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医療法人社団涼美会理事長
新宿・渋谷の皮膚科|駅徒歩30秒・平日21時/土日祝20時まで診療
ニキビで皮膚科を受診したものの、処方された薬が何種類もあって「どれが何のための薬なのか分からない」「塗ると乾燥するので途中でやめてしまった」という方は少なくありません。また、抗菌薬を長期間飲み続けている、市販薬と処方薬の違いが分からない、過酸化ベンゾイルでタオルや枕カバーの色が抜けてしまったなど、ニキビ治療薬の使い方に悩むケースもあります。
ニキビの保険診療で使用される薬には、アダパレンや過酸化ベンゾイル、抗菌薬などがあり、それぞれ毛穴のつまりや炎症、アクネ菌など異なる部分に作用します。症状や重症度に応じて適切に組み合わせることが重要ですが、抗菌薬は耐性菌の問題があるため、使用期間にも注意が必要です。
この記事では、ニキビの保険治療で使用される外用薬・内服薬の種類や効果、正しい使い方、副作用や注意点について、ガイドラインや文献をもとに医師が詳しく解説します。
この記事の要点
REASON
土・日・祝も診療
通院の予定を立てやすい
夜平日21時まで
仕事帰りにも通いやすい
ニキビ治療薬の
保険診療に対応
ニキビの状態に合わせた
治療をご提案
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ニキビの保険診療で処方される薬は、実はそれほど多くありません。数は限られていて、しかも一つひとつに明確な役割が割り当てられています。
ところが、その役割が伝わらないまま処方だけが渡されると、自己判断で中断したり、間違った使い方をしたりする結果になりがちです。
ここでは保険で使える外用薬と内服薬について、何にどう効くのか、どう使えば効果が出るのかを整理しました。
ニキビは、次の4つが順番に、あるいは同時に起きることで生じるものです。
薬はそれぞれ、この4つのどこかに作用する仕組みになっています。1剤ですべてをカバーできるものはほとんどないため、複数を組み合わせるのが標準的な考え方です。
実際、NICEガイドラインの解析では、過酸化ベンゾイル・クリンダマイシン・レチノイドを含む外用薬の組み合わせは、それぞれを単独で使うより効果が高いと示されました。
しかも、この傾向は重症度を問わず認められています。
一方で3剤を組み合わせても、2剤の組み合わせと同等かそれ以下という結果でした。多ければよいわけでもないのです。
レチノイドはビタミンAの誘導体で、日本ではアダパレン0.1%ゲルが保険で使えます。
働きは毛穴のつまりを取ることです。角化細胞の受容体に結合し、毛穴の角化を正常な状態に戻して、ニキビの出発点である微小面皰ができるのを防ぐ働きを持ちます。黒ニキビ・白ニキビにも、赤いブツブツや膿を持ったニキビにも効くため、多くのケースで治療の中心に据えられる薬です。
炎症が治まったあとの維持療法にも推奨されています。ニキビ治療の大半は抑える性質のもので、根治させる薬ではありません。だからこそ、きれいになったあとに続ける薬が要るのです。
使い方には、知っておくと差がつくポイントがあります。
副作用は乾燥、刺激感、皮むけ、日光への過敏性です。多くはノンコメドジェニックの保湿剤と日焼け止めで管理できる範囲に収まります。
刺激を減らす方法として、NICEガイドラインは隔日塗布のほかに、1時間ほどで洗い流す短時間接触も挙げました。
なお妊娠中および妊娠を計画している場合、外用レチノイドは使えません。
過酸化ベンゾイルは、日本では2.5%ゲルが保険適用になっている薬で、略してBPOと呼ばれます。
最大の特徴は、抗菌薬ではないのにアクネ菌を殺す点にあります。皮膚に吸収されたあと安息香酸に変わり、活性酸素種を放出して細菌のタンパク質を酸化させる仕組みです。
効果の数字も出ています。10%製剤を2週間毎日使用したところ、毛包内のアクネ菌が98%減少し、遊離脂肪酸は50%減りました。これは抗菌薬を4週間使った場合に匹敵する結果です。
そして臨床的に最も重要なのが、耐性菌が生じないこと。ほかの外用抗菌薬と違い、過酸化ベンゾイルでは薬剤耐性の発生が報告されていません。
抗菌薬と併用したときに耐性菌の出現を抑える働きも確認されています。
使ううえでの注意点は次のとおり。
アダパレンは過酸化ベンゾイルによる酸化に強く、同時に使っても効果が落ちにくい性質を持った薬剤です。だからこそ両者の配合剤が成立しているわけです。
なお、5%の過酸化ベンゾイルを1日2回使う方法は、全妊娠期を通じて安全と考えられています。全身への吸収がごくわずかなためです。
外用の抗菌薬には、クリンダマイシン、ナジフロキサシン、オゼノキサシンなどがあり、炎症性のニキビに対して有効です。
ただし使い方には明確なルールがあります。外用抗菌薬の単独使用は禁物です。
NICEガイドラインは、外用抗菌薬の単剤治療、内服抗菌薬の単剤治療、外用抗菌薬と内服抗菌薬の併用の3つを、いずれも行わないと明記しました。
理由は耐性菌の問題で、アクネ菌のうちニキビと関連する菌株は毛穴の中でバイオフィルムを作り、抗菌薬への耐性を獲得することが知られています。
そこで実際の処方では配合剤が中心になり、日本ではアダパレンと過酸化ベンゾイルの配合ゲル、クリンダマイシンと過酸化ベンゾイルの配合ゲルが保険で使えます。
配合剤には、耐性を防ぐ以外の利点もあります。塗る手間が1回で済むぶん、治療を続けやすくなるのです。
実際、過酸化ベンゾイルを追加すべき患者を対象にした調査では、実際に製品を入手していたのは30%にとどまりました。処方の複雑さは、それ自体が治療の失敗要因になるわけです。
中等症から重症のニキビでは、外用薬に内服の抗菌薬を加える方針が標準的です。
第一に選ばれるのがテトラサイクリン系で、ドキシサイクリンやミノサイクリンが該当します。菌を抑えるだけでなく抗炎症作用を持つ点が評価されてきた薬です。
NICEガイドラインはドキシサイクリン100mg/日を挙げ、1日1回で済むこと、食事と一緒に飲めることを理由に推奨しました。
ミノサイクリンについては、ループス様症状・肝炎・色素沈着のリスクがより高いと指摘されています。
注意すべき点は次のとおり。
そして期間の問題があり、抗菌薬は可能な限り短期間で終えるのが原則とされています。文献では理想として3〜4か月が挙げられました。
NICEガイドラインの手順はこうです。12週で効果を見直し、完全にきれいになっていれば抗菌薬をやめて外用薬だけを続ける流れになります。
改善したものの完全ではない場合は、外用薬と併せてさらに12週までの延長が可能です。6か月を超えて続けるのは例外的な場合に限られ、その際も3か月ごとに見直します。
テトラサイクリン系が使えない方には、トリメトプリムやエリスロマイシンなどのマクロライド系が代替の候補になります。
女性のニキビでは、ホルモンに働きかける治療も選択肢の一つです。
低用量ピルは、アンドロゲンの作用を抑えて皮脂の分泌を減らす薬です。スピロノラクトンはアンドロゲン受容体を遮断する内服薬で、皮脂分泌をおよそ50%減らすと報告されました。
多嚢胞性卵巣症候群を合併する場合、NICEガイドラインは第一選択の外用治療が効かないときにピルの追加を検討するとしています。
一方で、プロゲスチン単剤のピルは効果が乏しく、かえってニキビを悪化させる可能性が指摘されました。
避妊目的で服用中の薬がニキビに影響していないか、一度確認する価値はあるでしょう。
なお日本では、これらのホルモン療法はニキビを目的とした保険適用にはなっていません。月経困難症など別の適応で処方される場合を除き、原則として自費の扱いになります。
ビタミンB2・B6の内服は、日本の保険診療でニキビに広く併用されてきた薬です。皮脂の代謝を助ける目的で用いられるもので、単独で強い効果を期待する種類の薬ではありません。
最後は、この記事でいちばんお伝えしたい点です。
ニキビ治療は、効果が目に見えるまで6〜8週かかります。NICEガイドラインは、この事実を治療開始時に必ず説明するよう求めました。効果が出る前にやめてしまう人があまりに多いためです。
そして12週で効果を判定し、改善が不十分なら別の組み合わせへ切り替えるか、専門医への紹介を検討する段取りになります。逆にきれいになった場合は、維持療法へ移る段階です。
乾燥や刺激で続けられそうにないときは、自己判断でやめる前に相談してください。
塗る頻度を減らす、短時間で洗い流す、保湿を強化するなど、続けるための手立てはいくつも用意されているのです。
保険で使えるニキビの薬は、毛穴のつまりに効くレチノイド、耐性菌を作らずアクネ菌を減らす過酸化ベンゾイル、炎症を抑える抗菌薬という3本柱で構成されています。
これらを単独ではなく組み合わせて使うのが、現在の標準的な考え方です。
抗菌薬は短期で切り上げ、外用薬を軸に据える。効果判定は12週まで待つ。きれいになったあとも維持療法を続ける。
この3点を押さえるだけで、治療の成功率は大きく変わってきます。
処方された薬の役割が分からないまま使っている方、抗菌薬を長く飲み続けている方は、一度皮膚科で今の治療内容を見直してみてください。
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