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皮膚科

(下書き)あせも

あせもが腕にでき、搔いている様子の画像

はじめに

夏の暑い時期や汗をかきやすい環境で、赤いブツブツやかゆみが出たことはありませんか?それは「あせも(汗疹:かんしん)」と呼ばれる皮膚のトラブルによるもの。あせもは乳幼児から大人、高齢者まで、誰にでも起こる身近な皮膚疾患です。今回は、このあせもの原因、症状、治療法、そして再発を防ぐための予防策を、わかりやすく紹介します。

あせもとは(定義と仕組み)

皆さんもご存じのあせもは実際にはどのようなものなのか、その定義と病院に行くべきなのかどうかをお伝えします。

あせもの定義

あせもは、汗を出す「汗腺(かんせん)」の出口が詰まり、皮膚の下に汗がたまることで起こります。

通常、汗は皮膚の表面に出て蒸発することで体温を下げます。しかし、皮膚が汚れや皮脂で覆われていたり、蒸し暑い環境で汗をかきすぎたりすると、汗の通り道がふさがってしまいます。

その結果、汗が皮膚の中にたまり、赤みやかゆみ・水ぶくれなどの炎症が起きます。これがあせもの正体です。

あせもができやすい場所は、汗がこもりやすい首、背中、胸、脇、肘や膝の裏、頭皮、おむつの中などですが、基本的に汗をかく場所ならばどこにできてもおかしくありません。

また、乳幼児や高齢者は皮膚が弱く、汗をかきやすいため、特にあせもができやすい傾向があります。

あせもは病院へ行く皮膚疾患です!

あせもで首を搔きむしる女性

結論から言うと、あせも(汗疹:かんしん)は軽度の皮膚疾患ですが、基本的には自然に治ることが多く、必ずしも病院へ行く必要はないと言われています。

ただし、症状が悪化してしまう場合や、症状の程度や状態によっては皮膚科を受診すべきケースもあります。実際に、次のような場合は早めに当院までご連絡ください。

  • かゆみが強く眠れない
  • 掻き壊して膿(うみ)が出ている(感染している)
  • 赤みや発疹(ほっしん)が広がっている
  • 発熱を伴う
  • 3〜4日経っても改善しない

このようなときは、あせもが「とびひ」や「湿疹」など別の皮膚病に進行している可能性があります。

また、その前の段階でも、皮膚科ではステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬で炎症やかゆみを抑え、早く治すことができますので、不快な症状で毎日つらい日々を過ごすようでしたら、早めに受診するのをおすすめいたします。

あせもの種類と症状

あせもには、症状の深さや重さによって3つのタイプがあります。

(1)水晶様汗疹(すいしょうようかんしん)

皮膚のごく浅い部分で汗がたまり、小さな透明の水ぶくれができるあせもです。かゆみや痛みはほとんどなく、自然に治ることが多い軽いタイプです。

乳児や汗をかいた直後に出やすく、数日で消えることもあります。しかし、数日で消えない、もしくはかゆみや痛みなどが出てきた場合には、違う疾患も考えられます。

(2)紅色汗疹(こうしょくかんしん)

最も多いタイプで、赤いブツブツができ、強いかゆみを伴います。

汗の出口付近で炎症が起こっている状態で、かゆくて掻くと皮膚が傷つき、細菌が入って「とびひ(伝染性膿痂疹)」になることもありますので注意が必要です。

かゆみで眠れなくなるほどつらいケースもあり、早めのケアが大切です。急速に悪化していく場合が多いため、そのような場合には早めに当院までお知らせください。

(3)深在性汗疹(しんざいせいかんしん)

汗腺の深い部分で汗が詰まり、白っぽい小さなブツブツが出ます。

肉体労働をする人や高温環境で働く人に多く見られ、汗をほとんどかけなくなることもあります。熱がこもりやすくなったり腫れたりする場合もあります。

このタイプは病院での治療が必要です。

原因と悪化因子

あせもができる主な原因は「高温多湿な環境で汗がこもること」です。

汗そのものは体温を調整するために大切ですが、蒸発しにくい状態が続くと皮膚の中に汗が閉じ込められてしまいます。
悪化させる要因としては次のようなものがあります。


  • 通気性の悪い衣服や寝具
  • 長時間の発汗(運動・発熱など)
  • お風呂や汗拭きが不十分で皮脂や汚れが毛穴をふさぐ
  • 肥満や密着した服装(ストレッチ素材・ナイロン衣類など)
  • エアコンを使わず室内が高温になる
  • 汗止めクリームやボディパウダーの過剰使用

赤ちゃんは皮膚が薄く汗腺の機能が未熟なため、あせもができやすいです。一方、高齢者は汗腺の働きが低下しており、汗の出口が詰まりやすくなることで起こります。

治療方法

汗をタオルで拭く女性

① 軽症の場合(家庭でできるケア)

  • ぬるめのシャワーで汗を洗い流す
  • 清潔なタオルで優しく水分を拭き取る
  • 通気性のよい衣類に着替える(コットンやリネンなど)
  • エアコン・扇風機で室温 or 湿度を下げる

これだけで多くの軽いあせもは数日で治ります。掻きすぎないように注意し、保湿剤で皮膚のバリアを守りましょう。

② かゆみが強い場合

皮膚科では弱いステロイド外用薬(例:ヒドロコルチゾン軟膏)や抗ヒスタミン薬内服でかゆみを抑えます。
これらの薬を自己判断で長期間使うと副作用の可能性があるため、医師の指示に従うことが大切です。

※外用薬は適切に使えば安全に改善が期待できます。

③ 感染を伴う場合

掻き壊して細菌が入ると「とびひ」を起こすことがあります。その場合は抗菌薬の塗り薬・飲み薬を使います。
化膿がある場合は必ず皮膚科を受診してください。

年代別の注意点

あせもの治療は年代によって異なります。当院では症状に合わせた治療を行います。

乳幼児の場合

汗をかきやすく皮膚が薄いため、こまめな着替えと優しい汗拭きが重要です。
ぬるめの入浴を 1日1回、除湿で環境調整を。

成人の場合

通勤・運動で汗をかいたら早めに着替えましょう。制汗剤の使いすぎは悪化原因になることもあります。
ストレス・睡眠不足で皮膚のバリアが低下するため生活習慣の改善も大切です。

高齢者の場合

汗腺の働きに偏りがあり、特定の部位に汗が集中しやすくなります。室温管理と保湿を徹底しましょう。
油分の少ない保湿クリームが夏はおすすめです。

予防のためにできること

腕に保湿クリームを塗る様子

「汗をためない」「皮膚を清潔に保つ」ことで予防できます。日常で次の点を心がけましょう。

  • 通気性のよい衣服(コットン・リネン)を選ぶ
  • 室温25〜28℃、除湿を意識する
  • 運動後・外出後はシャワーで汗を流す
  • 入浴後は保湿クリームを塗る
  • 制汗剤やパウダーの使いすぎに注意

特にお子さま・ご高齢者は体温調整が難しいため、周囲のサポートが重要です。

放置した場合のリスク

放置すると掻き壊しによる二次感染や、とびひ、慢性湿疹、色素沈着の原因になります。早めのケアが大切です。

病院を受診すべきタイミング

次のような場合は早めの受診をおすすめします。

  • かゆみが強く眠れない
  • 膿・ジュクジュクがある
  • 発熱を伴う
  • 広範囲に赤みや湿疹が広がっている
  • 数日経っても改善しない

市販薬で治らない場合も医師に相談することで早い改善が期待できます。

まとめ

あせもは汗の出口が詰まることで起こる炎症性皮膚トラブルです。多くは自然に治りますが、清潔保持と汗をこもらせないことが最も重要です。
症状が強い場合や膿がある場合は早めに皮膚科へご相談ください。

医療法人社団涼美会理事長・形成外科医:関口 知秀

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