に現れるものは「妊娠性肝斑」と呼ばれ、出産後にホルモンバランスが戻るとともに自然と薄くなる場合もあります。
特に女性に関しては、妊娠中や妊娠後はしばらく忙しく気が付きにくいため、肝斑が多くなり、初めて気になり来院することが多いです。
紫外線は、メラノサイト(色素細胞)を活性化させる最大の外的要因です。
肝斑のあるお肌はもともと紫外線に反応しやすい状態にあり、わずかな日焼けでも一気に濃くなります。
近年では紫外線だけでなく、可視光線(特にブルーライトを含む高エネルギー可視光)や赤外線も色素沈着に関わることが指摘されています。
洗顔時のゴシゴシ洗い、クレンジングでの強いマッサージ、タオルでの拭き取り、マスクのこすれ、かゆみによる掻きむしりなど、こうした日常の摩擦は、肝斑を悪化させる大きな要因です。
「化粧品を変えたら濃くなった」という場合、成分そのものより、塗るときの摩擦が原因ということも少なくありません。
ストレスや睡眠不足は、ホルモンバランスや血流、肌の回復力に影響します。
喫煙、過度の飲酒、栄養の偏りも間接的な悪化要因になります。
ご家族に肝斑のあるまたは多い方がいると、発症しやすい傾向があると報告されています。
まずは、次の項目でご自身の症状を確認してみてください。当てはまる数が多いほど、肝斑の可能性が高まります。
医療機関では、問診に加えて、ダーモスコピー(拡大鏡)やウッド灯検査、肌解析機器などを用いて診断します。
確認するのは、色素が表皮の浅い部分にあるのか、真皮の深い部分まで及んでいるのか、他の種類のシミが混ざっていないか、といった点です。
表皮型・真皮型・混合型のどれに当たるかによって、効果が期待できる治療も、必要な期間も変わってきます。
また、まれに薬剤による色素沈着や、別の皮膚疾患が隠れていることもあるため、診断をしたうえで治療方針を決めることが大切です。
肝斑の治療は、「飲み薬(内服)」「塗り薬・美容液(外用)」「施術」の組み合わせが基本です。
数回で劇的に消えるものではなく、数か月単位でじっくり薄くしていく治療である、という点をあらかじめご理解ください。
肝斑治療の中心となる内服薬です。
もともとは止血や抗炎症を目的(のどの痛みが出ている時に処方されることが多い薬)に使われてきた成分ですが、メラノサイト(肝斑の原因)を活性化させる情報伝達を抑える働きがあることが分かっており、肝斑に対する有効性が複数の研究で報告されています。
一般に1日750〜1500mg程度を8週間前後継続し、効果と副作用をみながら継続・休薬を判断していきます。
ただし、血栓症(けっせんしょう)の既往がある方、重い心疾患・腎疾患のある方、経口避妊薬を服用中の方、長期間横になっている状態の方などは、使用できないか経過観察を行いながら投与していくという治療になります。
そのため、必ず医師の判断のもとで服用してください。
抗酸化作用と、メラニン生成を抑える働きを期待して併用されます。
メラニンの生成を抑え、肌のターンオーバーを助ける成分として、トラネキサム酸と組み合わせて用いられることが多くあります。
ドラッグストアで「肝斑に効く飲み薬」として販売されている製品の多くは、トラネキサム酸・ビタミンC・L-システインを組み合わせたものです。
手に取りやすい一方で、持病や併用薬によっては適さない場合がありますので、購入前に薬剤師や医師にご相談ください。
「肌の漂白剤」とも呼ばれる、メラニン生成を強力に抑える成分です。医療機関では2〜5%程度の濃度が用いられます。
効果が高い一方で、刺激感、炎症、赤み、乾燥が起こることがあり、まれに高濃度・長期の使用で色が抜けすぎる白斑や、かえって色素が沈着する変化が報告されています。
夜のみ使用し、日中は必ず日焼け止めを併用するのが原則です。
いずれもビタミンA誘導体です。角質のターンオーバー(再生)を促し、たまったメラニンの排出を助けます。
医療用のトレチノインは作用が強く、赤みや皮むけを伴うため、医師の管理下で濃度と期間を調整しながら使用します。
化粧品に配合されるレチノールはより穏やかで、低濃度から少しずつ肌を慣らしていく使い方が一般的です。
ハイドロキノンとの併用で相乗効果が期待できますが、刺激も強くなるため段階的に導入します。
なお、妊娠中・授乳中はビタミンA誘導体の外用は避けてください。
内服が使えない方でも取り入れやすく、化粧水や美容液にも広く配合されています。刺激が少ないのが利点です。
抗炎症作用とメラニン抑制作用を併せ持ち、妊娠中でも比較的使いやすいとされる選択肢です。
そのほか、ビタミンC誘導体、ナイアシンアミド、コウジ酸、アルブチン、システアミンなども、美白目的の有効成分として用いられます。
「肝斑に効く美容液」を選ぶときは、次の点を目安にしてみてください。
※注:期間とお肌への負担が重要になります。特に負担が強い場合には、逆にシミや肝斑が増えてしまう可能性も高いので、慎重な判断と医師の指示に従い使用することをおススメいたします。
肝斑は、「レーザーを当てれば消える」タイプの色素斑ではありません。
むしろ、一般的なシミ取りレーザーやIPL(光治療)を強い出力で照射すると、その炎症をきっかけにメラノサイトが刺激され、かえって濃くなってしまうことがあります。これが肝斑治療で最も注意すべき点です。
近年は、低出力のレーザーを回数を重ねて照射する「レーザートーニング」や、ピコ秒レーザーによる低フルエンス照射などが用いられています。
内服・外用と組み合わせることで有効な場合もありますが、次の点に留意が必要です。
※注:肝斑の場合には、レーザー治療は難しいことが多いため、治療方法を医師とよく相談してから行うようにしてください。
ケミカルピーリング、マイクロニードリング、イオン導入やエレクトロポレーションなどが、補助的な選択肢として用いられます。
いずれも刺激が強すぎれば悪化要因になり得るため、肝斑があることを前提とした慎重な治療や施術が求められます。
アメリカでも肝斑(melasma)はよくある相談であり、特にヒスパニック系、アジア系、中東系など、比較的メラニンの多い肌質の方に多くみられます。
治療の基本的な考え方は日本と大きく変わらず、「遮光の徹底」と「外用療法」が第一選択です。
そのうえで内服や施術を段階的に検討するという流れに入ります。
ここでは、米国の特徴的な治療点をいくつか挙げます。
ハイドロキノン、トレチノイン、弱いステロイドを組み合わせた処方薬がFDAの承認を受けており、肝斑治療の標準的な選択肢として広く使われています。
効果は高い一方、長期連用には注意が必要とされ、期間を区切って使うのが一般的です。
また、ステロイド剤の処方は医療目的ではなく、患者様が訴訟(炎症が起きた)を起こした場合を想定し、炎症予防のために処方されています。
2020年の米国での薬事法の改正により、店頭で自由に購入できたOTCのハイドロキノン製品は市場から外れ、原則として医師の処方が必要になりました。
安全性への配慮からの措置です。
カリブ海や南米、英国などではまだ薬局で購入できますが、強い薬や汗をかくと炎症を起こしやすいため、使用する際にはパッチテストを事前に行うなど慎重な対応をおススメいたします。
日本では肝斑に対して広く用いられていますが、アメリカではこの目的での使用は適応外(オフラベル)にあたります。
血栓リスクを評価したうえで処方されるケースが増えており、有効性を支持する研究報告も多いため、自由診療可能なクリニックでは処方されることが多いです。
紫外線だけでなく可視光線もブロックするという観点から、酸化鉄(アイアンオキサイド)配合の色付き日焼け止めが推奨される傾向が強まっています。
透明タイプより、肌色のついたタイプのほうが肝斑には有利、という考え方です。
米国の皮膚科診療のガイダンスでも、レーザーは第一選択ではなく、外用・内服で効果が不十分な場合の選択肢と位置づけられています。
この点は日本の治療方針とも共通しています。
海外で治療を受けた経験のある方、個人輸入で海外製の美白製品を使用している方は、成分や濃度が日本の一般的な製品と異なることがあります。
使用中の製品がある場合には、受診時に必ず医師へお伝えください。
肝斑は「治って終わり」ではなく、上手に付き合いながら濃くさせないことを目標にする症状です。
治療によって薄くなった後も、遮光と摩擦対策を続けることが、そのまま再発予防になります。
なお、当院では肝斑に対するレーザー治療は行っておりません。本記事は、肝斑について正しく知っていただくための情報提供を目的としたものです。
気になる色ムラやシミがある場合、また自己流のケアを続けても改善しない場合は、強い刺激を与える前に、皮膚科・美容皮膚科の専門医にご相談ください。
まずは正確な診断を受けること。それが遠回りのようでいて、いちばん確実な近道です。
当院は保険診療を中心とした皮膚科クリニックです
当院の診療実績:2025年度 年間延べ来院者数 19,763名
(集計期間:2025年1月〜12月 当院レセコンデータに基づく)

医療法人社団涼美会理事長
※本ページはれいわクリニックの医師が監修しています。
他の症状・お悩みから探す
ニキビ・できもの・しこり
感染症・うつる皮膚病
かゆみ・湿疹・乾燥
赤み・ブツブツ・汗の症状
抜糸・けが・火傷・傷あと
アレルギー