1. 性感染症(STD・STI)とは

性感染症とは、性行為などの性的接触によって感染する可能性のある感染症の総称です。STD(Sexually Transmitted Diseases)という呼び方のほか、現在ではSTI(Sexually Transmitted Infections)という表現も使われています。
性感染症の原因となる病原体は多く、世界では30種類以上の細菌・ウイルス・寄生虫などが性的接触によって感染することが知られています。

代表的な性感染症には、クラミジア、淋病(淋菌感染症)、梅毒、性器ヘルペス、尖圭コンジローマ、HIV感染症などがあります。

感染経路は性器同士の接触だけではありません。オーラルセックスなどによって、口やのどにクラミジアや淋菌などが感染することもあります。

2. 性感染症は症状が出ないこともあります

性感染症というと、「排尿時に痛い」「性器がかゆい」「尿道から膿が出る」「性器にできものができた」といった症状をイメージする方も多いかもしれません。
しかし、性感染症は感染していても必ず症状が現れるとは限りません。症状が軽かったり、ほとんど自覚症状がなかったりする場合もあります。

クラミジアなどは感染に気づきにくいことがあります

クラミジア感染症では、感染していても症状が軽く、気づかないまま経過することがあります。
また、クラミジアや淋菌などによって起こる尿道炎でも、原因となる病原体によって症状の程度は異なります。

そのため、「症状がないから性感染症ではない」と自己判断することはできません。感染の可能性がある場合には、症状の有無だけで判断せず、必要に応じて検査を受けることが大切です。

尖圭コンジローマは自分では判断しにくいことも

尖圭コンジローマでは、性器や肛門周辺などにイボ状のできものが現れます。
小さいうちは気づきにくいことがあり、ほかのできものとの区別が難しい場合もあります。性器周辺にこれまでなかったできものが現れた場合には、自己判断せず医療機関へ相談しましょう。

3. 代表的な性感染症と主な症状

性感染症は、原因となる病原体によって現れる症状や感染する部位が異なります。代表的な性感染症には次のようなものがあります。

クラミジア

クラミジアは、クラミジア・トラコマチスという細菌によって起こる性感染症です。
男性では排尿時の痛みや尿道からの分泌物、尿道の違和感などがみられることがありますが、症状が軽い場合もあります。

淋病(淋菌感染症)

淋病(淋菌感染症)では、排尿時の強い痛みや尿道から膿が出るなどの症状がみられることがあります。
性器だけでなく、オーラルセックスなどによってのどに感染する場合もあります。

梅毒

梅毒は、梅毒トレポネーマによって起こる性感染症です。
感染後の時期によって、感染した部位のしこりや潰瘍、全身の発疹など、さまざまな症状が現れることがあります。症状が一時的に消える時期もあるため、症状がなくなっただけで治ったと判断することはできません。

性器ヘルペス

性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスによって起こる感染症です。
性器周辺に水ぶくれや潰瘍ができ、痛みやかゆみなどを伴うことがあります。一度症状が落ち着いた後も、再発することがあります。

尖圭コンジローマ

尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって起こります。
性器や肛門周辺などにイボ状のできものが現れ、徐々に数が増えたり、大きくなったりする場合があります。

関連記事

4. パートナー間で感染を繰り返すこともあります

性感染症は、自覚症状がない状態でもパートナーへ感染させてしまう可能性があります。
また、性感染症の種類や状況によっては、ご自身だけを治療してもパートナーが感染していることで、再び感染する可能性があります。

性感染症と診断された場合には、医師の指示に従って治療を行い、必要に応じてパートナーの検査や治療についても相談することが大切です。

5. 東京における性感染症

東京都でも、クラミジア、淋病、梅毒、性器ヘルペス、尖圭コンジローマなど、さまざまな性感染症が報告されています。

また、性感染症は性器だけに感染するとは限りません。オーラルセックスなどによって、クラミジアや淋菌がのどに感染することもあります。
のどに感染していても自覚症状がない場合があるため、感染の可能性がある場合には検査を検討することが大切です。

薬剤耐性を持つ淋菌も問題になっています

淋菌では、一部の抗菌薬が効きにくくなる「薬剤耐性」が国内外で問題となっています。
自己判断で抗菌薬を使用したり、処方された薬を途中で中断したりせず、医師の診断のもとで適切な検査・治療を受けることが重要です。

6. 性感染症が心配な場合は検査を

性感染症は、症状だけでは感染しているかどうかや、原因となっている病原体を判断できない場合があります。
特に次のような場合には、医療機関への相談をご検討ください。

  • 感染の可能性がある性行為があった
  • 排尿時に痛みや違和感がある
  • 尿道から膿や分泌物が出る
  • 性器にかゆみや痛みがある
  • 性器や肛門周辺にできもの・水ぶくれなどがある
  • パートナーが性感染症と診断された
  • 症状はないが性感染症に感染していないか心配

性感染症は症状が軽い場合や、症状がほとんど現れない場合もあります。「症状がないから大丈夫」と自己判断せず、心当たりがある場合には適切な検査を受けることが大切です。

まとめ:性感染症は症状がなくても感染していることがあります

性感染症(STD・STI)には、クラミジア、淋病、梅毒、性器ヘルペス、尖圭コンジローマ、HIV感染症など、さまざまな種類があります。
症状がはっきり現れるものがある一方で、感染していても症状が軽かったり、自覚症状がなかったりする場合があります。

そのため、症状の有無だけで性感染症を判断することはできません。感染の可能性がある場合や、パートナーが性感染症と診断された場合、性器やのどなどに気になる症状がある場合には、自己判断せず医療機関へ相談しましょう。