粉瘤(ふんりゅう)について!
普段はあまり目にすることのない「粉瘤(ふんりゅう)」について、ここでは一体どのようなものなのか、その原因や症状、治療方法、できないためにはどうしたらいいのかなど、粉瘤(ふんりゅう)について調べていきましょう!
粉瘤(ふんりゅう)とは
ここでは、実際に「粉瘤(ふんりゅう)とはどのようなものなのか、その定義や種類、または発生する場所やできやすい年齢、そして性別による違いなどもお伝えします。
粉瘤(ふんりゅう)とは何か、その定義と発生頻度について
粉瘤(ふんりゅう)は、皮膚の下にできる良性の腫瘍(しゅよう)の一種です。腫瘍と聞くと怖くなる方もいらっしゃるかもしれませんが、安心してください。良性ですので、癌(がん)などのように、命にかかわるようなことはほとんどありません。
その粉瘤(ふんりゅう)は、私たちの皮脂腺(※1)からの分泌物や皮膚の角質(垢(あか)ともいわれます)が袋状(嚢胞:のうほう)の構造に閉じ込められることで形成されます。医学的に、正式には「表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)」または「アテローム」と呼ばれています。
一般的に、皮脂腺や毛嚢(もうのう)から発生し、皮膚の表面に丸く隆起したしこりのように見えます。粉瘤は通常、無害で痛みがない場合が多いですが、感染すると赤く腫れて痛みを伴うことがあります。
その場合、医師の診察を受けて治療が必要です。粉瘤は、全ての方がそうではありません、皮膚の清潔を保つことによって予防することができます。ただ、痛みや腫れが酷い場合には、早めに治療することが大切です。
※1:皮脂を分泌する器官で、皮膚の真皮層とよばれる層にあり、毛穴につながり袋のような形をしています。 皮脂は毛穴から出て角層の表面に広がり、水分の蒸散を防いで、肌(皮膚)のうるおいを守る役割をします。
粉瘤(ふんりゅう)の定義
粉瘤は、以下の特徴を持つ皮膚(ひふ)の腫瘍(しゅよう)です。
1. 良性腫瘍(りょうせいしゅよう):がんではなく、命に関わることは少ないです。
2. 袋状構造:皮膚の下に袋状(きんちゃく袋のような形)の構造が形成され、その中に皮脂や角質が溜まります。そのまま放置すれば、見ただけでも分かるくらい大きくなります。
3. 皮膚に生じる:体中にできる、特に顔、首、背中など、皮脂腺が多い部位に多く見られます。
特徴は以下のようになっています。
1. 見た目:皮膚の下にしこりとして触れることが多く、表面は通常滑らかになっています。体のどこにでもできますが、特にできやすいのが皮脂腺が多い顔や首(デコルテ部分も含めて)、背中などです。
2. 痛み:通常は無痛ですが、雑菌などが粉瘤(ふんりゅう)に入ると、赤く腫れてみやかゆみを伴うことが多く、中にたまっている垢(あか)や分泌物がにじみ出たり、破裂したりする場合もあります。
3. サイズ:数ミリから数センチメートルまでさまざまなサイズの粉瘤があります。ただ、放置しておけば、徐々に大きくなることが多いため早めの治療が必要です。
4. 臭い:袋の中には皮脂腺からの分泌物や垢(あか)が溜まっているため、絞りだしたり、袋が自然に破けたりすると、チーズと汗が混じったような強烈な臭いがします。また、中からは白いクリームのような液体状のものや、カッテージチーズのようなボロボロしたものが出てきます。
(写真があれば)1,2枚
※参照URL:https://www.dermatol.or.jp/qa/qa17/q01.html
※参照URL:Epidermoid cysts – Symptoms and causes – Mayo Clinic
※参考資料:『皮膚科学 第11版』(日本皮膚科学会編)
粉瘤の統計データ
粉瘤に関してですが、日本人だけに限定した統計データは現在でていません。そこで、世界的に見た粉瘤(表皮嚢腫:ひょうひのうしゅ)の統計データに関する情報を見てみましょう。
1. 性別:粉瘤(ふんりゅう)は性別によって発生頻度が違います。新陳代謝の多い男性に多く見られ、その中でも、20歳から60歳の男女に発症することが多いことが分かっています。そのため、女性に比べて男性の方が粉瘤の発生率が高いと報告されています。
2. 年齢:粉瘤(ふんりゅう)は年齢に関係なく発生しますが、特に皮脂腺からの分泌が盛んに行われ、新陳代謝が活発な成人期に多く見られます。思春期以前には稀であり、20歳から60歳の間で最も頻繁に発生します。
3. 人種:粉瘤の発生は人種によって大きく異なるわけではありません。どの人種でも見られる一般的な皮膚の形成異常によって起こる変化です。ただし研究によれば、皮膚の特定のタイプや遺伝的要因が関与している可能性も高いと言われています。
4.悪性腫瘍になる率:粉瘤からの皮膚がん(有棘細胞癌)の発生率は、極めてまれで あり、日本ではほとんどいません。
※参照URL:Cleveland Clinic
※参照URL:Verywell Health
※参照URL:Radiopaedia
粉瘤の原因
ここでは、粉瘤(ふんりゅう)がどのような原因でできるのか、またはどのような人ができやすいのかをお伝えします。
主な原因
1. 皮膚の損傷や刺激
皮膚が損傷(擦り傷やひっかき傷、またはニキビやイボなどの些細な傷からもででき る場合があります)したり、繰り返し刺激を受けることにより、皮膚細胞が正常な位 置から押し出され、皮膚の下に袋状の構造が形成され粉瘤となります。
粉瘤が炎症する仕組みは、これに対して異物反応が起きるためだといわれています。 これに細菌感染が二次的に加わると、さらに炎症は悪化してしまいます。
2. 毛包の閉塞
毛包(毛の根元にある構造)が詰まることで、通常ならば汗や垢(あか)として外にでる皮脂や角質が袋状の構造内に閉じ込められ、粉瘤が形成されてしまいます。
3. 遺伝的要因
Gardner症候群(※1)やGorlin症候群などの遺伝性疾患があると、粉瘤が複数できやすくなります。
4. 外科手術や怪我
過去の外科手術や深い傷が原因で、皮膚が再生する過程で粉瘤が形成されることがあります。
※参照URL:Cleveland Clinic
※参照URL:Verywell Health
※参照URL:Radiopaedia
※1:ガードナー症候群(Gardner’s syndrome)は、家族性大腸腺腫症(Familial Adenomatous Polyposis、FAP)の一種であり、遺伝性の疾患です。この症候群は、APC遺伝子の変異によって引き起こされ、大腸や直腸に多数のポリープができることが特徴です。また、軟部組織腫瘍とよばれる皮膚やその他の軟部組織に良性の腫瘍ができることもあります。ガードナー症候群は、家族性の疾患であるため、家族歴がある場合には早期の遺伝カウンセリングと定期的な検診が推奨されます。治療としては、ポリープの除去手術や定期的な内視鏡検査が行われ、場合によっては大腸全摘手術が検討されることもあります。
※2:ゴーリン症候群(Gorlin syndrome)、またはネボイド基底細胞母斑症候群(Nevoid Basal Cell Carcinoma Syndrome, NBCCS)は、遺伝性の疾患で、多数の基底細胞がん(皮膚がんの一種)やその他の異常を引き起こすことが特徴です。PTCH1遺伝子の変異が主な原因とされています。ゴーリン症候群は複雑な遺伝性疾患ですが、適切な管理と治療により、症状の進行を抑え、生活の質を維持することが可能です。
粉瘤の診断基準と主な症状
粉瘤の診断基準とその主な症状を説明します。
診断基準
粉瘤の診断は、主に臨床診察(一般的な病院での医師による診察)と患者様の症状に基づいて行われます。以下のポイントが診断の手がかりとなります。
1.臨床診察: 皮膚科医が視診(目で実際に患部を見て診断すること)および触診(指や手のひらを使い実際に患部を触り診断すること)を行い、粉瘤の特徴的なしこりを確認します。
2.超音波検査: 必要に応じて、内部の構造を確認するために超音波検査が行われることがあります。特に、粉瘤が数日から数カ月の間に急激に大きくなっている、同じ部位で炎症を繰り返している、深くまで達しているような場合などは、超音波検査(エコー)やCTで粉瘤の内部をしっかりと検査することもあります。
3.病理検査: 外科的に摘出された粉瘤を病理検査に出し、実際に粉瘤のような良性腫瘍なのか、それとも別の皮膚疾患であり悪性腫瘍なのかを判断することがあります。
主な症状
最初の項目でも述べていますが、もう一度粉瘤の主な症状をまとめてみましょう。
1.しこり: 皮膚の下に滑らかで丸いしこりが現れます。大きさは数ミリから数センチに及びます。しこりは皮膚の下で少し動くことがありますが、深く固定されている場合があり、動かない場合もあります。
2.痛み: 通常は無痛ですが、そのしこりに雑菌が入り感染や炎症が起こると痛みやかゆみを伴うことがあります。
3.赤みと腫れ: 粉瘤が感染すると、しこりが赤く腫れて熱を持つことがあります。また、腫れが酷くなると、服などの繊維に触れただけでも刺激を感じるなど、皮膚が敏感になることが多いです。
4.中身の排出: 粉瘤の表面が破れると、白色から黄色のチーズ状の内容物が排出されることがあります。この内容物は不快な臭いを伴うことが多いです。また、そのままにしておけば、その部分から不快な臭いの内容物がじくじくと何日間も流れ出すことも多いです。
注意点
粉瘤は良性の腫瘍であるため、緊急を要することは少ないですが、以下の場合にはお早めにご相談ください。
1.感染の兆候: 雑菌が粉瘤の袋の中に入ると感染症になってしまう場合があります。粉瘤が赤みをおびる、痛み、腫れ、熱などの症状が見られる場合。
2.急速な粉瘤の成長: 短期間(数週間〜数カ月)で急速に大きくなる場合。
3.美容的な問題: 大きさや位置が目立つ部位にあり、他の人から見えやすいなど、見た目に影響がある場合。
早期に適切な診察と治療を受けることにより、感染や炎症を防ぎ外科的な処置を行った場合でも手術の傷跡も目立たず、通常の生活に早く戻れます。
粉瘤の治療法
ここでは、粉瘤の治療方法をご紹介していきます。
治療を行うかどうかの基準
粉瘤はサイズが小さくても薬では治せないので、基本的に外科手術となります。しかし、日帰り手術であり、保険適用の治療ですので患者様の負担も軽くなっています。
また、患者さまとのご相談にもよりますが、良性腫瘍であるため、炎症や痛みなどの自覚症状がない場合には、特に治療を行わなくても問題ありません。そのような場合には「経過観察」と呼ばれる積極的な治療を行わず、症状の経過を時間をかけて観察していくプロセスになります。
しかし、見た目に問題がある場合や、外的刺激を受けやすく、将来的に炎症や破裂のリスクが高いと判断される場合には、粉瘤の根本原因から治療できる外科的治療が推奨されます。
なぜならば、粉瘤はその根本である袋状(嚢胞)のものを取り出さなければ、何回でもその中に垢や内容物がたまり、感染症や粉瘤の症状が再発してしまう可能性が高いからです。
そのため、患者様には外科的な処置をご案内させていただいております。外科的手術において、当院は数多くの症例に対応しており、複雑な手術も迅速かつ正確に行うことができます。
患者様に最適な治療を提供するため、常に最新の医療技術と知識を習得し、慎重かつ確実な手術を心掛け、術後のケアも含め、診察から治療、そしてアフターケアまで全て当院にて対応できるようになっています。
通常の粉瘤の場合、巨大でない限り、局所麻酔による日帰り手術が可能です。もちろん、患者様ごとに治療内容は異なります。粉瘤かどうか分からない場合でも、気兼ねなく当院までご相談ください。
外科的切除(切開排膿術、全摘出術)について
まず外科的な治療で大切なことは、切開と排膿(粉瘤の膿みを出すこと)です。患部に炎症や感染がある場合、まず切開して膿を排出します。この段階では完全な粉瘤の除去は行わず、炎症を鎮めることが目的です。
次に行うのが完全切除手術です。当院では根本的な解決策となるこの切除手術をお勧めしています。炎症が治まった後、粉瘤全体を取り除く手術を行います。炎症の無い患者様の場合には、切除手術を行います。
切開を行い、粉瘤嚢胞全体とその周囲の組織を慎重に取り除きます。再発を防ぐために、嚢胞の全てを取り除くことが重要です。手術自体は30分前後で終了し、入院も必要ありません。
完全に取り除くことができた後は、切開部位を縫合して閉じます。患者様にもよりますが、大きな切開の場合、複数回の縫合が必要になることがあります。
外科的な処置後はアフターケアに移ります。処置後、患部の消毒や包帯交換、抗生物質の投与が行われます。また、定期的な診察で、感染の有無や治癒状態を確認いたします。
手術後数日から数週間は経過観察が必要です。腫れや痛み、再発の兆候がないかをしっかりと確認し、再発予防に努めます。
※まれに、嚢胞の全てが除去されていない場合や新たに同じ部位に粉瘤が形成される場合があります。本当に稀(まれ)ですが、その場合には再度手術が必要となることがあります。
※参照URL:アテローム(粉瘤) Q9 – 皮膚科Q&A(公益社団法人日本皮膚科学会)
へそ抜き法(くり抜き法)について
へそ抜き法とよばれる粉瘤の大きさが5mm〜5cm未満の場合に行われる手術の方法にも対応していますが、当院では、粉瘤を再発させないためにも完全切除手術を患者さまにはお勧めさせていただいています。
この方法は局所麻酔をして、表面の皮膚開口部にトレパン(ディスポーザブルパンチ)という直径4mmほどの円筒状のメスを刺し込み、表面の皮膚とともに袋状構造物の一部をくり抜きます。
くり抜いた後は、粉瘤内の内容物をもみだしながら粉瘤の袋状(嚢胞)そのものもできるだけ取り除きます。
基本的に傷の部分は縫い合わせず、開放創として徐々に自然に治癒するようにしていきます(※1)。へそ抜き法では、切除手術に比べると施術時間が短いという長所がありますが、完治までの日数は縫合をしない分、長くなります。
へそ抜き法の注意点として、へそ抜き法は普段からよく使う手のひらや足の裏では感染症のリスクが高くなるため行うことはできません。また、炎症を繰り返し、周囲の組織との癒着が強い場合にも行うことはできません。
※1:切除後は状態により穴を開けたままで軟膏処置をするか、縫合するかを患者様の状態により医師が判断します。
※特に炎症を伴い、赤みや腫れ、痛みが強い場合には、へそ抜き法ではなく、緊急に粉瘤の表面の皮膚を切開して、嚢腫内の膿性内容物を排出させることを優先します。
※参照URL:アテローム(粉瘤) Q9 – 皮膚科Q&A(公益社団法人日本皮膚科学会)
治療前後のケアと予防
粉瘤は治療前後のケアがとても大切になります。ここでは、治療前後にはどのようなことに気を付けたらいいのか、注意点や予防方法なども紹介いたします。
術前・術後ケアの注意点
日帰り手術とは言いましても、切開を行う外科的な手術には変わりありません。また、局部麻酔も使用いたしますので、手術の当日は、体への負担を抑えるため、飲酒や激しい運動は控えましょう。
手術の時間は患者様の粉瘤の状態によっても異なりますが、約30分で終了いたします。麻酔は2時間ほど続きますが、手術が終われば帰宅し、通常どおりの生活を送っていただけます。
ただし、麻酔がきいている状態ですので、2時間は運転を控え、できるならば体調も考慮しゆっくりと休息をとるようにしてください。
抜糸までの約1週間はシャワーのみにとどめ、傷口は湯船につけないようにしてください。通常通りの生活と申しましたが、術後1週間は激しい運動や手術部分を湯船につけるのは避けたほうが良いでしょう。
仕事によっては荷物を持つ場合もありますが、手術1週間は傷口が開かないように避けた方が良いでしょう。なお、洗顔やシャワーは翌日から可能です。
また、女性の場合にはメイクアップを行いますが、その場合にも患部が顔以外でしたら、当日から大丈夫です。
※参照URL:8 Mistakes After Surgery That Slow Your Recovery
術後の自宅でのケアと通院について
軽度の出血や腫れがみられますが、これは手術後の通常の状態です。次の日からは処方された軟膏を患部に塗布し、ガーゼで保護していただきます。ただし、我慢できないような痛みや出血が酷い場合には、直ぐに当院までご連絡ください。
通常、外科的治療の1週間後に来院していただき、傷の状態を診察いたします。その時に傷の治りが良く縫合している場合は、抜糸を行います。ただし、頭や手のひら・足の裏などについての抜糸は、患者様の状態にもよりますが、通常は約2週間後になります。
また、手術してから2週間後に再度来院していただき、手術した部分の治癒状態を診察します。また、患者様によっては粉瘤内の組織を検査に出しますので、その組織検査の結果もご説明いたします。
患者様の中には粉瘤が腫れてしまい、緊急に膿みを排出するために切開した方もいらっしゃいます。そのような場合には、手術の翌日にその傷口の確認を行います。その場合には、手術から通常2〜3週間程度で傷はふさがりますので、その後改めて手術し、袋ごと粉瘤を取り除きます。
※粉瘤の経過には個人差があります。そのため、定期的な診察を通じてそれぞれの患者様に合わせた診療を行っていきます。
粉瘤の予防方法はありますか?
粉瘤はその主な原因が分かっていないため、誰にでもできてしまいます。そのため、身体を清潔に保つ以外、現時点では発生を予防することは難しいでしょう。それでも、粉瘤ができてしまう人はできてしまうため、絶対に粉瘤ができない予防方法は存在しません。
体質によっても、粉瘤ができやすい体質の人やできにくい体質の人などさまざまですが、それらの人の違いなどもよく分かっていません。
ただ、粉瘤において大切なことは、日頃から気になる症状があれば病院を受診して腫瘍が大きくなる前に治療を進めるということです。治療は外科的な治療しかありません。
そのため、粉瘤が大きくなる前に治療ができれば、小さな範囲の外科的処置で済むほか、傷口も小さくなり炎症も防ぐことが可能です。
粉瘤に関するQ&A
ここでは、患者様からよく聞かれる質問を集めてみました。ここ以外でも質問がある方は、担当の医師までご相談ください。
Q. 粉瘤は自然に治りますか?それとも、放置しておいても大丈夫ですか?
粉瘤は自然に治ることはありません。最初はニキビのように小さな粉瘤でも、治療せずに放置していると時間とともに大きくなります。 大きいものだと野球のボールほどの大きさになることもあります。
患者様の中には、粉瘤を潰して治そうとする人もいますが、粉瘤は潰しても治らず、中の内容物を排出させてもまた溜まってきます。
そのため、できるだけ早めに医師に相談してください。
Q. 粉瘤を潰すとどうなりますか?
粉瘤を放置せず、自力で治そうと粉瘤の内容物を絞りだしたり、取ってしまったりすると、粉瘤内の袋(嚢胞)が破れ中に溜まっている垢やその他の内容物が広がってしまいます。
また、その傷口から細菌感染して炎症を起こすリスクが高くなるため、自己判断で治そうとするのは良くありません。もし、しこりがあれば、触らないようにして受診するようにしてください。
Q. 粉瘤は陰部にもできますか?
粉瘤は皮脂腺があれば、身体のありとあらゆる場所にできます。特に女性の場合では、鼠径部・陰部は分泌腺が多く集中している箇所のため、男性よりも垢や皮脂が溜まりやすく粉瘤ができやすい状態です。
さらに女性は男性に比べると、下着の線が出ないようにぴったりとした下着を付けることが多いので、下着と接する部分が擦れたり内股で歩いたりすることが刺激となり、粉瘤が大きくなりやすい傾向があります。
Q. 粉瘤は何センチから手術になりますか?
患者様の粉瘤の状態や担当の医師との相談によります。(顔を除く)体の粉瘤に関しては、1.6cm以上の粉瘤は手術的に切除するように推奨しています。
ケロイドができやすい箇所(首回りやお顔周辺)の場合に関しては、手術ではなく経過観察になる場合もあります。ただし、再発の可能性を考慮すれば外科的治療(完全切除手術)が最適だと思います。
粉瘤と他の皮膚疾患の違い
ここでは、粉瘤と間違えやすい皮膚疾患を説明します。ここで大切なのは、粉瘤でないから大丈夫という訳ではなく、どの皮膚疾患も早期発見・早期治療が患者様が快適に暮らすカギとなります。そのため、少しおかしいなと感じたら、早めの受診をお勧めいたします。
脂肪腫
見た目ではあまり区別できないこともありますが、脂肪腫はエコー検査をすれば粉瘤と明確に区別できます。脂肪腫は【脂肪層】【筋層内】【骨膜下】など粉瘤とは違う層で発生します。
脂肪細胞からなる良性腫瘍で、柔らかくて動かしやすい腫瘍です。痛みはほとんどなく、ゆっくりと成長します。
脂肪腫は皮膚の深い部分に発生し、粉瘤と比べて柔らかく、皮膚表面に見える開口部はありません。
自然に消失する事はほぼありません、大きくなると傷跡が大きくなるので早めの外科的な治療をお勧めします。
※参照URL:Lipoma – Symptoms & causes – Mayo Clinic
石灰化上皮腫(毛母腫)
これも粉瘤とよく間違えられる皮下腫瘍です。小さなお子さまによく起こり、特にお子さまのお顔(まぶた)、腕、頸などに発生することが多いようです。
思春期以降によくできる粉瘤とは異なり、その名の通り皮膚の一部が石灰のように硬くなる良性の皮下腫瘍の一つです。
粉瘤と同じようになぜ発生するのか原因は分かっていませんが、毛母腫(pilomatorixoma)という別名があるように毛根に存在する毛母細胞を起源とする腫瘍です。
粉瘤との見分け方は、レントゲン撮影をして石灰化を確認することが多いですが、石灰化の程度は患者様により違いますので、石灰化が進行していない場合レントゲンで映し出されない場合もあります。
また部位によってはCTやMRIで周辺臓器との位置関係を事前に確認しておかなければならない場合もあります。転移したり生命を脅かすことはありませんが、自然治癒はできませんので、外科的治療が望ましいでしょう。
※参照URL:石灰化上皮腫
ガングリオン
ガングリオンは嚢胞内にゼリー状の内容物が入っている腫瘤です。よく知られているのは、手関節背側(甲側)に生じるガングリオンではないでしょうか。
その他のガングリオンのできやすい場所としては、手首の母指(親指)側の掌側(手のひら側)の関節包や指の付け根の掌側(手のひら側)の腱鞘のあるところです。
関節の周辺や腱鞘(けんしょう)のある箇所に米粒大からピンポン玉大の大きさで発生します。硬さは硬いものから柔らかいものまでありますので、粉瘤と間違える方も多いです。
無症状なことが多いのですが、時々、神経のそばにできると神経を圧迫するため、手のしびれや痛みとなり、受診される方が多いです。手を使いすぎるとガングリオンは大きくなることがあります。
若い女性に多く見られますが、必ずしも手を良く使う人に見られるわけではありません。医師は部位でも判断できますが、腫瘤があり、注射針を刺してゼリー状の内容物が吸引できればガングリオンと診断でき、粉瘤と区別されます。
なかには外側から触れない小さなガングリオンもあります。そのような場合には、MRIや超音波検査をして判断する場合もあります。
腫瘤のみで無症状ならば、放置しても心配はありません。けれども、大きくなるもの、痛みが強いもの、神経が圧迫されて神経症状があるもの(痛みや運動障害など)は治療が必要になります。
治療方法としては、ガングリオンに注射針を刺して内容物を排出したり、力を加えて押し潰す治療法もあります。それでも繰り返し内容物が溜まるようなら、手術をおこないます。
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