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ケミカルピーリングはどんな人におすすめ?|効果・ニキビへの作用を医師が解説

ニキビの塗り薬を続けているのに毛穴のざらつきが取れない、炎症は治まったのに茶色い跡が残っている、小さな白ニキビが額や頬に繰り返しできるなど、肌の悩みが続いている方も少なくありません。また、肌のごわつきや化粧のりの悪さから、ケミカルピーリングを検討しているものの、「本当に効果があるのか」「刺激が強くないのか」と不安に感じる方もいるでしょう。

ケミカルピーリングは、薬剤によって皮膚に適度な刺激を与え、皮膚の再生やリモデリングを促す治療です。ニキビや毛穴のつまり、炎症後の色素沈着などに用いられますが、肌の状態や使用する薬剤によって適した施術は異なります。また、活動中のニキビを抑える治療を優先したほうがよいケースもあります。

この記事では、ケミカルピーリングの仕組みや薬剤の違い、ニキビ・ニキビ跡・色素沈着への効果、向いている人・受けられない人、施術前後の注意点や副作用について、文献をもとに医師が詳しく解説します。

この記事の要点

  • ケミカルピーリングの仕組み:
    薬剤によって皮膚に適度な刺激を与え、皮膚の再生やリモデリングを促す治療です。
  • ニキビや色素沈着に用いられる:
    毛穴のつまりやニキビ、炎症後の色素沈着などに対して、標準治療を補う治療として行われることがあります。
  • 薬剤や深さによって効果が異なる:
    グリコール酸やサリチル酸など、使用する薬剤や濃度によって作用する深さや適した症状が異なります。
  • 施術前後のケアが重要:
    外用薬の休薬や紫外線対策、保湿などが重要です。肌の状態によっては施術を受けられない場合もあります。

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目次 [ 表示 ]

1. はじめに

ケミカルピーリングはどんな人におすすめ?効果について

  • 塗り薬を続けているのに、毛穴のざらつきが取れない
  • 炎症は治まったのに、茶色い跡がいつまでも残っている
  • 小さな白ニキビが額や頬にずっと散らばっている
  • 肌全体がごわついて、化粧のりが悪い
  • ピーリングをすすめられたが、本当に効くのか分からない

ケミカルピーリングは、美容目的の施術として紹介されることが多い治療です。そのため肌を溶かす、刺激が強いといったイメージだけが先行しがちでもあります。
実際には皮膚科で長く使われてきた医療行為で、向いている人とそうでない人がはっきり分かれます。
ここでは仕組み、適している状態、避けるべき状態、そして効果の実際について、文献をもとに整理しました。

2. ケミカルピーリングは何をしているのか

ケミカルピーリングは、化学物質を皮膚に塗り、管理された範囲であえて表皮に傷害を起こす施術です。その傷害をきっかけに皮膚の再生とリモデリングが促され、結果として肌の見た目や質感が改善します。
重要なのは深さの概念でしょう。ピーリングは浸透する深さによって3つに分類されます。

  • 浅いピーリング:表皮の中だけに作用する
  • 中間の深さ:表皮から乳頭層を越え、網状層の上部まで届く
  • 深いピーリング:網状層の中層まで及ぶ

このうちニキビに用いられるのは、浅いピーリングです。文献では、浅いピーリングはニキビや色素沈着に効果的で、肌の質感も軽度に改善すると記載されています。
中間の深さは、色素沈着、日光角化症、浅いニキビ跡、浅いしわが対象。深いピーリングは重度のニキビ跡や深いしわに用いられます。つまり活動中のニキビと残ってしまった跡では、選ぶ深さが変わってくるのです。

3. 薬剤の違いと、ニキビに向く薬剤

ピーリング剤は、大きく角質溶解剤とタンパク変性剤に分かれます。ニキビで使われるのは主に前者です。
グリコール酸は、サトウキビ由来のアルファヒドロキシ酸(AHA)。作用を止めるために重炭酸ナトリウムや冷たい生理食塩水で中和する必要があります。
サリチル酸はベータヒドロキシ酸(BHA)で、グリコール酸より脂溶性が高いのが特徴です。

この性質のおかげで皮膚により深く入り込み、ニキビの病変や脂っぽい肌に浸透しやすくなります。文献はこの点を根拠に、サリチル酸をニキビ治療に優れた選択肢と位置づけました。
そのサリチル酸のなかでも、日本で広く使われているのがマクロゴール(ポリエチレングリコール)を基剤にした製剤です。
従来のエタノール溶液と違い、酸が角層にとどまって深部へ入り込みにくい設計になっています。

動物の健常皮膚を使った実験では吸収がごくわずかにとどまることが確認されており、この製剤によるピーリングでは、皮膚が健常であればサリチル酸中毒のリスクは低いと総説にまとめられました。刺激感や施術後の色素沈着が起こりにくい点も、エタノール製剤との違いです。
なおサリチル酸のピーリングには、グリコール酸のような中和の操作が要りません。酸が結晶として析出して白く見えた時点が、施術完了の合図になります。
ほかにも複数の薬剤が使われています。

  • ジェスナー液(レゾルシノール14%、サリチル酸14%、乳酸14%の混合)
  • マンデル酸40%
  • サリチル酸20%とマンデル酸10%の組み合わせ
  • 乳酸10〜30%
  • ピルビン酸40〜70%
  • トリクロロ酢酸(TCA)

濃度によって深さが変わります。ごく浅いピーリングはTCA10〜20%、低濃度のグリコール酸とサリチル酸、レチノイン酸。
浅いピーリングはTCA20〜30%、ジェスナー液、グリコール酸30〜50%が該当します。
同じグリコール酸ピーリングでも、濃度・塗布回数・置く時間によって別物になる点は知っておいてください。


【参考文献】

4. どんな人に向いているか

適応として文献に挙げられているのは、次のような状態です。

  • ニキビ
  • 炎症後の色素沈着
  • 肝斑
  • 毛穴の開き
  • ニキビ跡
  • 小じわ、深いしわ
  • 日光角化症、脂漏性角化症
  • 肝斑以外のしみ、そばかす
  • 酒さ、擬似毛包炎

このなかで、日本の患者さんに需要が高いのは炎症後色素沈着ではないでしょうか。
ニキビが治ったあとの茶色い跡に対して、文献は遮光、外用薬(レチノイド・アゼライン酸・ハイドロキノン)と並べて、
サリチル酸やグリコール酸を用いた浅いピーリングを管理法として挙げています。

ニキビ跡のへこみについては、少し事情が違います。NICEガイドラインは、重症の瘢痕がニキビの治癒から1年経っても残っている場合、
専門医チームのもとでCO2レーザーまたはグリコール酸ピーリングを検討するとしました。逆にいえば、炎症が続いているうちや、治癒から1年未満の段階では、
まず活動中のニキビを抑えることが先になります。

肌の色に関しては、浅いピーリングとごく浅いピーリングはすべてのフィッツパトリック分類に適するとされました。日本人の肌でも選択肢に入るわけです。


【参考文献】

5. 受けられない人、慎重に判断すべき人

一方で、はっきりとした禁忌があります。すべての深さのピーリングに共通するのは次の項目です。

  • 治療部位に感染がある
  • ピーリング剤にアレルギーを起こした既往がある
  • 治療部位に開放創や傷がある
  • イソトレチノインを内服中である
  • 身体醜形障害がある

中間から深いピーリングでは、さらに条件が厳しくなります。過去6か月以内のイソトレチノイン使用、妊娠・授乳中、乾癬、膠原病、アトピー性皮膚炎、創傷治癒不良、最
近の顔面手術、コントロール不良の糖尿病や免疫抑制状態、慢性のステロイド内服、喫煙、放射線照射歴、ケロイド体質。これらはすべて注意または禁忌として挙げられました。
妊娠については、薬剤による違いもあります。サリチル酸は米国食品医薬品局の分類でカテゴリーCにあたり、構造がアスピリンに近いことから、
妊娠中のサリチル酸ピーリングは推奨されていません。一方でグリコール酸などのAHAはカテゴリーBで、妊娠中も安全に使えるとされました。

色素沈着のリスクにも配慮が要ります。フィッツパトリック分類IIIからVIの方は、色素異常や色ムラを生じやすいため慎重な判断が必要です。
日本人の多くがこの範囲に入るため、深さの選択は特に重要になります。
ヘルペスの既往がある方には、アシクロビルなどの抗ウイルス薬の予防投与が推奨されています。ピーリングはヘルペスウイルスの再活性化を招くことがあるためです。


【参考文献】

6. 効果について

期待値の話をしておきます。
ケミカルピーリングは、ニキビ治療の主役ではありません。NICEガイドラインは、ケミカルピーリングを含む治療のエビデンスは限定的であると述べ、その有効性を明らかにするための研究推奨を出しました。効果がないのではなく、質の高い比較試験がまだ足りないという意味です。
したがって位置づけは補助になります。外用薬と内服薬でニキビの活動を抑えたうえで、残った毛穴のつまりや色素沈着に対して重ねる。この順序を守るほうが、結果的に満足度は高くなるでしょう。

7. 施術前に外用薬をどうするか

効果と安全性を左右するのは、施術当日よりむしろ前後の管理です。なかでも質問が多いのが、いま使っている塗り薬を続けてよいのかという点でしょう。
文献にはプライミングという準備が紹介されています。施術の2〜4週間前からトレチノインなどのレチノイドを塗り、角層を薄くして浸透を均一にする方法です。ただしこれは主に光老化の治療で用いられる手順であり、対象が変われば扱いも変わります。

ニキビ、炎症後色素沈着、肝斑、そして色の濃い肌が対象の場合、総説はむしろ逆の指示を出しています。レチノイドは施術の1〜2週間前に中止するか、前処置そのものを省く。理由は、施術後に過剰な赤み、皮むけ、色素沈着が起こるのを避けるためです。過酸化ベンゾイルや外用の抗菌薬についても、施術の1〜2日前に中止する扱いが示されました。

日本の浅いピーリングで、直前にアダパレンや過酸化ベンゾイルを休薬するよう指示されるのは、この考え方に沿ったものです。中止する薬の種類、休薬の日数、再開の時期はクリニックによって異なるため、必ず担当医の指示に従ってください。レチノイドは、皮むけと刺激が完全に落ち着いてから再開します。
色素沈着のリスクが高い方には、4%のハイドロキノンを施術の2〜4週間前から1日2回使い、施術の2日後から再開する方法もあります。

8. 施術当日と、そのあとのケア

当日は洗顔をして、スキンケア用品やメイクを一切つけずに来院してください。施術前にはワックス脱毛やダーマブレーションなど、皮膚に外傷を与える処置を避ける必要もあります。
サリチル酸のピーリングは、20%または30%の製剤を2〜4週間おきに繰り返すのが標準的な進め方です。3回から6回のシリーズでピークの効果が見えてくるとされ、状態や肌質によって回数は前後します。1回で劇的に変わる施術ではありません。

施術後の落屑は数日で終わります。その後に強い赤みが出ますが、1〜2週間かけて徐々に引いていく経過です。24時間経てばシャワーを浴びられ、洗剤を含まない洗顔料を使えるようになります。
そして最も大切なのが遮光です。文献は施術前後を通じた紫外線対策の重要性を繰り返し強調しています。浅いピーリングのあとは、ノンコメドジェニックの保湿剤と、朝のミネラル系日焼け止めが基本になります。皮がむけている部分をむしり取る行為も避けてください。

9. 起こりうる副作用

副作用は、施術直後に起こるものと、あとから出るものに分かれます。
直後に起こりうるのは、皮膚の腫れ、灼熱感、かゆみ、水疱、薬剤が目に入ることによる粘膜刺激です。サリチル酸ピーリングを受けた韓国の患者さんを対象にした報告では、2日を超える赤みが8.8%、乾燥が32.3%に見られました。強い皮むけやかさぶたも報告されていますが、いずれも7〜10日で消えています。
サリチル酸中毒については、範囲を正しく理解しておいてください。実際に報告されているのは、20%のサリチル酸を体表面積の半分に塗った場合や、40〜50%のペースト製剤を使った場合です。血中濃度が35mg/dLを超えると中毒が起こりうるとされますが、ピーリングの手技でそこまで到達することはまれとされました。30%製剤による顔のピーリングは全身への健康リスクにならないという薬物動態の研究もあります。耳鳴り、吐き気、めまいといった症状は知識として知っておく価値がありますが、顔だけの浅いピーリングで過度に恐れる必要はありません。
遅れて出るものとしては、細菌・ウイルス・真菌の感染、ニキビや稗粒腫の出現、炎症後色素沈着、色素脱失、施術部位との境界線、そして効果が不十分に終わることが挙げられます。
深いピーリングほど効果が大きく、同時にリスクも大きくなる関係にあります。だからこそ、適応と深さの見極めが施術の成否を決めるのです。

10. よくある質問(Q&A)

Q. ケミカルピーリングはニキビに効果がありますか?

ケミカルピーリングは、ニキビに対する治療の選択肢の一つですが、標準的な外用薬や内服薬に代わる主な治療ではありません。毛穴のつまりや炎症後の色素沈着などに対して、補助的に行われることがあります。ニキビの状態によって適した治療が異なるため、まずは皮膚の状態を診察したうえで適応を判断することが大切です。

Q. ケミカルピーリングはどんな人におすすめですか?

ニキビがある程度落ち着いているものの、毛穴のつまりや肌のざらつき、炎症後の色素沈着などが気になる方に適している場合があります。外用薬などの標準治療を行ったうえで、残っている症状に対する補助的な治療として検討されることがあります。

Q. ニキビ跡のへこみにもケミカルピーリングは効果がありますか?

浅いニキビ跡に対してピーリングが検討されることはありますが、すべての凹凸に効果があるわけではありません。特に深いクレーター状の瘢痕では、ピーリングだけで十分な改善を得ることは難しい場合があります。ニキビの活動性や瘢痕の程度に応じて、レーザーなど別の治療が適していることもあります。

Q. ケミカルピーリングは1回でも効果を実感できますか?

1回の施術で大きな変化が得られるとは限りません。サリチル酸ピーリングなどでは、2〜4週間程度の間隔で複数回行い、3〜6回程度を一つの目安として治療する方法があります。ただし、必要な回数は肌の状態や使用する薬剤、濃度などによって異なります。

Q. ケミカルピーリングは痛いですか?

薬剤や濃度、施術する部位によって異なりますが、施術中にピリピリした刺激感や灼熱感を感じることがあります。刺激の程度には個人差があるため、強い痛みや不快感がある場合は、無理に施術を続けず担当者に伝えることが大切です。

Q. ケミカルピーリングをすると皮膚がむけますか?

使用する薬剤や濃度によって異なります。施術後に乾燥や落屑、皮むけなどが起こることがあります。皮膚がむけている部分を無理に剥がしたり、こすったりすると、刺激や色素沈着につながる可能性があるため、自然に落ち着くまで触らないようにしてください。

Q. ケミカルピーリングの前にニキビの塗り薬は中止したほうがいいですか?

使用している薬剤によって異なります。アダパレンなどのレチノイドや過酸化ベンゾイルなどは、ピーリングによる刺激を強める可能性があるため、施術前に一時的に中止することがあります。中止する期間や再開する時期は薬剤や肌の状態によって異なるため、自己判断せず担当医の指示に従ってください。

Q. ケミカルピーリングの後は日焼けしても大丈夫ですか?

施術後は紫外線による刺激を受けやすくなるため、日焼けを避けることが大切です。日焼け止めを使用するほか、帽子や日傘なども活用して紫外線対策を行ってください。特に炎症後色素沈着が気になる方は、施術前後の遮光を意識することが重要です。

Q. ケミカルピーリングで色素沈着が悪化することはありますか?

可能性はあります。ピーリングによる刺激によって、炎症後色素沈着や色ムラなどが生じることがあります。特に肌の色が濃い方では色素異常が起こりやすいため、薬剤の種類や濃度、ピーリングの深さを慎重に選択する必要があります。

Q. ケミカルピーリングを受けられない人はいますか?

施術部位に感染や傷がある方、使用するピーリング剤にアレルギーの既往がある方などは、施術を受けられない場合があります。また、イソトレチノインを内服している方や、妊娠・授乳中の方は、薬剤やピーリングの深さによって注意が必要です。持病や使用中の薬がある場合は、事前に医師へ伝えてください。

Q. ケミカルピーリングだけでニキビを治すことはできますか?

ケミカルピーリングだけでニキビを治療することはおすすめできません。ピーリングは、毛穴のつまりや色素沈着などに対する補助的な治療として位置づけられます。炎症性ニキビが続いている場合は、まずアダパレンや過酸化ベンゾイルなどの外用薬、必要に応じて内服薬による標準治療を行うことが重要です。


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11. まとめ

ケミカルピーリングが向いているのは、ニキビの活動が落ち着いていて、毛穴のつまりや炎症後の色素沈着が残っている方。そして標準的な外用薬・内服薬と併用する形で取り入れられる方です。

反対に、イソトレチノインを内服中の方、施術部位に感染や傷がある方、ケロイド体質の方は適応から外れます。妊娠中や授乳中の場合も、薬剤や深さによっては受けられません。

肌のざらつきや色素沈着が気になっている方は、まず皮膚科で今の肌の状態を診てもらってください。ピーリングが適しているのか、それとも先に別の治療を優先すべきなのか。その判断からはじめるのが、遠回りに見えていちばん確実な道になります。

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12. この記事の監修・執筆医

この記事の監修・執筆:医療法人社団涼美会 理事長 関口知秀医師

医療法人社団涼美会理事長

関口 知秀

ニキビをはじめとする一般皮膚科から、粉瘤や脂肪腫などの日帰り手術まで幅広く診療。「再発させない根本治療」と、患者様のライフスタイルに寄り添ったフットケア指導、低負担で安全な除去処置を重視しています。
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