
かぶれ(接触皮膚炎)は、誰もが知っている皮膚トラブルです。長い人生の中で誰にでも1回は起こったことがあるでしょう。特定の物質が皮膚に触れることで、赤みやかゆみ、湿疹、水ぶくれなどの症状が出る状態を指します。ここでは、かぶれの原因、仕組み、症状、診断、治療法、日常生活でできる予防法について、分かりやすく詳しく解説します。
かぶれ(接触皮膚炎)と接触皮膚炎とは、皮膚に触れた物質が引き金となって起こる炎症の総称です。「触れた部分に皮膚の赤みや湿疹が出る」ことが特徴です。原因は大きく以下の3種類に分類されます。
刺激そのものが皮膚にダメージを与えて起こるタイプで、アレルギーは関係ありません。誰でも起こりうる一般的なかぶれです。アレルギーがなくても、刺激が強い物質に触れた「量や“時間」が多いことで皮膚のバリアが弱まり炎症が起きるタイプの皮膚炎です。例えるならば、身体を洗うボディタオルやブラシなどで皮膚を何度もこすったら赤くなるのと同じ仕組みです。免疫のアレルギー反応ではなく、物理的・化学的刺激で皮膚が傷ついて起きる炎症です。つまり、「弱っている皮膚に刺激 → もっと弱る → さらに炎症」という悪循環に入り、かぶれがどんどん悪化します。
特定の物質に対して体がアレルギー反応を起こし、触れた部位に強い炎症が出るタイプです。ニッケル、化粧品の成分、香料、植物、ゴムなどがよく知られるアレルゲンです。一度アレルギーが成立すると、少量でも反応が強く出る点が特徴であり、いわゆる「体が記憶してしまう」タイプのかぶれです。
アレルギー性皮膚炎の大きな特徴は 免疫が原因物質を記憶することであり、例えるならば、最初に原因物質に触れたとき、体の免疫はこう判断します。
「こいつは危険な敵だ!覚えておこう!」
すると次に触れたとき、ごく少量でも、すごい勢いで戦いを始めます。その結果、皮膚が赤く腫れ、かゆみや湿疹が出ます。
特定の物質が皮膚に付着している状態で紫外線に当たると発症するタイプです。日焼け止めや香料の成分、植物(レモン・セロリなどの光毒性植物)が原因になることがあります。一言でいうと「皮膚についた成分 + 太陽の光(紫外線)」が合わさって起きるかぶれであり、これが光接触皮膚炎です。
触れただけでは何も起こらず、日光に当たったときだけ急にかぶれるのが最大の特徴です。
肌に何かの成分がつき(化粧品、香料、薬、植物の汁など)、その成分が「紫外線に当たる」と性質が変わり、皮膚を刺激し、その結果、赤み・腫れ・かゆみ・水ぶくれが起きます。
つまり、「成分」×「紫外線」= かぶれ発生!であり、どちらか1つだけでは起こらないのが特徴です。
| 項目 | 刺激性接触皮膚炎 | アレルギー性接触皮膚炎 | 光接触性皮膚炎 |
| 原因の仕組み | 刺激が皮膚のバリアを壊して炎症が起きる | 体が特定成分を「敵」と記憶し免疫反応を起こす | 成分が紫外線に当たって化学変化 → 刺激物に変わる |
| アレルギー? | ❌ アレルギーではない | ⭕ アレルギー | △(光+成分のセットが必要) |
| 代表的な原因 | 水、洗剤、石けん、汗、摩擦、アルコール | 金属、ヘアカラー、化粧品、ゴム、湿布、植物 | 日焼け止め、香水、植物(レモン・セロリ)、湿布の成分 |
| 症状が出るタイミング | 触った直後〜数時間以内 | 触れて1〜2日後(遅れて出る) | 成分が付いて紫外線を浴びた時だけ発症 |
| 症状の特徴 | 赤み、ヒリヒリ、かゆみ、乾燥、ひび割れ | 赤み、強いかゆみ、水ぶくれ、腫れ | 紫外線が当たった部分だけ赤い、痛い、水ぶくれ |
| 症状の出る場所 | 触れた場所だけ | 触れた場所+時に周辺にも広がる | 顔、首、腕など“日光に当たる部分だけ” |
| 形の特徴 | 明確な形が出にくい(擦れる範囲) | 触れた形にピタッと一致 | 塗った形や指の跡がそのまま出る |
| 誰に起きる? | 誰にでも起こる | その成分にアレルギーを持つ人だけ | 成分が付いた状態で紫外線を浴びた人 |
| 典型的な例 | 手荒れ、マスクの摩擦、アルコールによる乾燥 | 金属アレルギー、ヘアカラーで腫れる | レモン汁が付いた手が外で真っ赤(マルガリータバーン) |
| 治療の中心 | 刺激を避ける+保湿+ステロイド外用 | アレルゲンを避ける+ステロイド外用 | 紫外線を避ける+洗い流す+ステロイド |
| 再発のしやすさ | 刺激を避ければ改善しやすい | 避けない限り必ず再発 | 成分+紫外線がそろうと再発 |
| 検査の必要性 | 不要 | パッチテストが有効 | 光パッチテストで判定 |
かぶれが起こる理由は、大きく3つの仕組み に分かれています。

一言でいうと皮膚の“バリア”が壊れてしまうからです。皮膚のいちばん上には、角質層(皮膚を守る防御壁)があります。
しかし、洗剤、水やお湯、アルコール、汗、摩擦(まさつ)(こすれ)などの刺激が続くと、このバリアしている壁がどんどん削られて薄くなってしまいます。
皮膚のバリア=雨を防ぐ「傘(かさ)」だと思ってください。
こうして 傘(バリア)がボロボロになると、少しの刺激でも「ヒリヒリする」「赤くなる」という炎症が起きます。
これらはすべて「刺激に皮膚が負けている状態」です。
一言でいうと、体が「これは敵だ!」と覚えてしまうことから起こるかぶれです。
ある成分(例:金属、化粧品、ヘアカラーなど)が皮膚に入ると、体の免疫がそれを 「危険物」と記憶してしまうことがあります。
免疫=警察、アレルゲン=不審者だとイメージしてみてください。
一度「不審者だ」と覚えると、次回、ほんの少し触れただけでも警察(免疫)が大騒ぎします。
その結果、
などの「強い炎症」が起きます。
体質として免疫が反応しているので、そのアレルゲン(原因物質)を避けない限り何度でも悪化するのが特徴です。

一言でいうと、皮膚についた成分が、紫外線によって「刺激物」に変わります。
皮膚に付いた、
上記のようなアレルゲンが、 紫外線(太陽光)に当たることで別の物質に変わり、皮膚を刺激します。
→ 混ざると刺激の強い「酸」に変身して皮膚を攻撃するイメージです。
成分だけ、または紫外線だけでは起きないのが特徴です。2つが揃ったときだけ炎症が出ます。

接触(せっしょく)皮膚炎は非常に多様な物質が原因となるため、原因特定には時間がかかることがあります。以下に代表的なものを示します
接触皮膚炎の症状は、急性と慢性で異なります。
触れた部分に一致して症状が出ることが多く、アレルゲンのヒントになります。
特に手荒れでは、慢性的な刺激が加わることで症状が長期化しやすくなります。

診断では問診と皮膚の状態観察が非常に重要です。当院では、皮膚科医が一人ひとりの患者さまの症状に合わせた診察を行っています。
問診は接触皮膚炎の診察において、アレルゲン(原因物質)の特定にとても大切な役割を持っています。
そのため、診察を受ける際には、以下のことをまとめて言えるようにしておくと診察に役立ちます。
皮膚科医が丁寧に診察していきます。何か質問やご要望があれば気兼ねなく医師や医療スタッフまでお伝えください。
直接触れた場所に一致することが多いからです。
パッチテストは原因が分からない場合に用いられるインディケーターの役割をしています。痛みもないので、安心してください。
接触皮膚炎の治療では、「原因物質を避けること」が最も重要です。原因を取り除かなければ、薬を使っても症状が繰り返しやすくなります。
炎症を強力に抑える効果があります。
症状に合った強さを医師の指導の基に適切に使用することが大切です。短期間で改善しますので、医師の指示通りに使用してください。
皮膚のバリア機能を整えるために必須です。
とくに手荒れ・慢性的なかぶれでは、毎日の保湿が治療の柱になります。
かゆみが強い場合に用います。

治療と合わせてセルフケアを行うと、再発しにくいです。治療後もセルフケアは継続して行ってください。
ここでは、実際に効果のある予防方法をお伝えします。
いつ病院へいくべきかは、実際に医師でないと判断が難しいでしょう。そのため、お肌に違和感があったり、3日以上症状が続く場合には当院までお早めにご連絡ください。一般的には以下の症状が出た際には、診察を受けることをおススメします。

ここでは、実際に皮膚科でよく聞かれる質問にお答えしていきます。
かぶれ(接触皮膚炎)は、身のまわりの物質が皮膚に触れることで起こる炎症で、大きく分けると刺激性、アレルギー性、光接触性の3種類に分けられます。原因物質の特定と回避が改善と再発予防の鍵であり、治療にはステロイド外用薬や保湿剤がよく使われます。医師の指示通りに使用すれば、症状は速やかに改善します。症状を繰り返す場合にはパッチテストで原因を特定できます。日常生活での保湿や摩擦の回避、洗剤や化粧品の見直しで発症を大きく減らすことができます。正しい知識にもとづき対処し、快適な日常生活を送れるよう、当院では患者さまに合わせた治療法やスキンケアをお伝えしています。
医療法人社団涼美会理事長・形成外科医:関口 知秀
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※当院は完全予約制ではございません。初診の方もご予約なしでの診察可能です。
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