ヘルペスウイルスは、多くの人が一度は感染する可能性のあるウイルスで、口唇や性器に痛みを伴う水ぶくれを引き起こします。体内に潜伏し、ストレスや疲労で再発することもあります。本記事では、ヘルペスウイルスの種類や症状、治療方法、再発予防のポイントをわかりやすく解説します。正しい知識を身につけ、適切な対処法を知ることで、日常生活への影響を最小限に抑えましょう。
ヘルペスウイルスは、ヒトに感染するウイルスの一群であり、単純ヘルペスウイルス(HSV)や水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)などが含まれます。
感染後は神経細胞に潜伏し、ストレスや免疫低下によって再活性化し、口唇ヘルペスや帯状疱疹を引き起こします。そのため、激しい痛みを症状に伴うことが多い感染症です。
多くの人が幼少期に感染し、生涯にわたり体内に潜みます。そのため、風邪などの他の感染症の後や疲労、ストレスなどにより極端に身体の免疫力が低下すると、発症する可能性が高い感染です。
ワクチンや抗ウイルス薬による治療が可能ですが、根本的な除去は困難です。そのため、早期発見早期治療がカギとなる病気です。
ヘルペスと言っても、さまざまな種類のヘルペスがあります。ここでは、主要なヘルペスを紹介していきます。症状に心当たりのある方は当院までお早めに連絡をお願いいたします。
主な症状:
発症の特徴:
主な症状:
性器や肛門周囲に水ぶくれや潰瘍ができる
ヒリヒリとした痛みやかゆみ、排尿時の痛みがある
発熱・倦怠感・筋肉痛などインフルエンザ様症状が現れる
鼠径部(足の付け根)のリンパ節が腫れる
排尿困難(痛みで排尿しづらくなることがある)
発症の特徴:
初感染時は症状が強く、2〜3週間続くことがある
女性の方が症状が強く出る傾向
出産時に母親が感染していると、新生児ヘルペスを引き起こすことがある(重症化しやすい)
主な症状:
発熱(38〜39℃)
かゆみを伴う赤い発疹と水ぶくれ(水疱)
発疹は顔・体・手足に広がる
かさぶたになると感染力がなくなる
倦怠感・食欲不振を伴うことがある
発症の特徴:
小児期(1〜10歳)に感染しやすい
一度治ると免疫ができるが、ウイルスは体内に潜伏
免疫が低下すると、帯状疱疹として再発することがある
・感染するヘルペスウイルス:HSV-1(口唇ヘルペス)、HSV-2(性器ヘルペス)、VZV(水痘・帯状疱疹)
感染の仕組み:
皮膚や粘膜の傷口からウイルスが侵入し感染
口唇ヘルペスの水ぶくれ部分に直接触れることで感染が広がる
性行為による粘膜接触でHSV-2(性器ヘルペス)が感染
母子感染(出産時に感染)もこの経路に含まれる
日常生活での感染リスク:
キスや性的接触
皮膚に傷がある状態で感染者の部位に触れる
感染するヘルペスウイルス:VZV(水痘・帯状疱疹)
感染の仕組み:
感染者のくしゃみや咳の飛沫を吸い込むことで感染
VZV(水痘ウイルス)は特に感染力が強く、空気感染の可能性もある
日常生活での感染リスク:
水ぼうそうの発症者が近くにいる場合
狭い空間で感染者と長時間接触する
・感染するヘルペスウイルス:HSV-2(性器ヘルペス)、VZV(水痘・帯状疱疹)
・感染の仕組み:
胎盤を通じて胎児に感染(先天性感染)
出産時に産道で感染(新生児ヘルペス)
母乳を介して感染(CMVなど)
・日常生活での感染リスク:
妊娠中に初感染した場合、胎児に影響が出る可能性がある
妊娠後期に性器ヘルペスを発症すると、帝王切開が必要になる場合がある
ヘルペスウイルスは一度感染すると体内に潜伏し、免疫が低下した際に再活性化して発症します。発症のメカニズムは「初感染」と「再発」の2段階に分けられます。
ヘルペスウイルスは、主に接触感染や飛沫感染によって体内に侵入します。
潜伏していたウイルスは、ストレスや免疫低下によって再活性化し、症状を引き起こします。
日本におけるヘルペスウイルス感染症は、性別や年齢層によって異なる傾向が見られます。特に性器ヘルペスは若年層から中高年層まで幅広い年齢層で報告されており、口唇ヘルペスは年齢とともに感染率が高まる傾向があります。
感染症発生動向調査によると、性器ヘルペスウイルス感染症の定点当たりの報告数は、男性では2006年をピークに減少し、その後2010年以降は横ばい傾向にあります。女性では2005年をピークに減少し、2010年以降は微増傾向が見られます。
年齢別の傾向に関しては、2019年のデータでは、男性は30代前半で報告数が最も多く、40代から50代前半で増加傾向が見られました。女性は2010年以降、20代後半で報告数が最も多く、30代後半から50代前半でも増加傾向が確認されています。
日本人のHSV-1感染率は、年齢とともに高まる傾向があります。20代から30代では約半数が感染しており、60代以上ではほとんどの人が感染しているとされています。
全体では、日本人の約10人に1人がヘルペスに感染していると推測され、かなり多くの日本人が口唇ヘルペスに罹患していると報告されています。
単純ヘルペス脳炎は、単純ヘルペスウイルス(HSV)の感染や再活性化によって引き起こされる急性脳炎です。
重症化することが多く、死亡することもあります単純ヘルペスウイルスによる脳炎は、日本で年間約400人が発症しているとされています。
これらのデータから、日本におけるヘルペスウイルス感染症は、性器ヘルペスが若年層から中高年層まで幅広い年齢層で報告されており、口唇ヘルペスは年齢とともに感染率が高まる傾向があるという結果になっています。
ヘルペスウイルス感染症の診断は、症状の確認と検査によって行われます。特に、再発性のある単純ヘルペス(HSV)や帯状疱疹(VZV)は視診で診断されることが多いですが、症状や医師の判断によっては、検査が必要になる場合もあります。
※自己判断は危険ですので、医師の診断を受けてください。
視診だけでは確定できない場合や、症状が軽く判断が難しい場合は、以下のような検査が行われます。
上記のいずれの場合にも、早期発見・早期治療が症状や進行も抑えられ、速く回復できます。そのため、少しでも違和感や症状がある場合には当院までご連絡ください。
ヘルペスウイルスの治療は、抗ウイルス薬による治療が基本となります。治療の目的は、症状の緩和、発症期間の短縮、再発予防です。ウイルス自体を完全に体外から排除することはできませんが、適切な治療で管理することができます。
※患者さまの症状やヘルペスの種類により、治療方法は異なります。当院では一人ひとりの患者さまに合わせた治療を行っています。
ヘルペスウイルスの治療には、アシクロビル(ACV)系の抗ウイルス薬が用いられます。これらの薬は、ウイルスの増殖を抑える働きを持っています。
ヘルペスは一度感染すると体内に潜伏し、免疫低下やストレスで再発する可能性があります。早期に発見し、医師の診断による適切な治療を行うことにより、症状の軽減や回復期間の短縮が可能です。
また、再発を防ぐためには、生活習慣の改善やストレス管理が大切です。特に性器ヘルペスや帯状疱疹は、早期治療が合併症予防につながります。違和感や初期症状を感じたら、すぐに当院までご連絡ください。
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