1. 梅毒とは
梅毒は、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)という細菌への感染によって起こる性感染症(STI)のひとつです。
主に性的な接触によって、感染部位の皮膚や粘膜から梅毒トレポネーマが侵入することで感染します。
梅毒は感染後の経過によってさまざまな症状が現れます。一方で、感染していても症状がみられない「潜伏梅毒」の時期もあります。
2. 梅毒の感染経路
梅毒は、梅毒の病変がある皮膚や粘膜との接触などによって感染します。
性器同士の接触だけでなく、口や性器などの粘膜・皮膚が接触する性行為でも感染する可能性があります。
梅毒トレポネーマが皮膚や粘膜から体内へ侵入すると、感染部位だけでなく血液などを介して全身へ広がり、時期によってさまざまな症状を引き起こします。
3. 梅毒の初期症状
梅毒に感染すると、感染した部位にしこり・潰瘍・ただれなどが現れることがあります。
性器だけでなく、感染した場所によっては口やその周辺などに症状が現れることもあります。
梅毒による初期の病変は痛みが目立たないこともあります。また、鼠径部などのリンパ節が腫れることもあります。
これらの症状は治療をしなくても自然に目立たなくなることがあります。しかし、症状が消えても梅毒が治ったわけではありません。
4. 全身に発疹が現れることがあります
感染から時間が経過すると、梅毒トレポネーマが全身へ広がり、皮膚や粘膜などにさまざまな症状が現れることがあります。
特徴的な症状のひとつが「バラ疹」と呼ばれる発疹です。体幹だけでなく、手のひらや足の裏などに発疹がみられることもあります。
そのほか、口腔内の病変や脱毛など、梅毒とは気づきにくい症状が現れる場合もあります。
こうした症状も自然に消えることがありますが、感染そのものがなくなったとは限りません。
5. 症状がない「潜伏梅毒」もあります
梅毒に感染していても、症状がみられない時期があります。この状態を「潜伏梅毒」と呼びます。
自覚症状がないため、性感染症の検査やほかの目的で行った血液検査などをきっかけに感染が分かることもあります。
「症状がないから梅毒ではない」とは判断できないため、感染の可能性がある場合には検査を受けることが重要です。
6. 梅毒の検査
梅毒の診断では、主に血液検査を行います。
梅毒に対する抗体などを調べ、感染の可能性や治療の必要性について判断します。治療後も血液検査を行い、検査値の推移を確認しながら治療効果を判定します。
ただし、感染して間もない時期には血液検査で感染を確認できないことがあります。感染機会からの期間などを確認し、必要に応じて再検査を検討します。
7. 梅毒の治療
梅毒の治療では、ペニシリン系抗菌薬が中心となります。
治療方法や治療期間は、梅毒の病期、感染時期、症状、既往歴などによって異なります。ペニシリンにアレルギーがある場合などには、患者様の状態に応じて別の治療方法を検討します。
治療後は「症状がなくなったから終了」と自己判断せず、血液検査でRPRなどの数値の推移を確認し、医師の指示に従って経過観察を行うことが大切です。
8. 梅毒とほかの性感染症
梅毒に感染する機会があった場合には、
HIVをはじめ、
クラミジアや
淋病(淋菌感染症)
など、ほかの性感染症についても検査を検討することがあります。
どの検査が必要かは症状や感染機会などによって異なりますので、診察時にご相談ください。
まとめ:梅毒は症状がなくても感染していることがあります
梅毒は、梅毒トレポネーマによって起こる性感染症です。感染初期には性器などに痛みの少ないしこりや潰瘍ができたり、その後、全身や手のひらなどに発疹が現れたりすることがあります。
一方で、症状がない潜伏梅毒もあり、症状が一度消えても感染が治ったとは限りません。
感染の可能性がある性行為があった場合や、パートナーが梅毒と診断された場合には、症状の有無にかかわらず医療機関へご相談ください。