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イソトレチノインによるニキビ治療|治療期間・効果が出る時期と再発リスク

抗菌薬の飲み薬を半年続けても顎の奥のしこりが消えない、治ったと思っても同じ場所に何度もニキビがぶり返す、ニキビ跡がクレーターのようにへこみはじめている。このような経過から、イソトレチノインという治療を検討する方は少なくありません。

イソトレチノインは、重症のニキビや標準的な治療で十分な改善が得られないニキビに対して用いられる内服薬です。「どれくらいで効果が出るのか」「治療は何か月続けるのか」「やめたあとに再発するのか」といった疑問を持つ方も多いでしょう。

この記事では、イソトレチノインの治療期間、効果が出はじめる時期、治療中の注意点、治療後の再発リスクについて、ガイドラインや文献をもとに医師が詳しく解説します。

この記事の要点

  • 効果が出る時期:
    イソトレチノインは飲みはじめてすぐに効果が現れるわけではなく、効果を判断するまでには一定期間の継続が必要です。
  • 治療期間:
    治療期間は単純な「何か月」ではなく、体重あたりの累積投与量やニキビの改善状況、副作用などを考慮して決定します。
  • 再発リスク:
    治療終了後にニキビが再発することはあります。再発した場合は、症状の程度に応じて外用薬などによる治療を行います。
  • 治療中の注意点:
    乾燥などの副作用に加え、併用薬や妊娠への影響など、治療前に確認しておくべき注意点があります。

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目次 [ 表示 ]

1. はじめに

イソトレチノインの治療期間・効果が出る時期と再発リスク

  • 抗菌薬の飲み薬を半年続けても、顎の奥のしこりが消えない
  • 治ったと思っても、同じ場所に何度もぶり返す
  • 跡がクレーターのようにへこみはじめている
  • 「これ以上できることがない」と言われた

こうした経過をたどってイソトレチノインという選択肢にたどり着く方は、決して珍しくありません。そして当院で最も多く受ける質問は、概ねこの2つです。
「どれくらいで効きますか」「やめたらまた戻りますか」。
どちらも、答えるには薬の仕組みそのものを知っていただく必要があります。ここでは治療期間の決まり方、効果が見えはじめる時期、そして治療後の再発について、
公表されているガイドラインと文献をもとに整理しました。

2. イソトレチノインはどんな薬なのか

イソトレチノインは、ビタミンAから作られた内服のレチノイドです。米国では1982年に、抗菌薬の全身投与など従来の治療で改善しない重症の結節性ざ瘡に対する薬として承認されました。
この薬の特徴は、皮脂腺そのものに作用する点にあります。皮脂腺のサイズと皮脂の分泌量を減らし、同時に毛穴の角化を正常な状態に戻し、炎症も抑えるのです。
ニキビは、皮脂の過剰・毛穴のつまり・アクネ菌の増殖・炎症の4つが絡み合って生じます。イソトレチノインは、この4つすべてに同時に働きかける唯一の薬とされてきました。

外用薬や抗菌薬が1つか2つの要素にしか届かないのとは、根本的に性質が違うわけです。
米国皮膚科学会は、重症のニキビや標準治療で改善しなかったニキビに加えて、瘢痕(へこんだニキビ跡)ができている人、心理的な負担が大きい人も適応の候補に挙げました。
英国のNICEガイドラインでは、12歳を超えていて、抗菌薬の全身投与と外用療法を十分に行っても改善しない重症型が対象とされています。

結節嚢腫性ざ瘡、集簇性ざ瘡、電撃性ざ瘡、瘢痕が残るおそれのあるニキビが、その具体例です。
なお日本国内では内服のイソトレチノインは医薬品として承認されておらず、処方を受ける場合は保険の効かない自由診療となります。


【参考文献】

3. イソトレチノインの効果が見えはじめるのはいつごろか

先に結論からお伝えすると、飲みはじめて数日で肌が変わることはありません。
ニキビ治療全般について、NICEガイドラインは「効果が目に見えるようになるまで6〜8週かかる」と患者に説明するよう求めています。
効果が出る前にやめてしまう人が多いためです。海外の教科書的資料でも、治療の効き目を判定するには少なくとも2〜3か月の継続が必要とされました。
イソトレチノインも例外ではありません。完全かつ持続的な寛解に到達するには、通常15〜20週の連日投与が必要とされています。おおよそ4〜5か月です。

むしろ注意していただきたいのは、開始直後にニキビが一時的に悪化する場合がある点でしょう。
米国小児科学会は、この初期悪化を抑える目的で、最初の4週間は0.5mg/kg/日で開始し、そのあと1mg/kg/日へ増やす方法を推奨しています。
NICEガイドラインも、開始後に急な悪化が起きた場合はプレドニゾロンの内服を追加する選択肢を示しました。
つまり「悪化した=合わなかった」ではないのです。ここで自己判断で中断してしまうのが、いちばんもったいないパターンになります。

4. イソトレチノインの治療期間を決めるのは「日数」ではなく累積投与量

イソトレチノインの治療期間は、「何か月飲むか」ではなく「合計でどれだけ飲んだか」で決まります。これを累積投与量と呼びます。
NICEガイドラインが示す標準は、1日あたり体重1kgにつき0.5〜1mgの内服を、累積で体重1kgあたり120〜150mgに達するまで続ける方法です。

体重60kgの方なら、合計7,200〜9,000mgが目安になります。1日60mgを飲めば4か月ほど、1日30mgなら8か月ほどの計算です。
この数字には根拠があります。臨床試験を検討した結果、1コースあたりの累積投与量が120mg/kg以上の場合のほうが、120mg/kg未満より効果が高いことが示されました。
逆にいえば、日数だけ重ねても総量が足りなければ十分な効果は期待しにくいわけです。

ただし全員が同じ量を飲むわけでもありません。副作用のリスクが高い方や、実際に副作用が出ている方には、1日0.5mg/kg未満へ減量する選択肢が認められています。
この場合は当然、目標量に達するまでの期間が長くなるでしょう。

また、十分な反応が得られていて新しいニキビが4〜8週間できていない状態なら、120〜150mg/kgに達する前に治療を終える判断もありえます。
医師と相談しながら、量と期間を調整していくことになるのです。


【参考文献】

5. イソトレチノインの治療中に起こること、避けるべきことv

イソトレチノインは効果が高い一方、副作用が出ない人はほとんどいません。事前に知っておくかどうかで、治療の続けやすさが大きく変わります。
最も多いのが口唇炎、つまり唇の乾燥とひび割れで、服用者のおよそ90%に生じるとされました。用量に比例して強くなるため、リップクリームは必需品になります。
そのほか、頻度の高いものを挙げます。

  • 皮膚の乾燥
  • 口の中の乾燥
  • 鼻の中の乾燥と鼻血
  • 光線過敏(日焼けしやすくなる)
  • 中性脂肪の上昇
  • 筋肉痛、関節痛、腰痛

肝機能検査値の異常は最大15%程度に見られるものの、中止が必要になるほどの上昇はまれで、多くは無症状かつ一過性です。
それでも治療前には肝機能・空腹時脂質・血糖・CK・血算を確認し、治療中も定期的に採血で追っていきます。
避けるべき組み合わせも決まっています。テトラサイクリン系抗菌薬との併用は、頭蓋内圧が上がる偽脳腫瘍のリスクがあるため推奨されません。
ビタミンAのサプリメントも、作用が重なって毒性が強まるため併用しないのが原則です。

処置についても制限があります。レーザー治療、ダーマブレーション、ワックス脱毛など肌に負担のかかる施術は、服用中と終了後6か月間は避けてください。
刺激と瘢痕のリスクが高まるためです。献血も、服用中と中止後1か月は控える必要があります。

そして最も重要な点が、妊娠への影響。イソトレチノインは重度の胎児奇形を起こすため、妊娠中の使用は絶対に禁止されています。
短期間の曝露でも重篤な先天異常が生じうるため、妊娠の可能性がある方は確実な避妊が前提となります。授乳も、最終投与から少なくとも8日間は避けるべきとされました。
うつや自殺念慮との関連は長く議論されてきましたが、近年のメタ解析ではイソトレチノインとうつ病・炎症性腸疾患との関連は示されていません。
ただし開始前の精神面のスクリーニングと、治療中のモニタリングは変わらず求められています。


【参考文献】

6. イソトレチノインをやめたあと、再発することはあるのか

正直にお伝えすると、再発することはあります。
イソトレチノインは「一度飲めば二度とニキビができない薬」ではありません。
NICEガイドラインには、イソトレチノインで十分に改善したあとに再発した場合の対応が、あらかじめ項目として設けられています。
再発が想定外の出来事ではなく、一定の頻度で起こる経過として扱われている証拠でしょう。
再発時の対応は、そのときの重症度によって分かれます。

  • 軽症〜中等症に戻った場合:外用薬を中心とした12週間の治療を行う
  • 中等症〜重症の場合:12週間の治療を行うか、皮膚科専門医のチームへ再紹介する
  • 2コース目のあとにさらに再発した場合:専門医チームが個別に方針を決める

再発しやすさに関わる要因のうち、はっきりしているのが累積投与量です。
前述のとおり、1コースの累積量が120mg/kgに届かなかった場合は効果が不十分になりやすく、その分だけ再びニキビが出てくる可能性が高まります。
途中で自己判断してやめてしまうことが、最も避けたい選択になるわけです。

もうひとつ知っておいていただきたいのは、ニキビ治療の多くが本質的に「抑える」治療であって「治しきる」治療ではない点。
だからこそ、治療が終わったあとの過ごし方が結果を左右するのです。


【参考文献】

7. 再発を減らすために、治療後にできること

治療を終えたあと、全員に維持療法が必要なわけではありません。NICEガイドラインも「終了後の維持療法は必ずしも必要ではない」と患者に説明するよう述べています。
一方で、以前から繰り返し再発してきた方には、維持療法を検討する価値があるでしょう。第一選択として挙げられているのが、アダパレンと過酸化ベンゾイルの配合外用薬です。
どちらかが使えない、あるいは刺激で続けられない場合は、アダパレン単剤、アゼライン酸、過酸化ベンゾイル単剤という選択肢もあります。
維持療法を始めたら12週間で見直し、続けるかどうかを判断する流れです。
日々のスキンケアも軽視できません。ガイドラインが挙げているのは次の点です。

  • 弱酸性から中性の合成洗浄剤で1日2回洗う
  • 保湿剤や日焼け止めは油性・コメドを作りやすいものを避ける
  • メイクは油性のものを避け、その日のうちに落とす
  • ニキビを触ったり掻いたりしない

最後の項目は特に重要です。繰り返し触ったり掻いたりする習慣は、瘢痕が残るリスクを高めます。せっかく炎症が治まったあとに跡だけが残るのは、あまりに惜しい結果でしょう。

8. よくある質問(Q&A)

Q. イソトレチノインはどのくらいで効果を実感できますか?

効果が現れる時期には個人差がありますが、治療を始めてすぐにニキビがなくなるわけではありません。数週間から徐々に皮脂分泌やニキビが落ち着いていくことが一般的です。焦らず、医師の指示に従って継続することが大切です。

Q. イソトレチノインの治療期間はどのくらいですか?

治療期間には個人差があります。単純に治療した日数だけで決まるのではなく、ニキビの状態や体重、服用量、これまでの治療経過などを考慮して治療方針を決めます。治療中は定期的に状態を確認しながら、医師と相談して継続期間を決めていきます。

Q. イソトレチノインをやめるとニキビは再発しますか?

治療終了後にニキビが再発する可能性はあります。ただし、再発のしやすさには個人差があり、治療前のニキビの重症度や治療経過などによっても異なります。再発した場合は、症状に応じて外用薬などによる治療を検討することがあります。

Q. イソトレチノインは途中でやめても大丈夫ですか?

自己判断で服用を中止したり、服用量を変更したりすることはおすすめできません。治療期間や服用量は、ニキビの状態や治療経過を確認しながら医師が判断します。気になる症状や副作用がある場合は、服用を続ける前に医師へご相談ください。

Q. イソトレチノインの治療中に気をつけることはありますか?

治療中は唇や肌の乾燥が起こりやすいため、保湿を心がけることが大切です。また、紫外線対策を行い、医師から指示された注意事項を守ってください。治療中に気になる症状が現れた場合は、自己判断せず医師に相談しましょう。

Q. イソトレチノインは誰でも服用できますか?

誰でも服用できる薬ではありません。妊娠中・妊娠の可能性がある方など、服用できない場合があります。また、持病や服用中の薬などによっても注意が必要です。治療を希望する場合は、診察時に医師へご相談ください。

Q. イソトレチノイン治療後に再発を防ぐにはどうすればよいですか?

治療終了後も、適切なスキンケアや生活習慣を心がけることが大切です。また、ニキビが再び増えてきた場合は、早めに医師へ相談しましょう。症状に応じて、外用薬などの治療を行うことで再発への対応ができます。


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9. まとめ

イソトレチノインは、効果が出るまでに時間がかかり、副作用の管理が必要で、そして必ずしも一生ものの保証ではない薬です。
それでも、ほかの治療で届かなかった重症のニキビに対して、現時点で最も強力な選択肢であり続けてきました。

覚えておいていただきたいのは3点。6〜8週は効果が見えないこと、期間ではなく累積投与量で終わりが決まること、そして治療後の維持が再発を左右すること。
始める前にこれを理解しておくと、途中で迷わずにすみます。

顔や体のニキビが長く続いている方、跡が残りはじめている方は、まず皮膚科を受診してください。
イソトレチノインが適応になるかどうかも含め、今の状態に合った治療を一緒に考えていきましょう。

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10. この記事の監修・執筆医

たこ・うおのめ治療の監修・執筆:医療法人社団涼美会 理事長 関口知秀医師

医療法人社団涼美会理事長

関口 知秀

ニキビをはじめとする一般皮膚科から、粉瘤や脂肪腫などの日帰り手術まで幅広く診療。「再発させない根本治療」と、患者様のライフスタイルに寄り添ったフットケア指導、低負担で安全な除去処置を重視しています。
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※本ページはれいわクリニックの医師が監修しています。

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