膀胱炎は、皆さんも1回くらいは聞いたことがある言葉ではないでしょうか。しかし、実際にどのような病気なのか、詳しく知っているかたは案外少ない病気です。ここでは、膀胱炎とはどのような病気で何が原因なのか、またどのように検査や治療をするのかなど、膀胱炎に関する疑問を徹底的に解説していきます。
膀胱炎は感染症によって引き起こされる病気です。
膀胱内に感染をお越し、膀胱内部で炎症が起こる病気です。一般的には軽い症状が多いですが、放置すれば、再発や腎臓への影響を引き起こす可能性があるため、早期の受診が完治のカギとなります。
主に細菌感染が原因であり、一般的には尿道に肛門周囲から菌が膀胱内に入り込み、膀胱が炎症を起こすことにより膀胱炎になります。
特に女性は尿道が男性に比べて短いこと、尿道が膣に近く、肛門からの細菌が尿道に移動しやすい環境にあることなどから、女性によく見られる感染症です。
この病気は、頻尿や排尿時の痛み、残尿感などの不快な症状を引き起こすことがよく知られていますが、初期症状は人によっては見過ごしてしまうような軽い症状です。
また、症状が改善して治療を途中で中止してしまう人も多く、再発しやすい病気です。そのため、治療を最後までしっかりと行い、生活習慣の改善や予防の知識を得ることが重要です。
膀胱炎は非常に一般的な病気ですが、特に女性に多く見られます。女性は一生のうちに約40%以上の方が膀胱炎を経験するとされています。
日本人の膀胱炎の発生頻度は女性の方が男性よりも高く、特に20〜40代の女性が最も多く発症しています。男性に比べて女性は約8倍の頻度で発症しています。
また、妊娠や出産、閉経後も膀胱炎のリスクが高まることが分かっています。多くの膀胱炎は通常は軽度で治療可能ですが、再発することが多く、特に慢性膀胱炎になると外出もままならず、仕事にも支障をきたすため、QOL(生活の質)にも影響を及ぼします。
膀胱炎の再発率は非常に高く、女性は特に気を付けたほうが良いとされています。実際に、膀胱炎を一度経験した女性のうち、約20〜30%が6ヶ月以内に再発し、1年以内に50%以上の女性が再発を経験する可能性があるという研究結果もでています。
また、膀胱炎を放置すると、腎盂腎炎などの合併症を引き起こすことがあり、これはより重篤な健康問題を招くことがあります。
膀胱炎と一口に言っても、その種類はさまざまです。ここでは、どのような種類の膀胱炎があるのか見ていきましょう。また、膀胱炎の種類は一般の方では判別できませんので、早期に受診し診断していただくことをお勧めします。
最も一般的なタイプの膀胱炎です。一般的には細菌感染、多くの場合は大腸菌(E. coli)による感染によって引き起こされます。
原因は、体外の細菌が尿路に侵入し、膀胱に感染することで発症します。 一般的に尿路感染症(UTI)と関係していることが多く、抗生物質で治療されることが多いことが特徴です。
急性膀胱炎
細菌性膀胱炎の中でも、発症から通常数時間以内に症状が現れます。まず初めに、膀胱に細菌が侵入し感染が始まると、免疫系が反応し炎症が起こります。
多くの場合、感染後数時間から24時間以内に症状(頻尿、排尿時の痛み、下腹部の不快感など)が現れてきます。症状は急速に悪化することがあり、特に排尿時の痛みや尿の濁り、血尿などが見られることがあります。
急性膀胱炎の症状は比較的迅速に現れるため、早期に気づいて適切な治療を受けることが大切です。
慢性膀胱炎
名前のとおり、膀胱の炎症が長期間にわたって続く状態を指します。この状態は急性膀胱炎の再発や持続的な炎症によって引き起こされることが多いです。
その原因はさまざまですが、最も多いのは「反復感染(はんぷくかんせん)」と言われる、急性膀胱炎が何度も繰り返されることが慢性膀胱炎の主な原因です。
また、初期の感染が適切に治療されないと、慢性化することがあります。そのため、症状が出なくなったからといって自己判断で治療を止めるのはいけません。
それ以外の原因としては、膀胱の異常、神経の問題、慢性の刺激(例えば、尿路の異常や結石)が関与することもあります。
慢性膀胱炎の場合には、その原因特定や膀胱の状態に応じて、生活習慣の改善や専門医の指導が完治するカギとなります。そのため、治療は最後まで継続するようにお願いしています。
細菌感染以外の原因で引き起こされる膀胱炎もいくつかの種類に分かれています。
間質性膀胱炎(IC)
この膀胱炎は別名「有痛性膀胱症候群」という名前としても知られている、正確な原因は不明な膀胱炎です。ストレスや遺伝体質などさまざまな原因が伝えられていますが、明確な細菌感染を伴わない慢性膀胱炎です。
そのため、この膀胱炎は再発することも多く、生活習慣や膀胱炎の予防に取り組む必要があります。
薬剤性膀胱炎
特定の薬剤や特に化学療法薬には、その成分が体外に排出される際に膀胱に炎症を起こすことがあります。例えば、特定の抗生物質が膀胱の内壁に影響を与え、炎症を引き起こすことがあります。
例えば、患者さまの体調にもよりますが、一部の抗がん剤(例えば、シクロフォスファミドやメソトレキセート)は、膀胱に炎症を引き起こす可能性があります。
また、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と呼ばれるアスピリンやイブプロフェンなどの薬でも、稀に膀胱炎を引き起こすことがあります。これらの薬剤は、膀胱の粘膜に刺激を与え炎症を引き起こしますが、医師や市販薬の指示通りの量を守れば問題ありません。
放射線性膀胱炎
放射性療法とは、骨盤内に放射線を照射する治療(特にがん治療の一環として)ですが、膀胱に影響を及ぼし、薬剤性膀胱炎を引き起こすことがあります。
特に骨盤領域での放射線療法後に発症しやすく、膀胱組織に損傷を与えるため、放射性膀胱炎を引き起こします。
化学物質性膀胱炎
この膀胱炎も患者さまの体調や体質によりますが、石鹸、泡風呂、殺精子剤などの製品に含まれる化学物質に反応し、膀胱に炎症を起こす場合があります。
異物性膀胱炎
カテーテルを長期間使用することにより、感染症を引き起こしたり、組織を損傷したりした場合、膀胱炎を起こすことがあります。
※上記のようなそれぞれのタイプの膀胱炎には明確な原因があり、根本的な問題によって治療法が異なりますので、自己判断せず医師の指示を仰いでください。
膀胱炎の症状はそれぞれの膀胱炎の種類や患者さまによっても違いますが、分かりやすく分類すると、一般的には急性膀胱炎と慢性膀胱炎に分けられ、以下のような症状が見られます。
これらの症状が現れた場合は、早期の診断と治療が必要です。膀胱炎の症状は、他の病気と類似することもあるため、当院での早めの受診をお願いします。
膀胱炎の診断方法は、主に以下の手順や検査を通じて行われます。
腹部の痛みの部位の確認 下腹部の圧痛や異常を確認します。
尿検査は以下のように分かれています。
尿の外観、比重、pH、蛋白質、糖、白血球、赤血球、細菌の有無を調べます。白血球や細菌が多く見られる場合、感染が疑われます。
尿を培養し、具体的な病原菌を特定します。この検査により、最適な抗生物質が選定されます。
当院では、エコー検査(超音波検査)を行い膀胱炎かどうかの診断を行います。エコー検査とは、膀胱炎やその他の膀胱に関連する問題を診断するために行われる非侵襲的な検査です。
エコー検査では、超音波を使って体内の臓器や組織の画像をリアルタイムで表示します。膀胱炎のエコー検査は、主に以下の目的で行われます。
1.膀胱の状態の確認: 膀胱内の炎症や異常を確認するために行います。膀胱の壁が厚くなっているか、尿が正常に貯まっているか、排尿後に膀胱に尿が残っていないかをチェックします。
2.膀胱結石の確認: 膀胱内に結石(石)があるかどうかを確認します。結石がある場合、膀胱炎の原因となっている可能性があります。
3.腫瘍の確認: 膀胱内に腫瘍がないかを確認することもあります。
※この検査は痛みもなく、安全で、放射線を使用しないため、被曝の心配がありません。
腎機能や感染の有無を評価するために行われることがあります。
※上記のようなさまざまな検査は、全て行うわけではありません。当院の医師が実際に患者さまを診断する際に必要な検査だけを行います。
これらの診断方法を組み合わせることで、膀胱炎の有無や原因、重症度を正確に評価し、適切な治療方針を決定します。診断が早期に行われることで、適切な治療が可能となり治療期間も短くなります。そのため、違和感を感じたらお早めに当院まで受診してください。
治療方法も検査方法と同じように患者さまの感染の原因や症状の重さに応じて異なりますが、一般的な治療は以下のようになっています。
鎮痛剤: 痛みや不快感を軽減するために、鎮痛剤や鎮痙薬(例:フェナゾピリジン)を処方することがあります。これは膀胱や尿道の炎症による痛みを和らげるのに役立ちます。
水分摂取の増加: 水分を多く摂ることをお勧めしています。水分摂取は、膀胱内の細菌を早く体外に排出し、症状を緩和するのに役立ちます。ただし、カフェインやアルコールなど膀胱を刺激する飲み物は避けた方が良いでしょう。
膀胱炎には、細菌が原因ではない非細菌性のケースもあります。これは間質性膀胱炎や化学物質に対する反応などが原因です。
治療は主に症状の緩和や管理が中心ですので、抗生物質ではなく、膀胱の痛みを和らげるための薬や、生活習慣についてのアドバイスが行われます。
このタイプの膀胱炎は慢性的なものですが、抗炎症薬や、患者さまによっては膀胱を拡張するための物理的治療(膀胱拡張術)などが使用されます。いずれにしても、医師の判断に基づき、患者さまの健康を第一に考えて治療を選択していきます。
長期抗生物質療法: 再発性の膀胱炎の場合、数か月にわたる低用量の抗生物質治療が行われることがあります
予防的抗生物質: 特定のトリガー(風邪などの感染症の後や性交後など)によって膀胱炎を繰り返す場合、予防的に抗生物質を服用することがあります。
膀胱炎は治療だけが大切ではありません。日頃から膀胱炎にならないように気を付け、再発しないための予防をすることが重要です。ここでは、膀胱炎に関する予防策をご紹介いたします。
清潔な下着と服装: 通気性の良いコットン製の下着を選び、締め付けの強い服は避けることが重要です。湿気がこもると細菌が増殖しやすくなるため、通気性が良い衣服を選びましょう。
トイレの後の清潔習慣: トイレの後や排便後は、細菌が尿道に侵入しないようにしっかりと清潔に保つことが大切です。<
シャワーで清潔を保つ: 浴槽に長時間浸かると、膀胱炎の原因となる細菌が膣や尿道に侵入しやすくなります。そのため、入浴よりもシャワーを使用する方が、膣や尿道に細菌が入り込むリスクが少なくなります。
洗浄剤の選択: 強い洗浄成分を含むボディソープや石鹸は、デリケートゾーンの自然なバランスを崩し、細菌感染のリスクを高めることがあります。敏感肌用の製品を選ぶか、デリケートゾーン専用の洗浄剤を使用すると良いでしょう。
健康的な生活習慣: 免疫力が低下すると、膀胱炎にかかりやすくなります。健康全般に言えることですが、バランスの良い食事や適度な運動、十分な睡眠を心がけることで、体全体の免疫力を向上させ、感染症に対する抵抗力を高めることができます。
プロバイオティクスの摂取: ヨーグルトなどに含まれるプロバイオティクスは、膣や腸内の健康な細菌バランスを維持するのに役立ち、膀胱炎の予防に効果があるとされています。
医療法人社団涼美会理事長・形成外科専門医:関口 知秀
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