目次 [ 表示 ]
医療法人社団涼美会理事長
新宿・渋谷の皮膚科|駅徒歩30秒・平日21時/土日祝20時まで診療
ニキビの塗り薬を続けているのに毛穴のざらつきが取れない、炎症は治まったのに茶色い跡が残っている、小さな白ニキビが額や頬に繰り返しできるなど、肌の悩みが続いている方も少なくありません。また、肌のごわつきや化粧のりの悪さから、ケミカルピーリングを検討しているものの、「本当に効果があるのか」「刺激が強くないのか」と不安に感じる方もいるでしょう。
ケミカルピーリングは、薬剤によって皮膚に適度な刺激を与え、皮膚の再生やリモデリングを促す治療です。ニキビや毛穴のつまり、炎症後の色素沈着などに用いられますが、肌の状態や使用する薬剤によって適した施術は異なります。また、活動中のニキビを抑える治療を優先したほうがよいケースもあります。
この記事では、ケミカルピーリングの仕組みや薬剤の違い、ニキビ・ニキビ跡・色素沈着への効果、向いている人・受けられない人、施術前後の注意点や副作用について、文献をもとに医師が詳しく解説します。
この記事の要点
REASON
土・日・祝も診療
通院の予定を立てやすい
夜平日21時まで
仕事帰りにも通いやすい
ニキビ・肌悩みの
皮膚科診療に対応
肌の状態に合わせた
治療をご提案
目次 [ 表示 ]
ケミカルピーリングはどんな人におすすめ?効果について
ケミカルピーリングは、美容目的の施術として紹介されることが多い治療です。そのため肌を溶かす、刺激が強いといったイメージだけが先行しがちでもあります。
実際には皮膚科で長く使われてきた医療行為で、向いている人とそうでない人がはっきり分かれます。
ここでは仕組み、適している状態、避けるべき状態、そして効果の実際について、文献をもとに整理しました。
ケミカルピーリングは、化学物質を皮膚に塗り、管理された範囲であえて表皮に傷害を起こす施術です。その傷害をきっかけに皮膚の再生とリモデリングが促され、結果として肌の見た目や質感が改善します。
重要なのは深さの概念でしょう。ピーリングは浸透する深さによって3つに分類されます。
このうちニキビに用いられるのは、浅いピーリングです。文献では、浅いピーリングはニキビや色素沈着に効果的で、肌の質感も軽度に改善すると記載されています。
中間の深さは、色素沈着、日光角化症、浅いニキビ跡、浅いしわが対象。深いピーリングは重度のニキビ跡や深いしわに用いられます。つまり活動中のニキビと残ってしまった跡では、選ぶ深さが変わってくるのです。
ピーリング剤は、大きく角質溶解剤とタンパク変性剤に分かれます。ニキビで使われるのは主に前者です。
グリコール酸は、サトウキビ由来のアルファヒドロキシ酸(AHA)。作用を止めるために重炭酸ナトリウムや冷たい生理食塩水で中和する必要があります。
サリチル酸はベータヒドロキシ酸(BHA)で、グリコール酸より脂溶性が高いのが特徴です。
この性質のおかげで皮膚により深く入り込み、ニキビの病変や脂っぽい肌に浸透しやすくなります。文献はこの点を根拠に、サリチル酸をニキビ治療に優れた選択肢と位置づけました。
そのサリチル酸のなかでも、日本で広く使われているのがマクロゴール(ポリエチレングリコール)を基剤にした製剤です。
従来のエタノール溶液と違い、酸が角層にとどまって深部へ入り込みにくい設計になっています。
動物の健常皮膚を使った実験では吸収がごくわずかにとどまることが確認されており、この製剤によるピーリングでは、皮膚が健常であればサリチル酸中毒のリスクは低いと総説にまとめられました。刺激感や施術後の色素沈着が起こりにくい点も、エタノール製剤との違いです。
なおサリチル酸のピーリングには、グリコール酸のような中和の操作が要りません。酸が結晶として析出して白く見えた時点が、施術完了の合図になります。
ほかにも複数の薬剤が使われています。
濃度によって深さが変わります。ごく浅いピーリングはTCA10〜20%、低濃度のグリコール酸とサリチル酸、レチノイン酸。
浅いピーリングはTCA20〜30%、ジェスナー液、グリコール酸30〜50%が該当します。
同じグリコール酸ピーリングでも、濃度・塗布回数・置く時間によって別物になる点は知っておいてください。
適応として文献に挙げられているのは、次のような状態です。
このなかで、日本の患者さんに需要が高いのは炎症後色素沈着ではないでしょうか。
ニキビが治ったあとの茶色い跡に対して、文献は遮光、外用薬(レチノイド・アゼライン酸・ハイドロキノン)と並べて、
サリチル酸やグリコール酸を用いた浅いピーリングを管理法として挙げています。
ニキビ跡のへこみについては、少し事情が違います。NICEガイドラインは、重症の瘢痕がニキビの治癒から1年経っても残っている場合、
専門医チームのもとでCO2レーザーまたはグリコール酸ピーリングを検討するとしました。逆にいえば、炎症が続いているうちや、治癒から1年未満の段階では、
まず活動中のニキビを抑えることが先になります。
肌の色に関しては、浅いピーリングとごく浅いピーリングはすべてのフィッツパトリック分類に適するとされました。日本人の肌でも選択肢に入るわけです。
一方で、はっきりとした禁忌があります。すべての深さのピーリングに共通するのは次の項目です。
中間から深いピーリングでは、さらに条件が厳しくなります。過去6か月以内のイソトレチノイン使用、妊娠・授乳中、乾癬、膠原病、アトピー性皮膚炎、創傷治癒不良、最
近の顔面手術、コントロール不良の糖尿病や免疫抑制状態、慢性のステロイド内服、喫煙、放射線照射歴、ケロイド体質。これらはすべて注意または禁忌として挙げられました。
妊娠については、薬剤による違いもあります。サリチル酸は米国食品医薬品局の分類でカテゴリーCにあたり、構造がアスピリンに近いことから、
妊娠中のサリチル酸ピーリングは推奨されていません。一方でグリコール酸などのAHAはカテゴリーBで、妊娠中も安全に使えるとされました。
色素沈着のリスクにも配慮が要ります。フィッツパトリック分類IIIからVIの方は、色素異常や色ムラを生じやすいため慎重な判断が必要です。
日本人の多くがこの範囲に入るため、深さの選択は特に重要になります。
ヘルペスの既往がある方には、アシクロビルなどの抗ウイルス薬の予防投与が推奨されています。ピーリングはヘルペスウイルスの再活性化を招くことがあるためです。
期待値の話をしておきます。
ケミカルピーリングは、ニキビ治療の主役ではありません。NICEガイドラインは、ケミカルピーリングを含む治療のエビデンスは限定的であると述べ、その有効性を明らかにするための研究推奨を出しました。効果がないのではなく、質の高い比較試験がまだ足りないという意味です。
したがって位置づけは補助になります。外用薬と内服薬でニキビの活動を抑えたうえで、残った毛穴のつまりや色素沈着に対して重ねる。この順序を守るほうが、結果的に満足度は高くなるでしょう。
効果と安全性を左右するのは、施術当日よりむしろ前後の管理です。なかでも質問が多いのが、いま使っている塗り薬を続けてよいのかという点でしょう。
文献にはプライミングという準備が紹介されています。施術の2〜4週間前からトレチノインなどのレチノイドを塗り、角層を薄くして浸透を均一にする方法です。ただしこれは主に光老化の治療で用いられる手順であり、対象が変われば扱いも変わります。
ニキビ、炎症後色素沈着、肝斑、そして色の濃い肌が対象の場合、総説はむしろ逆の指示を出しています。レチノイドは施術の1〜2週間前に中止するか、前処置そのものを省く。理由は、施術後に過剰な赤み、皮むけ、色素沈着が起こるのを避けるためです。過酸化ベンゾイルや外用の抗菌薬についても、施術の1〜2日前に中止する扱いが示されました。
日本の浅いピーリングで、直前にアダパレンや過酸化ベンゾイルを休薬するよう指示されるのは、この考え方に沿ったものです。中止する薬の種類、休薬の日数、再開の時期はクリニックによって異なるため、必ず担当医の指示に従ってください。レチノイドは、皮むけと刺激が完全に落ち着いてから再開します。
色素沈着のリスクが高い方には、4%のハイドロキノンを施術の2〜4週間前から1日2回使い、施術の2日後から再開する方法もあります。
当日は洗顔をして、スキンケア用品やメイクを一切つけずに来院してください。施術前にはワックス脱毛やダーマブレーションなど、皮膚に外傷を与える処置を避ける必要もあります。
サリチル酸のピーリングは、20%または30%の製剤を2〜4週間おきに繰り返すのが標準的な進め方です。3回から6回のシリーズでピークの効果が見えてくるとされ、状態や肌質によって回数は前後します。1回で劇的に変わる施術ではありません。
施術後の落屑は数日で終わります。その後に強い赤みが出ますが、1〜2週間かけて徐々に引いていく経過です。24時間経てばシャワーを浴びられ、洗剤を含まない洗顔料を使えるようになります。
そして最も大切なのが遮光です。文献は施術前後を通じた紫外線対策の重要性を繰り返し強調しています。浅いピーリングのあとは、ノンコメドジェニックの保湿剤と、朝のミネラル系日焼け止めが基本になります。皮がむけている部分をむしり取る行為も避けてください。
ケミカルピーリングは、ニキビに対する治療の選択肢の一つですが、標準的な外用薬や内服薬に代わる主な治療ではありません。毛穴のつまりや炎症後の色素沈着などに対して、補助的に行われることがあります。ニキビの状態によって適した治療が異なるため、まずは皮膚の状態を診察したうえで適応を判断することが大切です。
ニキビがある程度落ち着いているものの、毛穴のつまりや肌のざらつき、炎症後の色素沈着などが気になる方に適している場合があります。外用薬などの標準治療を行ったうえで、残っている症状に対する補助的な治療として検討されることがあります。
浅いニキビ跡に対してピーリングが検討されることはありますが、すべての凹凸に効果があるわけではありません。特に深いクレーター状の瘢痕では、ピーリングだけで十分な改善を得ることは難しい場合があります。ニキビの活動性や瘢痕の程度に応じて、レーザーなど別の治療が適していることもあります。
1回の施術で大きな変化が得られるとは限りません。サリチル酸ピーリングなどでは、2〜4週間程度の間隔で複数回行い、3〜6回程度を一つの目安として治療する方法があります。ただし、必要な回数は肌の状態や使用する薬剤、濃度などによって異なります。
薬剤や濃度、施術する部位によって異なりますが、施術中にピリピリした刺激感や灼熱感を感じることがあります。刺激の程度には個人差があるため、強い痛みや不快感がある場合は、無理に施術を続けず担当者に伝えることが大切です。
使用する薬剤や濃度によって異なります。施術後に乾燥や落屑、皮むけなどが起こることがあります。皮膚がむけている部分を無理に剥がしたり、こすったりすると、刺激や色素沈着につながる可能性があるため、自然に落ち着くまで触らないようにしてください。
使用している薬剤によって異なります。アダパレンなどのレチノイドや過酸化ベンゾイルなどは、ピーリングによる刺激を強める可能性があるため、施術前に一時的に中止することがあります。中止する期間や再開する時期は薬剤や肌の状態によって異なるため、自己判断せず担当医の指示に従ってください。
施術後は紫外線による刺激を受けやすくなるため、日焼けを避けることが大切です。日焼け止めを使用するほか、帽子や日傘なども活用して紫外線対策を行ってください。特に炎症後色素沈着が気になる方は、施術前後の遮光を意識することが重要です。
可能性はあります。ピーリングによる刺激によって、炎症後色素沈着や色ムラなどが生じることがあります。特に肌の色が濃い方では色素異常が起こりやすいため、薬剤の種類や濃度、ピーリングの深さを慎重に選択する必要があります。
施術部位に感染や傷がある方、使用するピーリング剤にアレルギーの既往がある方などは、施術を受けられない場合があります。また、イソトレチノインを内服している方や、妊娠・授乳中の方は、薬剤やピーリングの深さによって注意が必要です。持病や使用中の薬がある場合は、事前に医師へ伝えてください。
ケミカルピーリングだけでニキビを治療することはおすすめできません。ピーリングは、毛穴のつまりや色素沈着などに対する補助的な治療として位置づけられます。炎症性ニキビが続いている場合は、まずアダパレンや過酸化ベンゾイルなどの外用薬、必要に応じて内服薬による標準治療を行うことが重要です。
ケミカルピーリングが向いているのは、ニキビの活動が落ち着いていて、毛穴のつまりや炎症後の色素沈着が残っている方。そして標準的な外用薬・内服薬と併用する形で取り入れられる方です。
反対に、イソトレチノインを内服中の方、施術部位に感染や傷がある方、ケロイド体質の方は適応から外れます。妊娠中や授乳中の場合も、薬剤や深さによっては受けられません。
肌のざらつきや色素沈着が気になっている方は、まず皮膚科で今の肌の状態を診てもらってください。ピーリングが適しているのか、それとも先に別の治療を優先すべきなのか。その判断からはじめるのが、遠回りに見えていちばん確実な道になります。
他の症状・お悩みから探す
ニキビ・できもの・しこり
感染症・うつる皮膚病
かゆみ・湿疹・乾燥
赤み・ブツブツ・汗の症状
抜糸・けが・火傷・傷あと
アレルギー