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医療法人社団涼美会 理事長
新宿・渋谷の一般内科・生活習慣病外来|駅徒歩30秒・平日21時/土日祝20時まで診療
健康診断の結果表を開いて、「LDLコレステロール」の欄に赤い印がついていた——。そんな経験のある方は、決して少なくないはずです。ところが、体はどこも痛くないし、いつもどおり動く。それで「まあ、去年も同じことを書かれたし」と、結果表を引き出しにしまってしまう。脂質異常症(高脂血症)という病気は、まさにそうやって見過ごされていきます。この記事では、脂質異常症とはどういう病気なのか、なぜ起こるのか、検査で何を見ているのか、そして治療にはどんな選択肢があるのかを、順を追って解説します。
この記事の要点
REASON
土・日・祝も診療
年末年始も休まず対応
夜平日21時まで
仕事帰りにも通いやすい
健康保険適用
院内処方にも対応
生活習慣病
継続的な治療・管理をサポート
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健康診断の結果表を開いて、「LDLコレステロール」の欄に赤い印がついていた——。そんな経験のある方は、決して少なくないはずです。
ところが、体はどこも痛くないし、いつもどおり動く。それで「まあ、去年も同じことを書かれたし」と、結果表を引き出しにしまってしまう。脂質異常症(高脂血症)という病気は、まさにそうやって見過ごされていきます。
血液中のコレステロールや中性脂肪の値に異常があっても、それ自体が痛みや不調を起こすことはまずありません。しかし、余分な脂質は年月をかけて血管の壁に積もり、動脈硬化を進めていきます。そして心筋梗塞や脳梗塞という形で、ある日突然その代償が現れる。これが脂質異常症のこわさです。
この記事では、脂質異常症とはどういう病気なのか、なぜ起こるのか、検査で何を見ているのか、そして治療にはどんな選択肢があるのかを、順を追って解説します。健診で指摘を受けたけれど受診をためらっている方に、判断の材料としてお読みいただければと思います。
(LDLはコレステロールの運搬人、HDLは回収人の役割を担っています)
脂質異常症とは、血液中の脂質のバランスが乱れている状態を指します。
脂質異常症とは、血液中の脂質のバランスが乱れている状態を指します。具体的には、悪玉と呼ばれるLDLコレステロールや中性脂肪が多すぎる、あるいは善玉のHDLコレステロールが少なすぎる状態です。
まず押さえておきたいのは、コレステロールそのものは決して悪者ではない、ということ。コレステロールは細胞膜の材料であり、ホルモンや胆汁酸のもとにもなる、体になくてはならない物質です。問題は「量」と「バランス」なのです。
血液中の主な脂質の役割と特徴は以下の通りです。
| 項目 | 一般的な呼び名 | 体内での主な役割・特徴 |
|---|---|---|
| LDLコレステロール | 悪玉コレステロール | 肝臓でつくられたコレステロールを全身へ運ぶ。増えすぎると血管の壁に入り込んで蓄積し、動脈硬化の直接の引き金になる。 |
| HDLコレステロール | 善玉コレステロール | 血管の壁にたまった余分なコレステロールを回収して肝臓へ戻す「掃除役」。低いことが問題になり、運動不足や喫煙で下がりやすい。 |
| 中性脂肪 (トリグリセライド) |
体脂肪のもと | 体を動かすエネルギー源。余分な糖質やアルコールから作られ、増えすぎるとHDLを減らしLDLをより危険な小粒タイプに変えてしまう。 |
「高脂血症」と「脂質異常症」、どちらの言葉も耳にしたことがあると思います。両者はほぼ同じ病気を指していますが、名称が変わったのには理由があります。
かつては、コレステロールや中性脂肪が高い状態をまとめて「高脂血症」と呼んでいました。ところが、この呼び方ではHDLコレステロールが「低い」状態をうまく表せません。低HDLコレステロール血症も動脈硬化の危険因子であるにもかかわらず、「高脂血症」という言葉では矛盾が生じてしまうのです。
そこで2007年に名称が改められ、現在の医療機関では「脂質異常症」という呼び方が一般的になりました。とはいえ、患者さんの間では「高脂血症」のほうが今も広く通用していますし、意味するところに大きな違いはありません。
脂質異常症は、どの数値に異常があるかによって次のように分類されます。日本動脈硬化学会の基準では、いずれも空腹時採血の値をもとに判断します。
| 診断区分 | 異常値の基準(空腹時) | 備考・境界域 |
|---|---|---|
| 高LDLコレステロール血症 | 140 mg/dL 以上 | 120〜139 mg/dL は境界域 |
| 低HDLコレステロール血症 | 40 mg/dL 未満 | 低い状態がリスクとなる |
| 高トリグリセライド血症(中性脂肪) | 150 mg/dL 以上 | 随時(食後)採血では 175 mg/dL 以上 |
| 高non-HDLコレステロール血症 | 170 mg/dL 以上 | 150〜169 mg/dL は境界域 |
これらは単独で現れることもあれば、複数が組み合わさることも珍しくありません。特に、中性脂肪が高くてHDLが低いという組み合わせは、内臓脂肪の蓄積した方によくみられるパターンです。
なお、随時採血(食後の採血)でも中性脂肪を評価できる基準が設けられたのは、2022年に改訂されたガイドラインからです。健診が必ずしも空腹時に行えるとは限らない実情に合わせた変更で、食後の高い中性脂肪もまた動脈硬化と関係することがわかってきたためでもあります。
はっきり申し上げると、脂質異常症には自覚症状がありません。LDLコレステロールが200mg/dLを超えていても、痛くもかゆくもないのが普通です。
ですから、発見されるきっかけのほとんどは健康診断や、別の目的で受けた血液検査ということになります。裏を返せば、検査を受けないかぎり、何年でも気づかないまま過ごせてしまう病気だということです。
ごくまれに、体に表れるサインもあります。アキレス腱が分厚く硬くなる「腱黄色腫」、まぶたにできる黄色っぽい隆起(眼瞼黄色腫)、目の角膜のふちが白く輪状に濁る「角膜輪」などです。これらは後述する家族性高コレステロール血症のように、著しくコレステロールが高い方にみられる所見で、一般的なものではありません。
「症状がないなら大丈夫」ではなく、「症状がないからこそ数値で判断する」。脂質異常症については、この考え方に切り替えていただく必要があります。
自覚症状が出てくるのは、たいてい動脈硬化がかなり進んでからです。そのときには、次のような病気という形で現れます。
いずれも、いきなり発症したように見えて、実際には10年、20年という時間をかけて準備されてきたものです。
当院は保険診療を主軸としたクリニックです
脂質異常症の多くは、日々の生活習慣が積み重なって起こります。
食事の影響は大きく、肉の脂身やバター、生クリーム、洋菓子などに多い飽和脂肪酸を摂りすぎると、LDLコレステロールが上がりやすくなります。一方、中性脂肪を押し上げるのは脂よりもむしろ糖質とアルコールです。ご飯やパン、甘い飲み物、そして毎晩の晩酌——「油ものは控えているのに中性脂肪が下がらない」という方は、この点を見落としていることがよくあります。
運動不足も見逃せません。体を動かす習慣がないとHDLコレステロールが上がりにくく、中性脂肪は下がりにくくなります。そこに食べ過ぎが重なれば内臓脂肪が蓄積し、脂質のバランスはさらに崩れていきます。
喫煙は、HDLコレステロールを直接下げるうえ、血管の内側を傷つけて動脈硬化を加速させます。過度な飲酒についても、少量なら悪くないという説はあるものの、量が増えれば中性脂肪は確実に上がります。
生活習慣に特に問題がないのに、若い頃からコレステロールが高い。そういう方の中には、体質的な要因が関わっているケースがあります。
代表的なのが家族性高コレステロール血症(FH)です。LDLコレステロールを処理する仕組みに生まれつき異常があるために値が高くなる遺伝性の病気で、日本動脈硬化学会によれば、およそ300人に1人という決して珍しくない頻度で存在するとされています。
FHでは、未治療の状態でLDLコレステロールが180mg/dL以上になること、アキレス腱などに黄色腫がみられること、そして血縁者に高コレステロール血症や若くして心筋梗塞になった方がいることが診断の手がかりになります。放置すると若年でも心筋梗塞を起こす危険があるため、早期に見つけてしっかり治療することがとりわけ重要です。ご家族に若くして心臓の病気になった方がいる場合は、必ず医師に伝えてください。
FHほど極端でなくても、体質としてコレステロールが上がりやすい方はいます。また女性の場合、閉経を境にLDLコレステロールが上昇するのは、女性ホルモンの分泌が減るためです。40代後半から急に数値が悪くなった女性の多くは、これが背景にあります。
ほかの病気や薬の影響で、二次的に脂質の値が乱れることもあります。これを二次性(続発性)脂質異常症と呼びます。
| 原因となる病気・要因 | 脂質数値への影響・特徴 |
|---|---|
| 糖尿病 | 中性脂肪が上がり、HDL(善玉)が下がりやすい |
| 甲状腺機能低下症 | LDL(悪玉)コレステロールが著明に上昇する(見落とされやすい) |
| 腎臓病(ネフローゼ・CKD) | ネフローゼ症候群や慢性腎臓病に伴って脂質異常を生じる |
| 肝臓・胆道の病気 | 胆汁うっ滞などによってコレステロールが上昇する |
| 薬剤の影響 | ステロイド、一部の利尿薬や免疫抑制薬などの副作用 |
これらが原因の場合は、もとの病気の治療によって脂質の値も改善します。特に甲状腺機能低下症は見落とされやすく、コレステロールが急に高くなった方では確認しておきたい病気のひとつです。血液検査で調べられますので、気になる場合は医師に相談してみてください。
健診結果を手元に、まず次の項目を確認してみましょう。
LDLコレステロールは、140mg/dL以上で高LDLコレステロール血症にあたります。120〜139mg/dLは境界域で、この段階でも他の危険因子が多ければ対応が必要です。
HDLコレステロールは、40mg/dL未満だと低HDLコレステロール血症です。ここは「低いと問題」という、他とは逆の見方をする項目です。
中性脂肪(トリグリセライド)は、空腹時150mg/dL以上、食後の採血なら175mg/dL以上が基準となります。健診前夜に食事をした時間によって値が変わるため、判断の際は採血条件も併せて確認します。
これらに加えて、総コレステロールからHDLコレステロールを引いたnon-HDLコレステロールという指標も重視されるようになりました。中性脂肪が高い方ではLDLの値が正確に評価しにくいため、動脈硬化を起こしうる脂質をまとめて捉えられるこの指標が役立ちます。
厚生労働省の令和元年国民健康・栄養調査によると、LDLコレステロールが140mg/dL以上の方は男性でおよそ2割、女性では2割強にのぼります。健診で指摘されるのは、決して特別なことではないのです。
とはいえ、指摘されたすべての方がすぐに薬を始めるわけではありません。受診をおすすめしたいのは、次のような場合です。
同じLDL140mg/dLでも、他に危険因子のない方と、糖尿病があって喫煙もしている方とでは、意味合いがまったく違います。数値そのものより、その人の全体的なリスクをどう評価するかが診療では重要になります。
(イメージ:LDLコレステロールの蓄積による動脈硬化の進行)
脂質異常症の本当の問題は、数値の異常ではなく、その先にある動脈硬化です。
血液中にLDLコレステロールが余っていると、血管の内側の壁に入り込んでいきます。そこで酸化を受けたLDLを、免疫細胞であるマクロファージが処理しようと取り込むのですが、処理しきれずに脂を抱えたまま死んでしまう。その残骸が壁の中にたまって、プラークと呼ばれるおかゆ状のこぶを作ります。
プラークが大きくなれば血管の内腔は狭くなり、血流が悪くなります。さらに厄介なのは、プラークの表面を覆う膜が薄い場合、それが破れて血栓(血のかたまり)ができ、血管を一気に詰まらせてしまうことです。心筋梗塞や脳梗塞が「突然」起こるのは、この破綻が瞬時に起こるからにほかなりません。
つまり、血管が徐々に細くなっていくだけでなく、それまで無症状だった人がいきなり倒れることもある。ここが動脈硬化の恐ろしいところです。
動脈硬化が進行すると、体のどの血管が傷むかによって、現れる病気が変わります。
心筋梗塞・狭心症は、心臓に血液を送る冠動脈が細くなったり詰まったりして起こります。狭心症は運動時の胸の痛みや圧迫感が特徴で、心筋梗塞になれば命に関わります。
脳梗塞は、脳の血管が詰まって脳の組織が壊死する病気です。命が助かっても、半身のまひや言葉の障害といった後遺症が残ることが多く、介護が必要になる大きな原因となっています。
閉塞性動脈硬化症は、主に足の動脈が細くなる病気です。しばらく歩くとふくらはぎが痛くなり、休むとまた歩ける(間欠性跛行)という特徴的な症状が出ます。進行すると安静時にも痛み、足の傷が治らなくなることもあります。
これらに共通するのは、いったん起こってしまうと元どおりにはならないという点です。壊れてしまった心臓や脳の細胞は再生しませんし、詰まった血管を治療できたとしても、動脈硬化そのものが消えてなくなるわけではありません。裏を返せば、まだ「血液検査の数字が高い」というだけで、体のどこにも症状が出ていない今こそ、いちばん手を打ちやすい時期だということです。
診断の基本は血液検査です。測定するのはLDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪、総コレステロールの4項目です。
採血は、原則として10時間以上絶食した状態で行います。中性脂肪は食事の影響を受けやすく、食後は一時的に大きく上昇するためです。ただし、先に述べたとおり随時採血の基準も設けられていますので、都合がつかない場合は採血の時間と最後の食事の時刻を伝えていただければ評価は可能です。
脂質異常症は単独で存在するというより、他の生活習慣病と一緒に現れることがほとんどです。そのため、状況に応じて次のような検査を追加します。
なかでも頸動脈エコーは、痛みもなく10分ほどで済み、動脈硬化の進み具合を目で見て確認できる検査です。数字だけではぴんとこなかった方が、自分の血管の画像を見て治療に前向きになる——診療の現場では、そういう場面がしばしばあります。
治療の目的は、コレステロールの数値を下げること自体ではありません。動脈硬化の進行を抑え、心筋梗塞や脳梗塞を防ぐことが本当の目標です。ですから、どこまで下げるべきかは一人ひとり違います。
たとえば、他に危険因子のない方であればLDLコレステロール160mg/dL未満、危険因子が重なる方では120mg/dL未満、すでに心筋梗塞を起こしたことのある方では100mg/dL未満、さらに条件によっては70mg/dL未満といった具合に、リスクに応じて目標値が細かく設定されています。ご自身の目標値がいくつなのかは、ぜひ主治医に確認してみてください。
治療の出発点は、やはり食事です。
LDLコレステロールが高い方は、飽和脂肪酸を減らすことが第一になります。肉は脂身を落とし、鶏肉なら皮を外す。バターや生クリーム、洋菓子、インスタント麺なども控えめに。そのうえで、青魚に多いn-3系脂肪酸、オリーブオイルなどの不飽和脂肪酸に置き換えていくのが基本方針です。野菜、海藻、きのこ、大豆製品に含まれる食物繊維はコレステロールの吸収を抑える働きがあり、意識して増やしたい食品といえます。
中性脂肪が高い方は、脂よりも糖質とアルコールの見直しが効きます。ご飯の大盛り、菓子パン、清涼飲料水、果物の食べすぎ、そして毎日のお酒。これらを減らすと、数値が驚くほど下がることがあります。
なお、卵などに含まれる食事由来のコレステロールについては、健康な人では一律に制限する必要はないと考えられるようになりました。ただし、すでに脂質異常症のある方では1日200mg未満を目安に控えることが推奨されています。卵1個でおよそ200mg強ですから、毎日2個3個という食べ方は見直したほうがよいでしょう。
運動には、HDLコレステロールを増やし、中性脂肪を減らす効果があります。LDLコレステロールへの効果は食事や薬に比べると穏やかですが、内臓脂肪の減少や血圧の改善も含めれば、その価値は数値以上のものです。
ウォーキングや速歩、水泳、サイクリングといった有酸素運動を、1日30分以上、できれば毎日。少なくとも週に3日は行いたいところです。まとめて30分が難しければ、10分を3回に分けても効果に大きな差はありません。「ややきつい」と感じる程度の速さが目安になります。
大切なのは強度より継続です。一駅手前で降りて歩く、エレベーターをやめる、犬の散歩を少し延ばす。そうやって生活に組み込めた運動の方が、長期的に継続しやすいと思います。
生活習慣の改善を数か月続けても目標に届かない場合、あるいは最初からリスクが高いと判断される場合には、薬による治療を検討します。主な処方薬の種類と作用は以下の通りです。
| 薬の分類 | 主な作用・特徴 |
|---|---|
| スタチン系薬剤 | 肝臓でのコレステロール合成を抑え、LDLを強力に下げる(治療の第一選択)。心筋梗塞等の予防効果が確認されている。定期的な血液検査で経過を追う。 |
| コレステロール吸収阻害薬 (エゼチミブ) |
小腸からのコレステロール吸収を抑える。スタチンとは作用部位が異なるため、単独でも併用でも使用される。 |
| フィブラート系薬剤・ EPA製剤 |
主に中性脂肪を大きく下げる。中性脂肪が著しく高い場合の急性膵炎予防にも重要。 |
| PCSK9阻害薬(注射薬) | 家族性高コレステロール血症や、内服薬のみでは目標に届かない高リスクの方に使用される。 |
どの薬を選ぶかは、脂質のどの項目が問題なのか、他にどんな病気があるか、腎臓や肝臓の状態はどうかによって決まります。「みんなが飲んでいる薬」ではなく、その人に合った薬を選ぶことが大切です。
当院は保険診療を主軸としたクリニックです
(イメージ:バランスの良い食事)
日々の生活で心掛けたいことを、あらためて整理しておきます。
バランスの良い食事を基本に、魚、大豆製品、野菜、海藻を増やし、動物性の脂と甘いものを控える。和食は本来この形に近いのですが、塩分が多くなりがちな点にはご注意ください。
適正体重の維持も欠かせません。体重を3%減らすだけで、中性脂肪やHDLコレステロールの値は改善します。身長170cmで80kgの方なら、まず2.4kg。これなら現実的な目標ではないでしょうか。
定期的な運動、禁煙、飲酒量を控えること。この3つは、脂質の値だけでなく血圧や血糖にも良い影響を与えます。特に禁煙は、HDLコレステロールを上げる数少ない確実な方法です。
そして、定期的に健康診断を受けること。脂質異常症は症状で気づける病気ではありませんから、年に一度の採血が唯一の見張り役になります。
「コレステロールを下げる」とうたうサプリメントは、たくさん出回っています。実際に相談を受けることも多いテーマです。
結論から申し上げると、サプリメントだけで脂質異常症を確実に改善できるとは限りません。紅麹、植物ステロール、DHA・EPAなど、成分によっては脂質への一定の作用が報告されているものもありますが、その効果は薬に比べればずっと穏やかで、個人差も大きいのが実情です。何より、心筋梗塞や脳梗塞を減らせるかどうかまで確かめられている製品は、ほとんどありません。
注意していただきたいのは、サプリメントを飲んでいるから安心だと考えて、受診や治療を先延ばしにしてしまうことです。数値によっては、生活習慣の改善やサプリでは間に合わず、医療機関での治療が必要な段階に来ていることもあります。
また、すでに薬を服用している方が、サプリを始めたからといって自己判断で薬をやめてしまうのは危険です。成分によっては薬との飲み合わせに注意が必要なものもありますので、サプリメントを使う場合は、その旨を主治医に伝えていただくのが安全です。
次のいずれかに当てはまる方は、症状がなくても一度医療機関にご相談ください。
「様子を見ましょう」で済むのか、それとも治療を始めたほうがよいのか。その判断こそ、専門的な評価が必要な部分です。
脂質異常症(高脂血症)は、自覚症状がないまま静かに動脈硬化を進め、心筋梗塞や脳梗塞といった重大な病気につながる生活習慣病です。
診断の基準はLDLコレステロール140mg/dL以上、HDLコレステロール40mg/dL未満、中性脂肪150mg/dL以上(空腹時)。ただし、同じ数値でも、糖尿病や高血圧、喫煙といった他の要因があるかどうかで、必要な対応は変わります。
治療の土台は食事と運動です。飽和脂肪酸と糖質・アルコールを見直し、有酸素運動を習慣にする。それでも届かないときには、薬の力を借りればよいのです。薬を始めることは決して敗北ではなく、血管が傷んでしまう前の、賢明な選択にほかなりません。
健康診断の結果表を、もう一度開いてみてください。赤い印がついていたなら、それは体からの数少ないメッセージです。症状がない今のうちに——それが、10年後の自分にできる最良の投資になります。
医療法人社団涼美会 理事長
※本ページはれいわクリニックの医師が監修しています。