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ニキビの保険治療薬とは?|薬の種類・効果・使い方を医師が解説

ニキビで皮膚科を受診したものの、処方された薬が何種類もあって「どれが何のための薬なのか分からない」「塗ると乾燥するので途中でやめてしまった」という方は少なくありません。また、抗菌薬を長期間飲み続けている、市販薬と処方薬の違いが分からない、過酸化ベンゾイルでタオルや枕カバーの色が抜けてしまったなど、ニキビ治療薬の使い方に悩むケースもあります。

ニキビの保険診療で使用される薬には、アダパレンや過酸化ベンゾイル、抗菌薬などがあり、それぞれ毛穴のつまりや炎症、アクネ菌など異なる部分に作用します。症状や重症度に応じて適切に組み合わせることが重要ですが、抗菌薬は耐性菌の問題があるため、使用期間にも注意が必要です。

この記事では、ニキビの保険治療で使用される外用薬・内服薬の種類や効果、正しい使い方、副作用や注意点について、ガイドラインや文献をもとに医師が詳しく解説します。

この記事の要点

  • 保険で使えるニキビ治療薬:
    アダパレン、過酸化ベンゾイル、抗菌薬などがあり、それぞれ毛穴のつまりや炎症、アクネ菌など異なる作用があります。
  • 薬は症状に合わせて組み合わせる:
    ニキビの種類や重症度に応じて、外用薬や内服薬を組み合わせて治療することが基本です。
  • 抗菌薬は長期間使用しない:
    薬剤耐性を防ぐため、抗菌薬は必要以上に長く使用せず、効果を確認しながら治療期間を調整することが大切です。
  • 効果判定と継続が重要:
    ニキビ治療は効果が出るまで時間がかかるため、乾燥や刺激などの副作用にも対処しながら、適切な期間治療を続けることが重要です。

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目次 [ 表示 ]

1. はじめに

  • 処方された薬が何種類もあって、どれが何のためか分からない
  • 「塗ると乾燥する」と聞いて、途中でやめてしまった
  • 抗菌薬をもう半年以上飲み続けている
  • 市販薬と処方薬の違いがよく分からない
  • タオルや枕カバーが白く色抜けした

ニキビの保険診療で処方される薬は、実はそれほど多くありません。数は限られていて、しかも一つひとつに明確な役割が割り当てられています。
ところが、その役割が伝わらないまま処方だけが渡されると、自己判断で中断したり、間違った使い方をしたりする結果になりがちです。
ここでは保険で使える外用薬と内服薬について、何にどう効くのか、どう使えば効果が出るのかを整理しました。

2. まず、ニキビの薬が狙っている4つのポイント

ニキビは、次の4つが順番に、あるいは同時に起きることで生じるものです。

  • 皮脂の分泌が増える
  • 毛穴の出口の角質が厚くなり、つまる
  • つまった毛穴の中でアクネ菌が増える
  • 炎症が起こる

薬はそれぞれ、この4つのどこかに作用する仕組みになっています。1剤ですべてをカバーできるものはほとんどないため、複数を組み合わせるのが標準的な考え方です。
実際、NICEガイドラインの解析では、過酸化ベンゾイル・クリンダマイシン・レチノイドを含む外用薬の組み合わせは、それぞれを単独で使うより効果が高いと示されました。
しかも、この傾向は重症度を問わず認められています。
一方で3剤を組み合わせても、2剤の組み合わせと同等かそれ以下という結果でした。多ければよいわけでもないのです。


【参考文献】

3. 外用薬①:レチノイド(アダパレンなど)

レチノイドはビタミンAの誘導体で、日本ではアダパレン0.1%ゲルが保険で使えます。
働きは毛穴のつまりを取ることです。角化細胞の受容体に結合し、毛穴の角化を正常な状態に戻して、ニキビの出発点である微小面皰ができるのを防ぐ働きを持ちます。黒ニキビ・白ニキビにも、赤いブツブツや膿を持ったニキビにも効くため、多くのケースで治療の中心に据えられる薬です。
炎症が治まったあとの維持療法にも推奨されています。ニキビ治療の大半は抑える性質のもので、根治させる薬ではありません。だからこそ、きれいになったあとに続ける薬が要るのです。
使い方には、知っておくと差がつくポイントがあります。

    夜に1日1回塗る
    肌が乾いた状態で塗る
    ニキビの部分だけでなく、患部全体に薄く広げる
    顔全体なら真珠1粒ほどの量で足りる
    刺激が強ければ、隔日か3日に1回から始めて徐々に毎日へ

副作用は乾燥、刺激感、皮むけ、日光への過敏性です。多くはノンコメドジェニックの保湿剤と日焼け止めで管理できる範囲に収まります。
刺激を減らす方法として、NICEガイドラインは隔日塗布のほかに、1時間ほどで洗い流す短時間接触も挙げました。
なお妊娠中および妊娠を計画している場合、外用レチノイドは使えません。


【参考文献】

4. 外用薬②:過酸化ベンゾイル

過酸化ベンゾイルは、日本では2.5%ゲルが保険適用になっている薬で、略してBPOと呼ばれます。
最大の特徴は、抗菌薬ではないのにアクネ菌を殺す点にあります。皮膚に吸収されたあと安息香酸に変わり、活性酸素種を放出して細菌のタンパク質を酸化させる仕組みです。
効果の数字も出ています。10%製剤を2週間毎日使用したところ、毛包内のアクネ菌が98%減少し、遊離脂肪酸は50%減りました。これは抗菌薬を4週間使った場合に匹敵する結果です。
そして臨床的に最も重要なのが、耐性菌が生じないこと。ほかの外用抗菌薬と違い、過酸化ベンゾイルでは薬剤耐性の発生が報告されていません。
抗菌薬と併用したときに耐性菌の出現を抑える働きも確認されています。
使ううえでの注意点は次のとおり。

  • 衣類・寝具・毛髪を脱色するため、白いタオルや古い衣類を使う
  • 目、鼻、口、粘膜、傷のある皮膚には使わない
  • 使いはじめの3日間は1〜2か所の狭い範囲で試す
  • 紫外線を避け、日焼け止めを併用する
  • トレチノインとは同時に塗らない(酸化して効果が落ちる)

アダパレンは過酸化ベンゾイルによる酸化に強く、同時に使っても効果が落ちにくい性質を持った薬剤です。だからこそ両者の配合剤が成立しているわけです。
なお、5%の過酸化ベンゾイルを1日2回使う方法は、全妊娠期を通じて安全と考えられています。全身への吸収がごくわずかなためです。


【参考文献】

5. 外用薬③:抗菌薬と配合剤

外用の抗菌薬には、クリンダマイシン、ナジフロキサシン、オゼノキサシンなどがあり、炎症性のニキビに対して有効です。
ただし使い方には明確なルールがあります。外用抗菌薬の単独使用は禁物です。
NICEガイドラインは、外用抗菌薬の単剤治療、内服抗菌薬の単剤治療、外用抗菌薬と内服抗菌薬の併用の3つを、いずれも行わないと明記しました。
理由は耐性菌の問題で、アクネ菌のうちニキビと関連する菌株は毛穴の中でバイオフィルムを作り、抗菌薬への耐性を獲得することが知られています。

そこで実際の処方では配合剤が中心になり、日本ではアダパレンと過酸化ベンゾイルの配合ゲル、クリンダマイシンと過酸化ベンゾイルの配合ゲルが保険で使えます。
配合剤には、耐性を防ぐ以外の利点もあります。塗る手間が1回で済むぶん、治療を続けやすくなるのです。
実際、過酸化ベンゾイルを追加すべき患者を対象にした調査では、実際に製品を入手していたのは30%にとどまりました。処方の複雑さは、それ自体が治療の失敗要因になるわけです。

6. 内服薬①:抗菌薬

中等症から重症のニキビでは、外用薬に内服の抗菌薬を加える方針が標準的です。
第一に選ばれるのがテトラサイクリン系で、ドキシサイクリンやミノサイクリンが該当します。菌を抑えるだけでなく抗炎症作用を持つ点が評価されてきた薬です。
NICEガイドラインはドキシサイクリン100mg/日を挙げ、1日1回で済むこと、食事と一緒に飲めることを理由に推奨しました。

ミノサイクリンについては、ループス様症状・肝炎・色素沈着のリスクがより高いと指摘されています。
注意すべき点は次のとおり。

  • 8歳未満の小児と妊娠中の方には使えない
  • 発育中の歯に着色を起こすことがある
  • 光線過敏が起こるため、日焼け対策が必要
  • 消化器症状、食道炎、偽脳腫瘍の報告がある

そして期間の問題があり、抗菌薬は可能な限り短期間で終えるのが原則とされています。文献では理想として3〜4か月が挙げられました。
NICEガイドラインの手順はこうです。12週で効果を見直し、完全にきれいになっていれば抗菌薬をやめて外用薬だけを続ける流れになります。
改善したものの完全ではない場合は、外用薬と併せてさらに12週までの延長が可能です。6か月を超えて続けるのは例外的な場合に限られ、その際も3か月ごとに見直します。
テトラサイクリン系が使えない方には、トリメトプリムやエリスロマイシンなどのマクロライド系が代替の候補になります。

7. 内服薬②:ホルモン療法とビタミン剤

女性のニキビでは、ホルモンに働きかける治療も選択肢の一つです。
低用量ピルは、アンドロゲンの作用を抑えて皮脂の分泌を減らす薬です。スピロノラクトンはアンドロゲン受容体を遮断する内服薬で、皮脂分泌をおよそ50%減らすと報告されました。
多嚢胞性卵巣症候群を合併する場合、NICEガイドラインは第一選択の外用治療が効かないときにピルの追加を検討するとしています。

一方で、プロゲスチン単剤のピルは効果が乏しく、かえってニキビを悪化させる可能性が指摘されました。
避妊目的で服用中の薬がニキビに影響していないか、一度確認する価値はあるでしょう。
なお日本では、これらのホルモン療法はニキビを目的とした保険適用にはなっていません。月経困難症など別の適応で処方される場合を除き、原則として自費の扱いになります。
ビタミンB2・B6の内服は、日本の保険診療でニキビに広く併用されてきた薬です。皮脂の代謝を助ける目的で用いられるもので、単独で強い効果を期待する種類の薬ではありません。

8. 効果判定は12週、途中でやめないこと

最後は、この記事でいちばんお伝えしたい点です。
ニキビ治療は、効果が目に見えるまで6〜8週かかります。NICEガイドラインは、この事実を治療開始時に必ず説明するよう求めました。効果が出る前にやめてしまう人があまりに多いためです。
そして12週で効果を判定し、改善が不十分なら別の組み合わせへ切り替えるか、専門医への紹介を検討する段取りになります。逆にきれいになった場合は、維持療法へ移る段階です。
乾燥や刺激で続けられそうにないときは、自己判断でやめる前に相談してください。
塗る頻度を減らす、短時間で洗い流す、保湿を強化するなど、続けるための手立てはいくつも用意されているのです。

8. ニキビの保険治療に関するよくある質問(Q&A)

Q. ニキビの治療薬は健康保険が適用されますか?
はい。ニキビの診察や、アダパレン、過酸化ベンゾイル、抗菌薬などのニキビ治療薬には健康保険が適用されます。ただし、治療内容や薬剤によって保険適用の対象が異なるため、詳しくは診察時にご確認ください。
Q. ニキビの保険治療では、どのような薬が使われますか?
主に、毛穴のつまりを改善するアダパレン、アクネ菌を減らす過酸化ベンゾイル、炎症を抑える抗菌薬などが使われます。症状の種類や重症度に応じて、これらの薬を単独または組み合わせて治療します。
Q. ニキビの薬を塗ると乾燥や皮むけが起こるのはなぜですか?
アダパレンや過酸化ベンゾイルなどの外用薬では、使い始めに乾燥、刺激感、赤み、皮むけなどが起こることがあります。多くは治療を続けるうちに落ち着いていきますが、刺激が強い場合は塗る頻度を減らすなどの方法もあるため、自己判断で中止せず医師にご相談ください。
Q. 過酸化ベンゾイルを使うとタオルや衣類が色抜けするのはなぜですか?
過酸化ベンゾイルには漂白作用があるため、衣類やタオル、寝具、毛髪などに付着すると色が抜けることがあります。使用後は十分に洗い流し、白いタオルや衣類を使用するなどの対策がおすすめです。
Q. ニキビの抗菌薬は長期間飲み続けても大丈夫ですか?
抗菌薬は必要以上に長期間使用しないことが重要です。薬剤耐性菌の問題があるため、効果を12週間程度で確認し、改善していれば抗菌薬を終了して外用薬による維持療法へ移行することが基本です。6か月を超えて使用する場合は例外的な対応となるため、定期的な見直しが必要です。
Q. ニキビ治療はどのくらいで効果が出ますか?
ニキビ治療は、効果が現れるまで6〜8週間程度かかることがあります。すぐに改善しないからといって自己判断で薬を中止せず、まずは12週間程度を目安に治療を続け、効果や副作用を医師と確認しながら治療方針を調整することが大切です。
Q. ニキビがきれいになったら薬をやめてもいいですか?
炎症が治まったあとも、ニキビは再発することがあります。そのため、状態に応じてアダパレンや過酸化ベンゾイルなどによる維持療法を続けることがあります。薬をやめるタイミングは、現在の肌の状態を確認したうえで医師と相談しましょう。
Q. ニキビの薬は妊娠中でも使えますか?
アダパレンなどの外用レチノイドは、妊娠中および妊娠を計画している場合には使用できません。一方、過酸化ベンゾイルは全身への吸収が少なく、妊娠中でも使用できるとされています。妊娠中や妊娠を希望している場合は、必ず診察時に医師へお伝えください。
Q. 市販のニキビ薬と保険で処方される薬は何が違いますか?
市販薬にもニキビの改善を目的とした成分が含まれていますが、医療機関では肌の状態やニキビの種類・重症度を診察したうえで、症状に合わせた薬を選択できます。市販薬を使っても改善しない場合や、繰り返すニキビ、炎症の強いニキビがある場合は、皮膚科への相談をおすすめします。
Q. ニキビの薬は何種類も一緒に使っても大丈夫ですか?
ニキビ治療では、作用の異なる薬を組み合わせて使用することがあります。ただし、薬を多く使えばよいというわけではありません。症状や重症度に応じて適切な組み合わせを選ぶことが重要です。処方された薬の使い方が分からない場合は、自己判断で増減せず医師や薬剤師に確認しましょう。

ニキビの総合情報


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9. まとめ

保険で使えるニキビの薬は、毛穴のつまりに効くレチノイド、耐性菌を作らずアクネ菌を減らす過酸化ベンゾイル、炎症を抑える抗菌薬という3本柱で構成されています。
これらを単独ではなく組み合わせて使うのが、現在の標準的な考え方です。

抗菌薬は短期で切り上げ、外用薬を軸に据える。効果判定は12週まで待つ。きれいになったあとも維持療法を続ける。
この3点を押さえるだけで、治療の成功率は大きく変わってきます。

処方された薬の役割が分からないまま使っている方、抗菌薬を長く飲み続けている方は、一度皮膚科で今の治療内容を見直してみてください。

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10. この記事の監修・執筆医

たこ・うおのめ治療の監修・執筆:医療法人社団涼美会 理事長 関口知秀医師

医療法人社団涼美会理事長

関口 知秀

ニキビをはじめとする一般皮膚科から、粉瘤や脂肪腫などの日帰り手術まで幅広く診療。「再発させない根本治療」と、患者様のライフスタイルに寄り添ったフットケア指導、低負担で安全な除去処置を重視しています。
新宿・渋谷の拠点にて、土日祝日や夜間も安心してご相談いただける体制を整えています。

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※本ページはれいわクリニックの医師が監修しています。

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