1. 粉瘤(ふんりゅう・アテローム)とは

粉瘤(ふんりゅう)は、皮膚の下に袋状の構造ができ、その中に角質などがたまる良性の皮膚腫瘍です。
医学的には「表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)」などと呼ばれ、一般には「アテローム」とも呼ばれています。

粉瘤ってどんなできもの?

粉瘤は、皮膚の下にできる「しこり」のようなできものです。
小さいうちは痛みがなく、触るとコリコリしたしこりとして気づくことがあります。中央に黒い点のような開口部が見られることもあります。

大きさは数ミリ程度のものから数センチになるものまでさまざまで、顔や首、背中などをはじめ、体のさまざまな場所にできます。

粉瘤(アテローム)の構造と炎症が起こる仕組み

粉瘤(アテローム)の構造と炎症が起こる仕組み

赤く腫れて痛くなることもあります

粉瘤は通常、痛みがないことも多いですが、炎症を起こすと赤く腫れたり、強い痛みが出たりすることがあります。
さらに炎症が進むと、内容物が出たり、袋が破れたりすることもあります。

炎症した粉瘤について医師が解説

粉瘤が赤く腫れたり、痛みが出たりした場合の治療について、関口医師が解説しています。

粉瘤から臭いものが出るのはなぜ?

粉瘤の袋の中には角質などがたまっているため、内容物が外に出ると独特の臭いを感じることがあります。
自分で強く押したり潰したりすると、炎症や感染につながる可能性があるため、無理に内容物を出そうとしないようにしてください。

粉瘤は自然に治る?

粉瘤は一時的に小さくなったように見えることがありますが、皮膚の下に袋状の組織が残っていると、再び内容物がたまることがあります。
根本的な治療には、袋を含めて摘出する手術が必要になります。

粉瘤が大きくなってきた、赤く腫れている、痛みがあるといった場合には、自己判断で潰さず医療機関へご相談ください。

※参照URL:

粉瘤(アテローマ)Q&A – 日本皮膚科学会

※参照URL:

Epidermoid cysts – Symptoms and causes – Mayo Clinic

※参考資料:『皮膚科学 第11版』(日本皮膚科学会編)

2. 粉瘤ができる原因

「どうして粉瘤ができるの?」「不潔にしていたから?」と気になる方も多いかもしれません。
粉瘤ができる原因は、すべてのケースで明確に分かっているわけではありません。皮膚や毛穴の構造の変化、外傷などがきっかけとなって、皮膚の下に袋状の構造ができることがあります。

皮膚への傷や刺激がきっかけになることがあります

擦り傷やひっかき傷などで皮膚が傷ついたことをきっかけに、皮膚の成分が内側に入り込み、袋状の構造が形成されることがあります。
また、過去の外傷や手術を受けた場所に粉瘤ができる場合もあります。

毛穴に関連してできることもあります

粉瘤の多くは毛穴(毛包)に関連して発生すると考えられています。
皮膚の下に袋状の構造ができ、その中に角質などが少しずつたまることで、しこりとして触れるようになります。

粉瘤は不潔だからできるわけではありません

「きれいに洗っていなかったから粉瘤ができたのでは?」と思われる方もいますが、粉瘤は単純に皮膚が不潔だからできるものではありません。
毎日きちんと入浴や洗浄をしていても粉瘤ができることはあります。そのため、必要以上に強く洗ったり、しこりを押したりする必要はありません。

まれに遺伝性疾患と関連することもあります

一般的な粉瘤の多くは遺伝性疾患とは関係なく発生しますが、まれにガードナー症候群などの遺伝性疾患に伴って、複数の粉瘤がみられることがあります。

粉瘤を完全に予防する方法はある?

粉瘤は発生する原因が明確ではないケースも多く、完全に予防する方法は確立されていません。
また、できてしまった粉瘤を自分で潰したり、内容物を無理に押し出したりすると、炎症を起こす原因になることがあります。

しこりが大きくなってきた、赤く腫れてきた、痛みが出てきたといった場合には、自分で処置せず皮膚科・形成外科へご相談ください。

※参照URL:Cleveland Clinic

※参照URL:Verywell Health

※参照URL:Radiopaedia

3. 粉瘤の症状と診断

粉瘤は小さいうちは痛みがなく、しこりだけがみられることもあります。
一方、炎症を起こすと赤みや腫れ、痛みなどが現れるため、状態によって症状は大きく異なります。

皮膚の下に丸いしこりができます

粉瘤では、皮膚の下に丸みのあるしこりを触れることがあります。大きさは数ミリ程度から数センチまでさまざまです。
しこりが少し動くこともあれば、周囲との癒着などによって動きにくく感じることもあります。

赤み・腫れ・痛みが出たら炎症の可能性があります

炎症を起こした粉瘤では、しこりが赤く腫れたり、熱を持ったり、痛みを伴ったりすることがあります。
炎症が強くなると、衣類が触れるだけでも痛みを感じる場合があります。

炎症した粉瘤について詳しく知りたい方は、

炎症性粉瘤の症状・治療について

もご覧ください。

内容物が出てくることもあります

粉瘤の表面が破れると、白色から黄色の内容物が出てくることがあります。
独特の臭いを伴う場合もありますが、自分で絞ったり潰したりすると炎症を悪化させる可能性があるため避けてください。

粉瘤はどのように診断する?

診察では、医師が患部を目で確認する視診や、しこりの硬さ・大きさ・動きなどを確認する触診を行います。

状態によっては、しこりの内部や深さを確認するために超音波検査(エコー)などの画像検査を行う場合があります。

摘出した組織を病理検査することがあります

手術で摘出した組織は、必要に応じて病理検査を行い、粉瘤などの良性腫瘍であるか、ほかの皮膚腫瘍ではないかを確認します。

このような症状がある場合はご相談ください

  • 粉瘤が赤く腫れている
  • 痛みや熱感がある
  • 急に大きくなってきた
  • 内容物が出ている
  • 同じ場所で炎症を繰り返している
  • しこりが粉瘤かどうか分からない

4. 粉瘤の治療法|日帰り手術について

粉瘤は、皮膚の下に袋状の構造(嚢腫壁)ができ、その中に角質や皮脂などがたまっていくできものです。
一度できた袋が自然になくなることは基本的にないため、根本的な治療には袋ごと取り除く手術が必要です。

粉瘤の手術には主に「切開法」と「くり抜き法」があり、粉瘤の大きさやできている場所、炎症の有無、周囲との癒着などを確認したうえで術式を選択します。

切開法|皮膚を切開して粉瘤を取り除く方法

切開法は、粉瘤の上の皮膚を切開し、内部の内容物と袋(嚢腫壁)を取り除く方法です。
粉瘤の大きさや状態に合わせて切開範囲を決め、必要に応じて縫合します。

大きな粉瘤や周囲との癒着がある場合など、粉瘤の状態によっては切開法が適していることがあります。

くり抜き法|小さな穴から粉瘤を取り除く方法

くり抜き法は、トレパンと呼ばれる円筒状の器具などを使用して皮膚に小さな穴を開け、そこから粉瘤の内容物と袋(嚢腫壁)を取り除く方法です。

切開範囲を小さくできることがメリットのひとつですが、すべての粉瘤に適しているわけではありません。
粉瘤の大きさや部位、炎症の状態などによっては、切開法の方が適しているケースもあります。

くり抜き法が「一番いい」とは限りません

粉瘤の手術では、「傷が小さい」「手術時間が短い」といったイメージから、くり抜き法の方が切開法より優れていると思われることがあります。

しかし、粉瘤はすべてくり抜き法で取ればよいというわけではありません。
粉瘤の大きさや状態、炎症の有無、できている場所などによって、適した術式は異なります。

当院では、粉瘤の状態を診察したうえで、切開法・くり抜き法などから適した治療方法を選択しています。
「できるだけ傷を小さくしたい」という場合も、術式だけで判断せず、まずは粉瘤の状態を確認することが大切です。

▶ 動画で解説|くり抜き法が「最強」とは限らない理由

炎症が強い場合は、すぐに摘出できないこともあります

粉瘤が赤く腫れて強い痛みがある、膿がたまっているなど炎症が強い場合には、その場で粉瘤を完全に摘出するのではなく、まず切開して膿を外に出す「切開排膿」を行うことがあります。

炎症が落ち着いたあと、必要に応じて残っている袋(嚢腫壁)を取り除く手術を行います。
炎症の程度によって治療方法は異なるため、腫れや痛みが強い場合は早めに医療機関を受診してください。

粉瘤は小さいうちに治療した方がいい?

粉瘤は時間の経過とともに大きくなることがあり、炎症を起こすと赤みや腫れ、痛みが強くなる場合があります。
大きさや状態によって治療方法も変わるため、気になるしこりがある場合は、炎症を起こす前に一度診察を受けることをおすすめします。

▶ 動画で解説|粉瘤は小さいうちに治療した方がいい?

当院では保険診療の日帰り手術に対応しています

れいわクリニックでは、診察のうえ手術が必要と判断された粉瘤について、保険診療での日帰り手術に対応しています。
粉瘤の大きさや部位、炎症の状態などを確認し、患者様の状態に合わせて治療方法をご案内します。

粉瘤の日帰り手術について詳しく見る

手術の流れや術後の注意点など、当院の日帰り手術についてご案内しています。


日帰り手術の詳細はこちら

参考:

日本皮膚科学会「皮膚科Q&A 粉瘤」

5. 粉瘤手術後の経過とケア

粉瘤の日帰り手術後は、傷口をきれいに治すために適切なケアを行うことが大切です。
手術した部位や大きさ、縫合の有無などによって注意点が異なるため、実際には医師からの指示に従ってください。

手術当日は激しい運動や飲酒を控えます

手術当日は、出血や腫れを抑えるため、飲酒や激しい運動などは控えてください。
局所麻酔の効果が残っている間は患部の感覚が鈍くなっていることもあるため、傷口を強く刺激しないよう注意します。

傷口は清潔に保ちます

術後は、医師の指示に従って傷口を洗浄し、必要に応じて軟膏やガーゼ、テープなどで保護します。
洗顔やシャワーを開始できる時期は、手術した場所や傷の状態によって異なります。

縫合した場合は抜糸を行います

縫合した場合には、傷の状態を確認しながら後日抜糸を行います。
抜糸の時期は手術した部位や治り方によって異なるため、診察時にご案内します。

強い痛みや出血がある場合はご連絡ください

術後には軽い腫れや出血がみられることがありますが、強い痛みが続く、大量に出血する、赤みや腫れが急に強くなるなど気になる症状がある場合には、当院までご相談ください。

※参照URL:

8 Mistakes After Surgery That Slow Your Recovery – WebMD

6. 粉瘤と間違えやすいできもの

皮膚の下にしこりがあっても、必ずしも粉瘤とは限りません。
脂肪腫や石灰化上皮腫、ガングリオンなど、見た目や触った感じが似ているできものがあります。

脂肪腫

脂肪腫は脂肪細胞からなる良性腫瘍です。一般的にはゆっくり大きくなり、柔らかいしこりとして触れることがあります。
粉瘤とは発生する組織や特徴が異なるため、診察や必要に応じた画像検査などで鑑別します。

※参照URL:

Lipoma – Symptoms & causes – Mayo Clinic

石灰化上皮腫(毛母腫)

石灰化上皮腫は、皮膚の下に硬いしこりとして現れる良性の皮膚腫瘍です。
特に子どもや若い方にみられることがあり、顔や首、腕などにできることがあります。

粉瘤と見た目が似ている場合もあるため、診察や必要に応じた検査によって判断します。

※参照URL:

石灰化上皮腫 – 日本形成外科学会

ガングリオン

ガングリオンは、関節や腱鞘の周辺などにできる、ゼリー状の内容物を含んだしこりです。
手首や指の付け根などにみられることが多く、大きさや硬さによっては粉瘤と間違えることがあります。

しこりだけで判断するのが難しいこともあるため、「粉瘤かどうか分からない」という場合にも医師へご相談ください。

7. 粉瘤についてよくある質問

粉瘤(アテローム)のよくある質問

Q. 粉瘤は自然に治りますか?

粉瘤は自然に消えることは基本的にありません。内容物が出て一時的に小さくなっても、袋状の組織が残っていると再び内容物がたまることがあります。

Q. 粉瘤を自分で潰してもいいですか?

自分で潰したり、内容物を無理に押し出したりすることはおすすめできません。
傷口から炎症や感染を起こす可能性があるため、しこりが気になる場合には医療機関を受診してください。

Q. 粉瘤は陰部にもできますか?

粉瘤は顔や首、背中だけでなく、鼠径部や陰部などさまざまな場所にできることがあります。
陰部のしこりには粉瘤以外の疾患もあるため、自己判断せず診察を受けることが大切です。

Q. 粉瘤は当日に切除できますか?

粉瘤の大きさや部位、炎症の状態などによっては、診察当日に手術できる場合があります。
実際に当日手術が可能かどうかは、診察後に医師が判断します。

Q. 手術にはどのくらい時間がかかりますか?

初診の場合は、受付・診察・検査・手術・処方などを含め、全体で1時間〜1時間半程度を目安としてご案内しています。
粉瘤の大きさや状態によって異なります。

Q. くり抜き法と切開法はどちらがいいですか?

どちらか一方が必ず優れているわけではありません。
粉瘤の大きさや部位、炎症の有無、周囲との癒着などによって適した方法が異なります。当院では診察したうえで手術方法を判断します。

Q. 傷跡を目立ちにくくできますか?

手術では、粉瘤の状態や部位に応じて切開する範囲や縫合方法などを検討し、できるだけ傷跡に配慮して治療を行います。
ただし、傷跡の残り方には個人差があります。

Q. 粉瘤手術の費用はいくらですか?

粉瘤の手術は、医師が治療上必要と判断した場合には健康保険が適用されます。
費用は粉瘤の大きさや部位などによって異なるため、診察時にご案内します。

Q. 抜糸は必要ですか?

縫合方法によって異なりますが、通常の糸で縫合した場合には後日抜糸を行います。
抜糸の時期は部位や傷の状態によって異なります。

Q. 術後に気をつけることはありますか?

飲酒や激しい運動を控えること、傷口を清潔に保つこと、医師から指示された軟膏やガーゼなどの処置を行うことが大切です。
手術部位によって注意点が異なるため、詳しくは診察時にご説明します。

粉瘤についてもっと詳しく知りたい方へ

この記事の監修・執筆医

粉瘤の解説監修:医療法人社団涼美会 理事長 関口知秀医師

医療法人社団涼美会理事長

関口 知秀

形成外科および皮膚科の臨床経験を活かし、粉瘤などの皮膚・皮下腫瘍に対する日帰り手術から術後ケアまでを手掛ける。
「痛みを我慢せず、いつでも気軽に来院できる場所でありたい」という思いのもと、新宿・渋谷の各院にて患者さまの治療にあたっています。

※本ページは新宿新南口れいわクリニックの医師が医学的知見に基づき監修しています。