日本皮膚科学会は「円形脱毛症診療ガイドライン2024」を公表し、治療法ごとに推奨度を示しています。どの治療を選ぶかは、年齢、脱毛範囲、急性期か固定期か、これまでの治療歴、ご本人の希望を総合して決めます。
1.ステロイド外用薬(推奨度1)
最も基本となる治療で、脱毛斑に直接塗り、毛包を攻撃している炎症を抑えます。
範囲が狭い場合の第一選択で、お子様にも使いやすいのが利点です。
長期に強い薬を使い続けると頭皮が薄くなることがあるため、医師の指示に沿って使用期間や強さを調整します。
2.ステロイド局所注射(推奨度1)
脱毛斑の皮ふ内にステロイド剤を細い針で直接注射する方法であり、単発型・多発型の患者様に有効性の高い治療です。
通常3〜4週間隔で数回繰り返します。
注射時の痛みや、同じ場所に繰り返すと皮膚がへこむことがあるため、原則として成人の方を対象としております。
3.ステロイドの内服・点滴(パルス療法)
発症から6か月以内で急速に進行している成人の患者様には、短期間のステロイド全身投与が検討されます。
特にパルス療法は高用量を3日間連続で点滴し、進行に急ブレーキをかける治療です。
血糖・血圧の上昇や不眠、感染リスクなど全身の副作用に注意が必要であるため、専門施設での管理が求められます。
お子様への安全性は確立しておりませんので、使用はされません。
4.局所免疫療法(SADBE・DPCP)
脱毛部にわざと軽いかぶれを起こす薬剤を塗り、免疫の働きの向きを変える治療です。
範囲の広い固定期に対して実績のある方法で、週1回程度の通院で濃度を調整しながら続けます。
かゆみや赤みが出ること、保険適用外であることが留意点ですが、長期の安全性が確立しており、費用は内服の新薬より抑えられます。
5.JAK阻害薬の内服(推奨度1)——重症例の新しい選択肢
近年、円形脱毛症の治療を大きく変えたのがJAK阻害薬です。
免疫が毛包を攻撃する際の信号伝達を内側からブロックする飲み薬で、これまで有効な手段が乏しかった重症例にも改善が期待できるようになりました。
日本では、バリシチニブ(オルミエント)が2022年6月に、リトレシチニブ(リットフーロ)が2023年9月に重症円形脱毛症へ保険適用となりました。
対象は、頭部全体のおおむね50%以上に脱毛があり、過去6か月程度、自然な発毛が見られない方です。
年齢の条件はバリシチニブが15歳以上、リトレシチニブが12歳以上であり、経過観察にはおおむね36〜48週かかります。
臨床試験では一定の割合の患者様で明らかな発毛が得られていますが、脱毛期間が長い方ほど効果が出にくい傾向があり、この点からも早期の相談が重要です。
感染症などのリスクがあるため定期的な血液検査が必須であり、処方には適応できるかどうかの条件を満たさなくてはいけません。
薬剤費は高額ですが、高額療養費制度や自治体の医療費助成の対象となります。
6.光線療法・そのほかの治療
エキシマライトやナローバンドUVBなどの紫外線療法を外用薬と組み合わせることがあります。
また補助的にセファランチン、グリチルリチン酸製剤、抗ヒスタミン薬が用いられることもあります。
7.ウィッグ・かつらも治療の一つ
意外に思われるかもしれませんが、ガイドラインではウィッグ(かつら)も推奨度1に位置づけられています。
髪が生えそろうまで安心して社会生活を送れることは精神的負担を減らし、治療の継続を支えます。
医療用ウィッグの購入費に助成制度を設けている自治体もありますので、お住まいの市区町村にご確認ください。
放置NG!円形脱毛症は保険で治療できます【医師解説】(れいわクリニック)